表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/57

32、友達ポジション

ロンドへの帰り、ポリスが遺体と機銃を回収しているのと出くわした。

ダンクが少し話して、死んでいたのは一人で地雷は見つからなかったらしい。

女の靴が落ちていたと聞いて、仲間はまだ生きているようだと聞かされた。

しぶとい女だ。サトミが心で舌打つ。


ダンクがデリーの奴にも説明しながら、ついでにポリスの事情聴取にこたえる。

こう言う強盗事件は、さして珍しくもないので聴取は簡単だ。

だが、殺したら殺したで連絡は必要。

衛星通信で、盗賊の死体の回収と後始末を頼まねばならない。

ポリスは現場検証と記録、死体回収、それと郵便局へあとで事情徴収に来る。

現場の状況とポストアタッカーの話に相違があると面倒だから、聞く内容は非常に簡単だ。

現場は危険地域がほとんどだし、遺体はだいたい仲間が回収して無いことが多い。

ポリスも大変な仕事だ。


ダンクが話しながら、通った場所を指差して説明する。

3人がかりでトラックに運ぶ機関銃の残骸を見て、ダンクとデリー郵便局のポストアタッカー、ジェイクが呆然とサトミを見る。

ばつが悪くて目をそらしていると、二人が来てそれぞれポンと肩を叩いて馬へ戻った。


「まったく、お前はマジシャンみたいな奴だなあ。

これ、バレル吹き飛んでるじゃん?…………あれ、偶然?」


「じゃね?」


簡単に返して、ベンに乗った。

偶然で銃口に入るわけねえじゃん。


ジェイクはひょいと肩を上げて、首を振り馬に乗る。


「偶然じゃ無くて何だよな〜……あり得ねえ、あり得ねえよ。

ま、ロンドに行って話そうぜ!

えーっと、ちっこいのじゃなくて〜なんだっけ?」


「サトミだ!ちっこいの言うな!」


「ちっこいの?!お前デリーで、ちっこいのって呼ばれてんの?ギャハハハハ!」


馬鹿笑いして、ダンクが先を行く。

ジェイクが親指を立てたので、サトミはムスッとして親指を下に向けた。






ロンド郵便局が近づいてくる。

帰ったら、ダンクは皆に話すんだろうなあと思えば気が重い。

自分の技は、芸じゃない。

だが、軍に入りたての頃は、おっさん達から付けられたあだ名は『ちびっ子サーカス』だった。

俺は、ひどく侮辱された気分で、あいつらの後頭部に3インチハゲを言われるたびに何個も作ってやった。

俺にやられたの気がつかずに、ストレスだと言ってたのが可笑しかったけど、同じチームのジンにはバレていた。



ロンドに着いて荷物を降ろし、荷受所に持って行くと、待っていたリッターが局分け分の配送に出た。

今日は少ないけど遅れているので凄い飛ばしていく。

うちの分の個別配送は、話し合いするからと一般局員が出てくれることになった。


ガイドは午前の分の個別配送回っててまだ帰ってない。

ダンクとジェイクは昼飯買いに出て、サトミは彼らの馬も連れて馬繋場に連れて行って世話をしていた。

ベンが少し機嫌が良くて、他の馬の世話をしてると噛みついてじゃれる。


「お前ほんとヤキモチ焼くよなー」


「さひしい、さひしい、にんじんほしい」


「どこで覚えんだよ、変な言葉。」


「ラジオだ、ケチ」


「まあ、テレビはそのうちな。

俺、テレビって無駄な情報多くて嫌いなんだよな〜。」


ベンにニンジンやって、自分はアメ玉をなめる。

アメ玉買わなきゃ、もう少ないな。今度何味買おうかな。


「サトミー!バーガー買ってきたぞー!食おうぜ!」


「了解!」


ダンクが一体何個買ったのか、なんかバーガー屋の大きな袋持ってきた。

ジェイクはコーラの瓶5本くらい持っている。

ジェイクのおっさん、大食漢なのかもしれない。


二人が事務所に入り、しばらくして荷受所からダンクが叫ぶ。


「サトミよ〜、なんかお前に荷物だってさー。

軍第1ってしか書いてない。どうするー?」


荷物?軍第1?いや、ここに勤めてるの知らないだろ。

怪訝な顔で荷受所に行くと、台車に見たことある箱だ。


「あれ?これ俺が注文してたナイフだ。なんだ、あいつ送ってくれたのか……って、やっぱバレてるじゃん。」


ちょっとガッカリした。

荷受け担当のリカが、怒ったように指差す。大変だったのだろう。


「ちょっとサトミ!これ、めちゃ重いの!自分で持ってってよ。

あ、送料払って、あー着払いだわ。」


「ええええええーーーマジ?てか、だろうなあ……」


「マジマジ、えーと、送料と中の代金合わせて1905ドル。

おっもいから送料凄く高いんだよ。」


「1905ドルって……あるわけ無いじゃん、明日払うから先に貰えないの?」


横で聞いていたキャミーが顔を出した。


「ナイフ?ナイフ代なら出すわよ、今回送料だけ払ってくれる?

次から郵便局通して注文してね、手続き面倒くさいから。あと、事務所置きになるけどいい?」


「いい!持って帰るのめんどくせえし。助かった〜。送料は払うよ、どうもナイフだけじゃなさそうだ。」


抱えてみると、なんだか……妙に重いなー。


「うーん、マジ重い。まさか、人の首とか入ってないよなー。」


「は?」


「何でもない、ちょっと中確認する。」


重い箱だが、サトミは軽々と外に持っていって、音を確かめ、匂いをかぎ、慎重に箱の横を切ってみる。

上から開けるとかは無い。


「お前なんで外であけんの?しかもなんで横から切るわけ?」


ダンクが荷受所のドアから顔を出す。


「だって、爆発物や毒物仕込んであると困るじゃん。」


「ええええええええ…………友達だろ?マジかよ。どんな友達だよ! 」


驚く事に驚くのだが、俺はそれが普通だ。

友達といっても、あのジンだ。心を許したら殺られる。

だいたい荷物や手紙なんて、あいつが人に送ったのは初めてじゃないかと思う。

恐らく何かの嫌がらせがあるはずだ。

友達が何を指すか知らないが、仲が良かったわけでは無いけど、仲は良かったと思う。

自分で自分が何を言ってるかわからない。

まあ、そんな命に関わるくらいヤバいけど、一応仲のいい友達ポジションだ。

とは言え、郵便は全部X線で検査を通すので、爆発物や銃は仕込んでないはず。


サトミは慎重に開封し始めた。

ジンから郵便が来たと言うことは、元いた奴らに居場所はバレてるという警告もあります。

ジンは何考えてるかわからない怖い奴です。

それでも、そんな場所でサトミとしては友達ポジション。

ジンがどう考えていたかは不明。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ