表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/57

52、黒蜜無双 (流血あり)

サトミが右手の雪雷を逆手に持ち、指で手綱を持つ。

ぐるりと前方を目で見回す。

まずは左か……

左手には、黒蜜がある。


サトミが7人と言った先は、遠くにあの女が一人、立ち尽くしているだけだ。


「朝4人、目の前7人とスナイパー1人か。12人もよく集めた。

無駄金使いやがって、クソ野郎馬鹿じゃね?」


左をチラリと見る。

人がいると言う事は地雷じゃない。

さて、何が出るか楽しみだ。

森を過ぎて、ベンが荒野に走り出る。

森を過ぎた瞬間、軽機関銃が森から音を立てはじめた。


タタタタタタタタタンッ!!!


左後ろから来る弾に、サトミがベンを右に避け、左に避けて頭を下げる。

空を切って、身体ギリギリを弾が通り過ぎてゆく。


「うっせえなー」


黒蜜を持つ手の指で、ナイフベルトから1本ナイフを取り、左前方に放る。

黒を右に振り、ナイフの刃がくるくる回って左後方に真っ直ぐ向いたとき、その柄の頭を渾身の力で黒蜜で叩いた。


カーーンッ!


タタッ・・・・・


機関銃を撃つ男にナイフがひらめき、機関銃が沈黙する。

間髪入れず、右前から光学迷彩のシートに隠れていた男がアサルトライフルで撃ってきた。


タタタタタッ!タタタタタタ!


キキキンッ!ギンッ!キンキン!


雪でアサルトライフルの弾を弾くと、左前にもう一人が身を起こす。

サトミが右を雪で弾きながら左の男の弾を避け、黒蜜をその男に向けて一閃した。


ヒュンッ!ガキンッ!


刃が男に向いた瞬間、音を立てて黒蜜の刃が柄から外れ、男に向けて一直線に向かう。

伸びるワイヤーがビュンッ!とうなり、それは左の男の肩口を貫いた。


「ひ!」


いったい何が起きたかわからないような、男の絶望的な顔を冷たく見下ろしながら一気にサトミが黒蜜の柄を引く。

黒蜜は男を切り裂き、空へ舞い上がる。

サトミがその柄を右からゆっくり左に引くと、一気に右に振り下ろす。

黒蜜は彼の動きをトレースするように、右の男に向かい、胸を貫いた。


「ひぃ!ぐがぁっ!!」


タタタタタンッ!!タタタタタ!


右の男が反射的に撃つ弾を身体を倒して避け、そのまま上空に向けて黒蜜を引く。

男が絶命して舞い上がった黒蜜は、ワイヤーがうなりを上げて瞬時に巻き取られ、柄に戻った。


指で手綱を取り、ベンをぐいと右に寄せる。


「隠れてんじゃねーよ!」


道を外れて走り始めると、息を潜めて隠れていた男が光学迷彩のシートを跳ね飛ばし出てきた。


「ち、畜生!」


タタタタン!タタタタン!


キキキンッ!キキンギンッ!


「うわあああぁ!来るな!来るなあああ!!」


焦って撃ちながら恐怖に後ろに下がる。


「何で!なんで当たらないんだよおお!!!」


サトミは弾を避けて弾きながら、その男に迫ると一瞬で銃ごと腕を切り裂いた。


弾が当たらない。


普通なら、すでに死んでいるはずの男が、無傷で疾走する。

それが彼らの恐怖を倍増していた。





ダンクがその様子を、呆然と見つめる。

いったい何を使っているのか、男が突然サトミの先に現れる。

サトミがワイヤーで黒蜜を飛ばし、男が切り裂かれ一瞬で倒された。


あれがサトミだと信じられない。

あまりの恐ろしさに、知らず手が震えた。


女を撃つことも忘れ、サトミの剣技に目が奪われる。

足がずるりと滑って、ハッと我に返った。


「み、見ない。そうだ、あれはサトミじゃねえ!見なかったことにする!」


深呼吸して、気持ちを抑えるとデリーの方向を見る。

ハッと息を飲んで、スコープで確認する。

サトミに気を取られ、気付くのに遅れてしまった。

気がつくと、ガイド達がいつの間にかこちらへ走ってきている。

何か騒ぎが起きてるのに気がついて、ガイドを先頭にスピード上げて4人が馬を走らせているのだろう。


早い。


恐らく、サトミも彼らに気がついて急いでいるのだ。

それは、自分がいつまでも女を殺せないでいるからに違いない。


女もガイド達に気がついたのか、馬の後ろに回ってサトミの様子を見ながらどちらが早いかと様子をうかがって見える。

上から見ると、ガイド達が近い。


「しまった!あの女!!」


女は何度も振り返り、右手を後ろに回す。

スコープで見る。

何か握っているのが見えた。

振り向く先に、岩が見える。

あれだ!あそこに地雷がある!!



「ガイドーーー!止まれーーー!!!」



声の限り叫んでも、届くわけがない。

ガイド達が……ガイド達が…………


「駄目だ、地雷は撃っても意味がない。

女を撃つしか……女を撃つしか……女を、撃つしかない!!」


ダンクが銃を向けて女の頭を狙う。


その時、サトミの前方にまた男が一人現れ、自動小銃を向けた。

弾はベンの胸に当たり、サトミの足をかすめる。

サトミはそれに構わずベンを走らせながら腰を上げ、ナイフを1本前に放り黒蜜で柄の頭を叩いた。

ナイフはなぜか、女の足下に刺さる。


そしてガイド達の前で女が地雷のスイッチを押す瞬間、ダンクが引き金を引き、女の頭を弾が撃ち抜いた。


鰐切 黒蜜。

異端の刀。

邪道が正道、刃物は刃物。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 刃物で遠距離攻撃……思い返せば撃たれた弾で既にやってた! ダンクの、決心をつける為の、言葉を繰り返すところが良いです。 [気になる点] 「前日4人、今日7人とスナイパー1人…」とあります…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ