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正直、この状況自体がホラー

実際にこんな状況に出くわすと、陰謀とかやばい案件動いているとかしか思わない。

おいしい食事と高級感溢れすぎて全く眠れなかった屋敷を出て王都を出発した後、渡された地図をもとに魔王軍本拠地の方へと足を進めていった。


しかし、なんというか。


「ここって魔王軍に襲われている世界なんだよな…? 最初の狼の群れ以降、人以外の生き物に会ったことないんだけど」


平和そのものであった。


道中、王様?からもらったマジックバック?なるものからテントと魔よけの香炉を取り出し、随時仮眠をとっていた。

同封されていたメモによると魔よけの香炉は『12時間のみ、半径100m以内に魔物を近づけない。』とのことだが、地平の先まで魔物どころか生き物が見当たらない。


「まぁ、この辺は割と平和なところなのかな? 大きな街も近くにあるから、きっと定期的に魔物は討伐されているのだろう」


そう思うことにして、地図に従ってとぼとぼ歩き続けた。

うん。

徒歩だから、何日たっても周りの風景変わらないね。

せいぜい、遠くに見える山や森が少しずつ動くくらい?

そうして1人旅を続けること1か月。

寂しさで心がやさぐれ始めていたころ。

ついに街を見つけたのであった!


「おお、結構大きそうな街だな~、お金も全く使う余地がなかったから、ちょっと高めの宿でも取ってみるか!」


しかし。

ここまで魔物どころか人も動物にも出会っていない。

なので俺のレベルも上がっていない。

さすがに初期レベルで魔王戦とか無理ゲーなので、どこかで安全にレベルを上げたいのだが…


「まぁ、それも含めて情報収集しますか!」


とりあえず街に入っていろんな人に話を聞いてみるか。

街に近づくにつれ、入り口? と思われる大きな門が見えてきた。

そして前の街と同様、門周辺も門の先にも動く人は見えない。

門のところに何人か兵士らしき人が見えるが、前の街と同様なぜか壁の方を向いていた。












「お、おじゃまします?」


近づいて声をかけてみたが反応なし。

仕方がないのでそのまま門をくぐろうとすると


「お待ちしておりました。勇者さまでございますね? 私はこの砦の責任者である、第二王女の…」


「王女!? いや、ちょっと、なぜ頭をそんなに下げてるのですか!?」


鎧を着た女性が土下座をしながら頭を地面にこすりつけていた。


「もちろん、勇者さまに対して最大の敬意と恭順を示したく」


「ちょっとまって、まって! わかった、分かったから頭を上げて!」


「そのようなことはできません! 私ごときが勇者さまを直視するなど、恐れ多いことです!」


「こっちが恐縮なんです! せ、せめて頭を地面から上げるくらいは」


「それでは私たちの誠意を示せません! ぜひ、このまま恭順を示させてください!」


「そ、そこまで言うのでしたら…」


めっちゃ怖い! 何この状況!? 大きな砦の中で唯一の人が、頭を地面につけて土下座している女性だけとか!!!

そういえば、前の街? でも誰もこっちを見ないようにしていたなぁ。

もしかして、勇者を直視すると死罪とか!?


こわっ!


急にこの国怖くなった!

い、いや、むしろここで魔王を倒して、そういった悪習を変えさせるべきなのでは!?

少なくとも、見知らぬ高貴な女性にいきなり土下座されているとか、精神衛生上非常によろしくない。

よし!


「わかりました。ただ、一つお約束いただけたらありがたいのですが」


「はい! 何でしょうか!」


うわ、めっちゃ声おっきい。ちょっとビビった…


「もし私が魔王討伐に成功した暁には、私と普通に話していただけますか? そのような姿勢ではなく、普通の姿勢で」


「!!!!」


えっ、ちょっ、いきなりガタガタ震えだしたんだけど!?

え、なんで??

あ、ちょっと地面が濡れて……、もしかして、感動しすぎて…?

よし、ここは見なかったことにして、


「でででは、こここのさきは、どどどのように、すすすんだら、よよよよよよいのでしょしょしょうか?」


あかん、動揺して噛んだ。

そして、女性からの返事はなし。

どうしよう(泣)


「そ、そのまま砦の反対側へとお進みください! その先にある門を出て真っすぐ歩けば直に魔王領です! そこから1週間ほどで魔王軍の駐屯地があります!」


滅茶苦茶遠くから返事が来た。

音質もいいし、これが異世界クオリティのマイクか!

しかし、ここは最前線だったんだな。

よし、気持ちをさらに引き締めて先に進むか!







スキル「恐喝Lv.1」を習得

スキル「職権乱用」を習得

スキル「パワハラ」を習得

スキル「孤高の男」を習得

スキル「恐慌Lv.1」を習得

スキル「感情伝搬」を習得

……

称号『王女を恐怖で泣かせた男』習得























「レベル上げのこと相談し忘れた!!!」


気づいたときにはもう、魔王軍の駐屯地らしき場所が目の前に見えていた。




お読みいただき、ありがとうございます。

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