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王との謁見、それは序盤最大のイベント

ようやくプロローグの場面に至りました。。。

某イヴよりは早いので、きっと大丈夫・・・で何卒お願いしますm(_ _)m

「あ、あれ、なんだこれ…?」


街の入り口と思われる門に近づくと、入り口には”壁に向かって”直立不動な兵士が立っていた。

門から見える大きな通りの左右には多くの店が並んでいるが、全て閉まっていた。

そして何より、その通りには人ひとりいないのだった。


「あー、えっと、今日は何かの休日で家から出てはいけない日、なのかな・・・?」


そう思いながら門に着く。

しかし、門番と思われる兵士は壁に向かったまま動かない。ピクリともしない。

門番、仕事してないじゃん…いいの?

だが、勝手に門をくぐって因縁を付けられても困るので一応確認。


「あのー、すみません、この街ってこのまま入っても大丈夫なのでしょうか…?」


しかし、門番からの返事はない。

というか、さっきから身じろき一つしていない


「返事がないなら、入りますよ? いいですよね?」


やはり門番からの返事はない。

仕方ないのでそのまま門をくぐって街に入る。

大通りには誰もいないので何も聞けない。

たまに兵士らしい人を見かけるが、やはり壁に向かって直立不動で動かないので、非常に声をかけづらい。

大通りの店はすべて閉まっているのでどこにも入れない。


仕方ないので真っすぐ歩き続けると、いつの間にかお城?の前についていた。

やはり、お城の門を守る兵士?は壁を向いたまま全く動かない。

だが、門が開きっぱなしで門番がさぼっているとしても、お城に勝手に入るのはさすがに問題だろう。

そう思ってほかのところへ行こうとすると、


「ど、ど、どうぞ! そのままお入りくださいませ!!」


いきなり門の中から声が聞こえた。

なんか、やけに声が震えていて、張り上げた感じがしたけれど、まぁ、入っていいのなら入らせてもらおう。

お城とか入る機会なんてまずないしな!


「じゃあ、おじゃまします…(きょろきょろ)」


お城の中は、外と同じく壁に向かって直立不動の兵士が所々にいた。

ふむ、もしかすると壁に向かって立つのはこの国独特のルールなのかもしれないな。

意味はさっぱり分からんが、まぁそんな国もあるのかな?


「っと、この階段を昇ればいいのかな? ほかの道は壁に向かって動かない兵士で埋まっているし…」


そうしてトコトコと歩いていくと、大きな部屋に出た。

そして、その部屋の奥には2段高いところに座る、非常に身なりのいいおっさん(王様?)が座っており、周りには騎士っぽい人たちが立っていた。

でも、王様? 領主様? 下を向いたまま全く動かない。

騎士っぽい人も後ろを向いたまま全く動かない。

そもそもこの部屋、入り口の大扉が最初から全開なんですけど。

この国の防犯意識が非常に気になってきた。

これでこれまで守ってきているのだから意味はあるのだろうが、意図が全く分からない。


「あ、えっと…」


「どうぞ、そのままお入りください!」


俺の呟きに気づいたのか、返事があった。

よく見たら王様? の傍に片膝立ててうずくまり、下を向いたまま全く動かない騎士がいて、その人が言ったみたいだ。


「では、おじゃまします・・・」


一応、断ってから大きな部屋に入っていった。

どこまで歩いていいかわからないので、ゆっくり歩いていくと、王様? から


「わ、我が国はそなたと敵対する意思はない。希望があればできるだけ全て聞こう! 我々は何をさせてもらえばよいのか?」


いきなりすごい下手に出られた。

え、なにこれ? ドッキリ??


「いや、敵対とかないです! ただ、どこか休める場所と、魔王軍の動きを教えてもらえればと…」


「そ、それだけですか? 宰相! すぐに屋敷の手配と魔王軍に関する調査報告を準備せよ!」


「は、はっ!」


よく見たら、入り口の扉の近くに身なりのいいおっさんがやはり壁に向かってうずくまっていた。

そのおっさんがもぞもぞと扉の外へと向かい、部屋から出た瞬間消えたかのようにすごい速さでどこかへ行った。

そしてその間、部屋の中の人は誰も動かない。


「あ、いや、今晩だけ休めれば。情報をいただければすぐに次の町へ向かいますので…」


正直、兵士が兵士の仕事をしているように見えない街で、防犯上非常に重要な扉が開けっ放しとか、精神衛生上非常によくない。

昼間からすべての店が閉まっている街とか長期滞在したくない。金はないが、金を稼ぐところも使うところもない。

あ、金…


「あ、えっと、非常に頼みにくいのですが、手持ちがありませんでして、少しでも貸してもらえないかな~って、無理ですよね?」


「おい! すぐに支度金を用意しろ、財務大臣!」


「は、はい! すぐに!!」


下を向いたままの王様? が声をかけると、やはり入り口の扉近くで壁に向かってうずくまっていたおっさんがのそのそと扉に向かい、部屋を出た瞬間消えた。

あ、いや、え、マジ・・・?


「え、えっと、本当によろしいので、しょうか…?」


「魔王軍は我が国ならず、多くの国にとって非常に脅威なのだ。少しでもその脅威を払っていただけるのならば、いくらでも援助させていただきます!!」


あー、なるほど。ようやくわかってきた。

どうやら俺がこの世界に転移した時に、あの禿げたおっさんが各地のえらいさんに「魔王軍と戦える勇者を送ったから援助してね!」みたいなお告げをしたのだろう。

そしてその際に俺の特徴を伝えたから、ここまで無警戒に招き入れてくれたのか。

ふむ、もう一度あの禿爺に会ったら、少しはお礼を言わないといけないな。

その前に狼の群れの中に放り出したことへの償いはしてもらうが。

さて、そういうことであれば、少しは見栄を張って返事をしないとな。

ここで頼りないと判断されたら、他の偉いさんに「やっぱ勇者(笑)だったから援助なしでもおk」とか言われかねない!


「お気持ちはわかりました。必ずや魔王軍を止めて見せましょう」


「お、おお、まことでございますか! ありがとうございます……」


え、急に王様?たち泣き出したんだけど。

あれ、今まで壁に向かって直立不動だった騎士? 達も泣いているかのように少し震えているのだが。

何故泣くのだろう? よほど魔王軍の攻撃がひどかったのだろうか…?

いや、これは笑いをこらえているのか!?

少し下手に出たら急に態度が大きくなったから、「やはり小物…(笑)」とかかな!?(泣)


「「「ひぃっ!?」」」


あれ、急にまた動かなくなった。なんか緊張感も増したような…?


「お、お待ち…ひぃっ!?」


あ、最初に出て行った宰相? さんが帰ってきた。

でも、部屋の前でがくがく震えて中に入ってこないのですが。


「お、おお、良いタイミングで戻ってきたな(泣)、早くこの方にお渡ししなさい! 早く!!」


「ひゃ、ひゃい・・・(大泣)」


え、ちょっと急におっさん大泣きしたんだけど!

しかもゆっくりとしか近づいてこないから時間伸びて嫌なんだけど!?


「ご、ごれぼ…」


もはや何を言っているのか分からない言葉で、何十本にも見える高速振動の手で、書類を渡してきた。

この人、かなりお疲れなのでは? というか、様子が重病者のそれなのだが。

そしてすごいな、この状態で書類をキレイに渡せるとは。


「あ、ありがとうございます」


「どぼいだじまじで!!」


うん、泣き顔のおっさんのドアップとか罰ゲームだよな。

とか思っていると、


「お、お待ち…ひぃっ!?」


次に出て行った、大臣? さんが帰ってきた。そして宰相? さんと同じく、がくがく震えて中に入ってこようとしない。


「早くお渡ししなさい!」


「ひゃ、ひゃい・・・(大泣)」


王様? が催促すると、小鹿のように足を震わせながら泣き顔のおっさんが俺のほうに近づいてきた。

いや、やっぱりこれは罰ゲーム…

というか王様? どうして下を向いたまま状況をきちんと把握できているの? 何かの特殊スキル持ちなのかな?

そしてさっきの人と同じように、おっさんの泣き顔をドアップで見せつけられながらお金? の入った小袋を受け取った。

というか、重!?


「え、ちょっと、これって、結構入っていませんか!?」


「旅にはお金がとてもかかるでしょう、どうぞお持ちくださいませ!!」


「そ、そう言われるのであれば、お言葉に甘えて…」


ちょっと中を覗いてみたら、白金のコインだった。

よくある貨幣制度だと、鉄→銅→銀→金で、プラチナやミスリルを加工できる場合のみ、金の上に白金があるのだが…

いや、もしかすると銀と金を混ぜたような、銀と金の間の価値なのかもしれない。

うん、俺の精神衛生のためにも、そういうことにしておこう。


「で、では、情報やお金の支援など、ありがとうございました。えっと、こちらの宿? に今日は泊めさせていただきます。明日朝一で出発しようと思うのですが、よろしいで」


「ぜひ、そのようにお願いします!!」


かなり食い気味に返事されたのだけど…、あ、もしかしてトイレに行きたかったのかな?

俺ってここに来たのは急なことだったし。


「ではこれで失礼します。いろいろとありがとうございました。」


「「「お気になさらずに!」」」


うおっ、王様? だけかと思ったら全員から言われたのでちょっとビビった…

さて、今日はいろいろとありすぎたので少し疲れたし、早めに寝て明日は早めに出発するか。

しかし、よく考えたら俺。

魔王軍と戦うすべ無いぞ…?

先ずは武器屋にいかないとなぁ。

こんなことにも気づかないなんて、色々あったせいで頭、回ってなかったんだなぁ。

そんなことを思いながら、手配してくれた宿? でゆっくりとした。
























「え、これが宿? 貴族の屋敷とかではなく??」


滅茶苦茶豪華すぎて、全く眠れなかったけど。




お読みいただき、ありがとうございます。

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