41、情報屋の警告
荒野渡りが2人組になって、例の強盗が出ない。
すでに強盗と言うより、ポストアタッカー狙う殺し屋だ。
なんとなく安心するキャミーとダンクに、サトミが静かすぎるのはヤバいと警告する。
「でもさ、なんか諦めたんじゃない?もう機関銃も無いし。」
キャミーの同意にガイドが首を振る。
「まだだな、何しろ女が死んだ保証が無い。
生きてりゃまだやる可能性が高いと思った方がいい。
とにかく!みんな死ぬな。」
ガイドもリッターも、気を緩めるなとダンクに活を入れる。
そうして、数日が過ぎた。
その日、空はグレーの雲が流れ、天気予報は午後から雨と予報している。
早番のガイドが早めに出勤すると、もうリッターが来て馬に荷物を積んでいた。
荷物には、雨対応済みの札がぶら下げてある。
前日荷受け組が気を利かせてくれていた。
「よう、早いな。」
「ああ、なんか振りそうだろ?
雨具着てく?」
リッターが着るかどうか悩んでるのか、鞍の上に雨具の入った袋を置いている。
「まあ、午後からって言ってるから持っていくか。
着てもどうせ濡れるし、戻って着替えればいいし。」
「アハハ!ほんと局の雨具はクソったれだよなあ。」
着ても雨が合わせや縫い目からどんどん漏れるという、濡れる雨具は局員から総スカン食らっている。
が、買った物は仕方ない。裏からテープで目止めしても気休めでしか無い。
おかげで外回り組は、みんな着替えを家並みにロッカーに置いている。
「今度全天候対応のスーツが来るってさ、防弾もある奴。
ほら、デリーはもう導入してるだろ?あのダークグリーンの。
完全防水じゃ無いけど、サッと乾くんだってさ。
ダダ漏れカッパも、少しは快適になるんじゃ無いかね
まあ、軍のスーツの色違いらしいけど、サトミが嫌がるかもしれんなあ。」
「ちぇっ、なんで人数少ないこっちが後回しなんだよ。
局長オカマだから舐められてんじゃないの?」
「まあ、それ言うとLGBTの団体やらフェミニストから闇討ちされるぞ。」
「あー、そういやさ〜俺なんでだろう。
この間飲み屋で飲んでたら、LGBT相談協会の者ですとか言って名刺出されたから、破って捨てたらひっぱたかれた。ひどいと思わない?」
ブッとガイドが吹いて笑った。
「まあ、お前は仕方ねえよな、帰り、男に襲われるなよ。」
「冗談、また股間撃つのか。」
「やめろ、聞いただけでぞっとする。
水、積んだか?装備オッケーだな?よーし、行こうか。」
「おう!」
二人、デリーへと走り始める。
2人組で行くようになって、1日おきは確かにキツいが気分的にはラクになった。
緊張感でどうかなりそうだったけど、休憩も背中合わせで喋っていると死角が無い。
荒野へ出て、一時間ほど走ってリッターがいつも休むポイントへ着くと、ガイドと休憩を取る。
二人、休憩ポイントは違うので、来るたびに交互に変えることにした。
今日は行きがリッター休憩ポイントだ。
帰りはガイドのポイントで休む。
天気はまだ大丈夫そうだ。
馬に水やって、自分達も水分取る。
リッターが、少し深刻な顔でガイドの後ろに背中合わせで立った。
「昨日さ、知り合いが教えてくれたんだけど。
数日前に、なんかヤバい奴が人集めたらしい。」
「ヤバい?テロ?ゲリラの残党?」
「違う、衛星通信のパッド持ってたらしいから、軍の現役だろうって。
うちかデリーかわからんけど、ポストアタッカーの新入り殺したいってさ。」
「そりゃあ……誰目当てかわかりやすいな。」
「だろ?フフフ……」
リッターは、育ちのせいか夜の友達が多い。
つまり情報屋と親しいのだ。
情報屋への情報料は、領収書は無いが経費で認められている。
金が確かに貰えるだけ、情報は確かな物を持ってくる。
信用性が高いのだ。
だが、それでも以前、偽情報掴まされて郵便局一時閉鎖する羽目になったことがある。
その時、リッターは見たこと無いほど怒って、情報屋に情報流した奴たどり、とうとう偽情報の発信源見つけ出した。
町中で殴って殴られ、自分も顔半分腫らしながら相手をボコボコにして、ポリスに突き出し、相手は逃げるように町を出て行った。
リッターは見かけと違って喧嘩に強いし、やられっぱなしで終わらない怖さがある。
誰かが死んでたら殺しただろう。サトミのことをとやかく言えない。
「バーのオヤジが裏に話通したらしいから、まともな奴が集まってると思うから注意しろってさ。
で、動きがあるのがこの2,3日じゃねえかって話。
ここ何日か、姿消してる奴もいるらしいから、訓練してんじゃねえかってね。」
ふうむとガイドがアゴに手をやる。
狙われるのは、サトミだけとは思えない。
「なるほど、それはヤバいな。
相手が現役軍人としたら、やるのはいつものあの地点だけとは俺は思えないんだが、お前どう思う?」
リッターが、髪をかき上げ後ろで一つに結んだ。
今日は本気なのだろう。
「思うに、あの森越えて、ホッとしたところ……と思うけど、人を使うならやっぱり森だろう。
どうも、今までのような行き当たりばったりじゃ無くて、作戦立ててきそうな気がする。
あと……サトミの話じゃ、地雷の管理は厳しいらしいから、やるなら違うのかな。
リンゴ??」
「はっ、最悪だね」
「まったくだよ」
二人顔を合わせる。
足でガリガリ地面に描いて話し合い、結論が出たら消してガイドが背負ってるM27にスコープを付ける。
リッターはM590の弾を変更して、馬に乗り込んだ。
リッターもガイドも軍に所属していたことはありません。
ガイドは若い頃から郵便局一筋で、ポストアタッカー1本の職人のような物です。
ただ、ポストアタッカーは年に数回研修があって、希望があれば軍人が対応策や銃の指導を行います。
ガイドは素人では無く、この道を戦中からやってる玄人です。




