プロローグ
拙い作品ですが、少しでも笑っていただけたら幸いです。1話1話は短いです。
マーチ王国
軍事力こそ中堅だが、ずば抜けた経済力でもって大国と並ぶ王国。
その王都にある大通りには多くの店や露店がひしめき合いながら並んでいる。
そして店目当ての人も多く、まさに人の絨毯ともいえる光景である。
夜になれば一部の店が閉まるけれど、人の絨毯は少しも揺らぐことはない。
まさに、マーチ王国の象徴ともいえる大通り。
その大通りが、今、無人の通りとなっていた。
否、
正確には、1人の男と、無数の像が並ぶ通り、となっていた。
店という店は幕を下ろして戸締りをして物音ひとつ立てない。
警邏の兵は外向きに直立不動。
運悪く逃げ遅れた市民は頭を抱えて外向きにうずくまる。
動くものはただ一つ。
大通りの真ん中を悠々と歩く1人の男だけであった。
生きとし生けるものはすべて、息を殺して目をつむり、震える体を無理矢理押さえつけて止める。
ただただ、通りを移動する”恐怖”から少しでも己を離すため。
少しでも生存の可能性を上げるため。
ほんの少しでも早く”恐怖”が終わることを
皆が願い続けていた。
そんな、恐怖をまき散らしている男は、
「あれ、なんでみんな壁のほうを向いて身動ぎすらしないの? なんで店がすべて閉まってるの?」
現状を全くと言っていいほど理解できていないのであった。
最初に考えていたタイトル、すでに存在していてびびりました…