主役中の主役、魔王様ついに登場!
魔王様は強いです。具体的には、フェンリルのボスと1対1なら良い勝負です。そんな魔王様がついに登場します!
in魔王城
さて、真っ黒でやたら豪勢なお城の前に到着した。
「さて、どうするか・・・」
今、非常に重要な二択に迫られている。
場内に入るか、入らないか、だ。
なるほど、普通に考えればここまで来たのだから入るしかない、と思うだろう。
俺もついさっきまでそう思っていた。
勝てる、勝てない、ではなく、ここまで来たのだからせめて情報収集くらいは、と。
だけどね。
「門が開いているどころか大破してるし…、しかもあちこちから煙が上がっているし…」
どう考えても、先の駐屯地らしき場所を襲った人たちがいるよね?
え、この魔窟の中に突っ込むの?
むしろ、このまま待っていたら彼ら?が魔王倒してくれるんじゃね?
とか思っていたら、
「え、ちょ、何これ…?」
突如、俺の体が白い光に包まれた…。
~side 魔王軍防衛隊~
「全軍、第一種非常態勢!!」
「正面より、フェンリルの群れが強襲!!」
突如、魔王城にフェンリルの群れが現れた。
場内は混乱に襲われたが、何とか指揮系統を立て直して迎撃態勢を整えたが、正直どこまで耐えられるか…。
そもそも、なぜフェンリルの群れがこんなところまで?
そしてこの魔王城に突撃を?
いくら考えてもわからない。
だが、魔王城の防衛を任せられている以上、易々と突破させるわけにはいかない!
「全軍、迎撃開始!!!」
こうして、魔王軍防衛隊vsフェンリルの群れの戦いが始まったのであった。
~side 魔王~
「何、フェンリルの群れのが城内に侵入?」
「はっ、防衛隊は健闘したもののすでに半壊、フェンリルの多数が城内に侵入しております」
「四天王はどうした!?」
「すでに迎撃に向かわれておりますが、城内の混乱のためか、その後連絡が取れておりません・・・」
「くっ、なぜフェンリルがここを襲うのだ!? フェンリルの生息圏には近づかないよう厳戒令を出していたというのに!」
「理由はともかく、今襲われている以上、対処するしかありません!」
「一頭や二頭ならともかく、群れとなると我でもさすがに手こずるな…、仕方ない、一時裏口より身を隠す。そなたは時間を稼いだ後に逃げろ」
「はっ」
そうして、我は隠し通路より城を離れることにした。
それが、己が寿命を縮めるとは気づかずに…
~side フェンリル~
やばい! やばい! やばい!
やつが来た!
こんな北の果てまで追ってきた!
一刻も早く、ベヒモス族の結界内まで逃げなければ!!
くそっ!
ベヒモス族へ通じる唯一の洞窟前に変な黒い城が建っていたんだった!
魔王の小せがれのだ!
くそっ、くそっ、くそっ!!!
全員で突撃して、洞窟に通じる通路を探すしかない!
手間取ればやつが追いついてしまう!
全員、全力で捜索だ!!!
道中、それなりに強いやつがいて手こずり群れの半数がやられたが、何とか洞窟に通じる通路を見つけたので皆我先にと突入した。
途中で番人らしき奴がいた。
かなり手強く、更に何頭かやられてしまったが最後は我直々にきっちりとどめを刺しておいた。
やつの気配はもう極限まで強まっている。
さすがの我もこの傷ではこれ以上動けない。
だが、何とか群れは残せた。
「ワオーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!」
皆、最後の命令だ!
早く、早く、早く、逃げろ!!!!!
もうあと少しだ!!!!!
四天王とそろって王の間に籠城していたら、実は助かっていたというオチ。
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