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『空気』な彼は異世界へ降り立つ

「え、ここっていったい・・・?」


気が付いたら真っ白な部屋?にいた。

何もない、どこまでも真っ白な部屋?

困惑が混乱を呼び、しかし一回りして落ち着き始めたころ、


「ふむ、どうやら転移は成功したようじゃぶげらっ!?」


真っ白いひげを蓄えた、禿げたおっさんが目の前に現れた。

とりあえず反射的に殴ってしまったが、よく考えたらこの状況を知っている人だったのかもしれない。


ドカッ、バキッ、ドゴッ!ゲシゲシ、……


「ぎゃ、ぎゃああ、ちょ、や、やめっ、がっ、……」


つまり、殴ったことを理解された状態で逃がしてしまうと、自分の命が危ないに違いない!


ドカッ、バキッ、ドゴッ!ゲシゲシ、……


「ぎゃ、ぎゃああ、ちょ、や、やめっ、がっ、……、やめんか!!!」


「ちょ、おま、なんてことを!」


禿げたおっさんの体が光ったと思ったら、辺り一面すごい光と熱でおおわれてしまった。

まぁ、効果範囲?の外に逃げたからのんびり突っ込みを入れられたのだが。


「え? いや、なんで、今のをよけられたの???」


「いやもなにも、当たったら痛いだろ?」


まったく、禿げたおっさんの頭がいきなり光るのは仕方がないとしても、あんなにも熱いとは思わなかった。

まだまだ知らないことがあるなぁ。


「で、禿げのおっさん「禿というな!」禿のおっさんが俺を拉致したのは「あ、スルー?」どういう了見だ?」


「ごほん、いやな、わしが管理する世界に魔王が出現したのじゃが、これが異常種というか、どうやっても世界の住人では勝てんのじゃ。それこそ、全員が一致団結して最高まで鍛え上げて、連携をとっても、じゃ」


「で、ほかの世界から人を拉致して対応しろと? 禿のおっさん「禿というな!」それはちょっと虫が良すぎるのでは?」


ガシガシドゴッ!!


「い、いた、や、やめんか!!! はぁ、はぁ、はぁ、もちろん、ただで、とは、言わん……、このリストの中から好きな物を選べ。1つとは言わん、10個まで可能じゃ」


そういって禿げたおっさん「禿というな!」が手を振ると、俺の目の前にリストが現れた。


「ふむ、つまり魔法とかスキルとか伝説級の武具とかがもらえるわけだな。なるほど。要らんから元の世界へ戻せよ」


ドカッ、バキッ、ドゴッ!ゲシゲシ、……


「ぎゃ、ぎゃああ、ちょ、や、やめっ、がっ、……、やめんか!!!」


再び光る禿げたおっさんと離れる俺。


「なんでじゃ!より取り見取りに10個じゃぞ!!普通なら1個のところ10個じゃぞ!!!」


「いや、いらん。欲しいのないからな。だから戻せ」


「ちょ、蹴るな!殴るな!じゃあ、何が欲しいんじゃ!?」


「……存在感」


「…は? あ、ちょ、蹴るな、殴るな!!」


「昔から存在感が全くなかったんだよ……スポーツで活躍すれば目立つかと思って死ぬほど特訓したのに、どの大会も出場しているのに無断欠場扱い…」


「お、おう・・・」


「ならばと勉強漬けして全国模試で上位を取れば、名前が文字化け、学校も文字化けしてて、落丁扱い……」


「おぉう・・・」


「学校も皆勤なのに小テストや期末テストにだけいつの間にか出席しているだけの人扱い……親も仕事が忙しいからかここ数年間1度も会ってない……」


「あー・・・・・・」


「大きな声であいさつしても、キョロキョロされるだけ。あー・・・orz」


「あ、動かなくなった……」






ただいま充電中…








ただいま充電中……







ただいま充電中…………












「ふむ、何とかなりそうじゃ「ほんとか!!!」ほんとじゃ、ほんとじゃ」


おお、光まぶしい禿げただけのおっさん「禿というな!」だと思ったが、意外といい人だった。

これは反省しないといけないな。


「おら、禿げのおっさん! 早くよこせ! 俺の存在感を!!!」


ドカッ、バキッ、ドゴッ!ゲシゲシ、……


「ぎゃ、ぎゃああ、ちょ、や、やめっ、がっ、……、やめんか!!!」


…………

………

……


「はぁ、はぁ、はぁ、いいか、スキルの中に『威圧』というのがあったじゃろ」


「ああ、あったな」


「それを改変して、『存在感』というスキルを創造したのじゃ」


「ほほう??」


「レベルやスキル、魔法の数などが多くなれば多くなるほど『存在感』が増し、周囲の注目を集めるようになるのじゃ」


「ほほう!!」


「最初はレベルが低いが、おぬしはよそ者の異界者故レベルに上限がない。それこそ魔王を倒せるほどに鍛え上げれば『存在感』で注目間違いなしじゃ」


「なんと!!」


「ただ、さすがにデメリットというか、メリットの裏返しというか、元になった『威圧』に引きずられた条件が付いての、」


「ふむ?」


「”相手との”レベル差やスキル・魔法の数の差が大きいほど『存在感』が増して注目され、逆に低レベルの内は『存在感』が減少してろくに注目されんのじゃ」


「おいちょっと待て禿爺」


「ままままてまてまて、おちつけおちつけ、ちゃんと対策も考えておる!!!」


「ほう?」


「もともと異界者はスキルや魔法の習得に多少の上昇補正が付くのじゃが、おぬしには補正を更に追加しておくのじゃ」


「なるほど…」


「レベルこそそれなりの時間はかかるじゃろうが、スキルや魔法は直にいくつか覚えられるじゃろう。多少でも覚えれば、一般人からはそれなりに注目されるぞ?」


「よし禿爺「禿というな!」お前の提案を受けてやろう。その、魔王?とやらを倒せばいいのだな?」


「お、おお、よかった、よかった・・・、よろしく頼むぞ!!」


「ちなみに、魔王を倒した後は元の世界に戻るのか?それとも世界に残り続けるのか?」


「それについては、魔王討伐時にこちらから問おう。おぬしは好きなほうを選べばよい。仮に元の世界に戻るとすれば、わしが引っ張った直後の時間軸になるじゃろう」


「なるほど。仮に元の世界に戻るとする、その場合はこちらの世界で得たスキルや魔法は使えるのか?」


「それについては、済まんが何とも言えん。世界の摂理が違うのでの。効果が減少するだけなのか、そもそも使えるのかどうか、断言することはできん」


「増減ではなく減少、ということは多少は予想がつくのか?」


「まぁ、予想なら、の。おそらくは、非常に劣化した状態で使える、と思うのじゃ」


「ふむ、それならば『存在感』も多少は効果があるということか?」


「おそらく、としか言えん。そもそもおぬしの居た世界には”レベル”や”スキル”、”魔法”という概念が世界の摂理にないのじゃ。だから現地の人が比較対象になるかどうかが分からん」


「むぅ、そうか・・・、まぁ、考える時間はたっぷりあるだろうし、それはおいおいでいいや」


「すまんの、予想しかできなくて」


「いや、摂理?というのが違うということは価値観が違うようなものだろ? 予想できるだけでも立派だろ」


「おお、そういってもらえると助かるのぅ」


「あと、ちなみにだが、もし魔王討伐の途中で俺が死んだらどうなるのだ?」


「死ぬ。すまんが、それについてはどうしようもない。その場合、またほかの世界から可能性のある者を呼んでくるしかないのじゃ」


「そうか…、なら慎重を重ねないといけないな…、ふむ、分かった。もう大丈夫だ。禿爺「禿というな!」さっさとお前の世界へ飛ばせ」


「いきなり上から目線に戻ったな!? まぁ、本当にすまん。この世界をたのむ…」


そうして禿おやじの「禿というな!」頭が光ったと思ったら、見知らぬ平原のど真ん中にいた。


















オオカミの群れに囲まれた状態で。





















「ん?」





お読みいただき、ありがとうございます。

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