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44、乗った奴

サトミが個別回りから帰って、他の奴らがいない隙にいつものコーヒー入れて飲んでると、3局回りからダンクが帰ってきた。

砂糖はサトミの届かないところに置きやがったので、自分のロッカーにある砂糖袋から出した。

バレないように、ポーションミルクの容器はバーガーの袋に入れて丸めて捨てる。


フフフ、完璧だろ。

ガイドとリッターはうるさい。うるさ過ぎだろ。


ダンクがキャミーに事務処理頼んで、昼飯の焼いたソーセージとパン置いて、ソファーにボスンと座り一息つくと、サトミを見て、じろりと睨む。


「あっ、お前コーヒー自分で入れやがったな?」


「いいじゃん、俺はこれが飲みたいんだよ!」


「コーヒーもどき、真っ白じゃん。ミルクと砂糖減らせって言われてるだろ?

だいたいなー、お前来てポーションの消費が跳ね上がってるって総務からめっちゃ苦情来てるぞ。」


「あーそっか、じゃあ今度からミルク持参するわ。ここ冷蔵庫あるし。

近くのカフェで、すげえとろとろで美味〜いミルク、譲って貰うことにしたんだ。」


「とろとろって、それめっちゃ油だろ。まったく、お前そういうとこ、子供が残ってンよな〜。

なんでそれで太らねえのか俺は不思議だ。

ロッカー、ココアと砂糖でいっぱいじゃん。

着替え切らさないよう置いとかないと後悔すっぞ〜。」


「うるせ〜、見るなよ。着替えはちゃんと置いてるよ。

元々服を数持ってないんだよ、今度古着屋行ってくる。」


「どうだ?一人で仕事、問題は?」


「無いよ、時々向こうの普通郵便さんが手伝ってくれるから特に問題点も感じない。」


「そっか、じゃあ昼から3局回りよろしくな。」


「うん。」


サトミが昼飯にいつものバーガーにかぶり付く。

他にもメニューはあるのに、サトミはいつも初めて食べたテリヤキ1本だ。

よく飽きないなーとみんな見てるが、実はメニュー見ても、だいたい見たことが無いものばかりで見た目と味が結びつかない。

元々目が見えなかったので、それがどんな食材なのか浮かばないのだ。

全部詳細聞くのが面倒で、同じ物を買うのがラクだった。


「ダンク、ガイドから通信入った!変わって!」


ダンクが顔色変えて、泡食ってキャミーの差し出す通信機に走る。

通信機に俺!と叫ぶと、電話からはガイドの落ち着いた声が聞こえた。


『ダンクか、森で4人組にやられた。リッターがかすったんで病院寄ってくる。』


「4人?!リッターは?!大丈夫なのか?」


『ああ、かすり傷だよ。

リッターはいいって言うんだけどな、バックショットで防弾のゴーグルにヒビ入って危なかった。

妹が心配するだろうから、ケガしたの顔だし、縫って貰った方がいいと思うんだ。

軍関係かな?手榴弾持ち出して、岩山と森の左右、中央ってな、これまでとやり方が違う。

心配はいらんけど、またこっちの便と一緒に出るから遅くなる。

サトミには、ソフトに言っといてくれ。

いいか、絶対動くなよ!サトミは動こうとしたら止めろよ!』


「う、うん、わかった。」


通信を切って振り向くと、サトミがバーガー食べ終わってコーヒー飲み干した。

立ち上がってドアへ向かおうとするので慌てて止める。


「な、な、に、どこ行くんだよ!」


「4人と言った。これはマズい。

新手が増えていると言うことは、これに乗った奴がいると言うことだ。

甘く見るな、帰りも来るぞ。

ガイドは軍の奴が関係していると言っただろう。

手榴弾が使われたとしたら、軍しか考えられない。」


ギクッ!


なんて耳がいいんだろう、ダンクの手が震える。

サトミの言葉が、妙に冷めている。


「なんで、なんでそんなこと言うんだ。

行きでやられたら帰りは…………って、普通……普通思うだろ?」


「普通思う。だから油断する。

この首謀者は俺たちのことをよく調べているはずだ。

いいか、左から襲われた、だが、得物が長い銃の場合、利き手が右の人間に左は狙いやすい。

作戦立てるような奴なら、帰りに襲うはずだ。

今度はそうだな、確実に殺るつもりで人数増やしてくるだろう。

忘れるな、奴らは強盗じゃ無い、俺たちを殺すのが目的だ。」


ダンクが息を飲んだ時、パーティションのドアがガチャリと開いた。

ニコニコ顔のエジソンが顔を出し、そして2人の顔を見て凍り付く。


「えと、あの、また出直す。」


くるりと背中を見せた時、


「待て!」


サトミの声に、ビクンとエジソンが飛び上がる。


「何持ってきた?見せろ。」


「えと、えと、これ。仮に付ける超小型スタンガンの……」


「悪い、急ぐんだ、どう言う物か教えてくれ。」


「えと、とりあえずクリップ式で、柄に電池と基板固定して刃にこのクリップで挟むの作ってみたんだけど……」


「貰う。スイッチは?使い方。そうだな、このナイフに付けてくれ。」


そう言って、ナイフベルトの端にあるナイフを差し出す。


「これ、使い捨ての奴じゃない?」


エジソンの顔が引きつる。


「また作ってくれよ、楽しみにしてる。」


問答無用、エジソンがガッカリしながらそのナイフに付けた。


「これ、小型だから電池一回30秒しか持たないんだ。出力50万ボルトくらい。

しかも一回切り、まあね、だから使い捨てでも全然構わないんだけど、作るの手間なんだけど……ウフフ……ウフフフ……」


テープでガッチリ固定して、スイッチの場所を聞いてベルトに戻す。


「これはこれで使えると思うぜ、まあ俺限定だけど。

行こうぜ、ダンク。お前も行くんだろ?」


「当たり前だ!お前一人に頼らない!

でも、でもどうする?俺たちはポリスじゃ無い。

勝手に殺ると局長に迷惑をかける。」


「馬鹿だな、俺は加勢に行くんだぜ?殺りに行くんじゃ無い。

めんどくせえが、すべてはタイミングだ。」


「ガイド達を待つって?あいつらが襲われるの待てって言うのか?」


ふむとサトミが視線を巡らす。

ちょうどそこへ、局長へ報告へ行ったキャミーが戻ってきた。

サトミは行きがかませ犬だとお見通しです。

どちらもやり方は十分知り尽くしているわけです。

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