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48、本当に怖い奴

サトミが思った通りの場所を指す。

そこは岩山のてっぺん、考える必要もないほど、この荒野で最高のスナイプポイントだ。


「ここに恐らく1人、スナイパーがいる。

俺が動いたら集中して気がつかないハズだ、ただし、俺が思うにこいつらの雇い主はこの背後の岩棚にいるかもしれない。

岩棚の方が高いから遠くまで無線電波が届きやすいんだ。

軍の奴なら無線を必ず使う。

汚え大人は、自分は汚れない場所からコマを動かす。だろ?

それに、軍属が民間人殺そうとしたってだけでちょっとヤバいからな。

騒ぎになると、もみ消しが面倒だ。」


「ヤバいって…………逮捕されるだろ?

こんな、殺人じゃねえか。」


サトミがため息をついて首を振る。

それは、普通の軍人だ。

ボスの息がかかっていたら、殺しても軍法会議にさえかけられないだろう。

自分達は一般人も何人も殺してきた。


「俺の……知ってる奴らなら規格外なんだ。

戦争は、この国のどこかで継続している。

そう言う奴らはこの世界に存在するんだ。

その証拠に……お前の目の前にいる奴は、のうのうと郵便局に就職した。」


ダンクが息をのみ、そしてサトミの肩を叩く。

もう言葉は無い。


「で、俺はこの岩山に上ればいいのか?

どこに銃を向ければいいと思う?」


サトミが岩山を上から見た丸で描く。

横に岩棚を四角に。

岩山はサトミ達がいる方角から見ると、左が道を隔てて岩棚に面し、右は扇状に小さな森がある。

つまり以前は左側を通っていたのが、事件を受けて右を通るようになったわけだ。

そうはいっても小さくても山だ。

しかも荒野のどこを通ってもいいというわけでは無く、道は決まっている。

外れると地雷があるかもしれないからだ。

森から離れて迂回すると、ひどく遠回りになるのは絵を見なくても良くわかる。


「いいか、良く聞けダンク。

普通、森の前か後ろかを考える時、人はホッとした後がヤバいと考えやすい。

緊張ってのは、目標があるとそこをピークに持っていく。

前準備する。

でも、俺に言わせると準備段階が一番隙がある。

隙を埋めるのが準備段階だ。隙を埋めることに意識が向く。

つまり…………」


「「 やるのは前だ 」」


声を合わせ、ダンクが呆然と息をついて、ハッと笑う。


「お前のその自信は、いったいどこから来るんだ?

何でそんなに言い切れるんだよ。ほんと敵わねえ。」


「だろ?俺もそう思う。

でも、俺の勘は外れたことが無い。

まあ、一度だけヤバかったが、それはそれ。自分で修正する。修正スキルは持ってる。


さて、ダンクの行動についてだ。

ガイド組の森の前とするなら最高に良い事に、こっちは背中になる。

安心して山登れ。

こっち側からな、上にいる奴を殺すかどうかはダンクの技量に任せる。

ただし、殺さないことは、反撃食らうリスクを大きくする。

自分を甘いと思うなら殺せ。俺なら殺す。」


「わかった。自分で自分のリスクは決める。」


「よし。あと、背後の岩棚から攻撃を受ける可能性がある。

山を森側に少し降りて、山を背にして狙うのが理想だ。

ポジション確保できるところを探せ、この服着てたら森側から狙われても怖がる必要は無い。勝手に撃たせとけ。

ただし、岩棚の奴は現役だ、このスーツの欠点も知っている。狙われるな。

ダンクはまず、ここを取ったら女を捜せ。いいな。」


「なあ、岩棚のこいつらの雇い主って奴、思い当たる奴いるのか?

さっきから聞いてると、どうもモヤッとする。」


サトミが苦い顔をする。

ダンクは時々鋭い、隠し事を見抜く。


「はぁーー、そうだよなあ。

仕方ねえ、ダンクには話す。

俺が元いたチームの一人が休暇とってるんだ。

そいつが俺を殺しに来た換算が大きい。」


「はあ??なんで、お前殺すわけ??正規の元同僚だろ?」


「うーん……そうだよなあ、わからんよなあ……

つまり……俺が軍を辞めたのが気に入らないんだ。そういう感じだな。」


ダンクの顔が、怪訝に歪む。

理解できないのは仕方ない。

あのチームの奴らはみんな歪んでるからな〜……


「ダンクよ、世の中には歪みまくった奴らが大勢いるんだ。

そいつらはそれが自然だから受け入れるしか無い。

そう言うことだ。深く考えても答えは無い。」


それはあまりにも、……普通じゃ無い答えだ。

殺人者は殺人するのが普通だから、殺されても仕方ないと言っているような物だ。


「意味がわからねえ。

お前って時々そんな、普通にはついて行けねえ感覚があるよなあ。

物わかり良すぎだろ。

そんな変な奴らに囲まれて、なんでそんな真っ直ぐなんだよ。」


今度はサトミが怪訝な顔で返した。

真っ直ぐなんて思ったこともないし、思われたこともないし、認識として間違ってる。


「俺が真っ直ぐ?まあ、そう見えるだけかもしれないぜ?

俺もあいつらとは性根はあまり変わりがねえ、ただ、周りに合わせるのが得意ってだけだ。

そうしないと生きていけなかったからな。

俺は向かってこない限りは、見境なしに殺さないから安心しろ。」


ドキッとダンクがなぜかすくんだ。

『向かってこない限り』

その言葉がすべてのような気がする。

向かってきたら、誰であろうと殺すという意味だ。


本当に怖いのは、こう言う奴なのかもしれない。


サトミは怖い奴です。

ダンクたちの前で怖く見えないのは、そうしているからです。

どちらが自然体なのかは、彼にもわからないのかもしれません。

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