表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/13

第3話【ユキと私と】

前回出したのより少し改筆しました。



もしもあの時…

あの道を選ばなかったら…




私の運命は変わっていたのかな?












陽菜はしばらく時間が過ぎた後にあの猫を追いかけたのだが、その猫はすぐに見つけることができた。







−−あ、いた。



猫はどこかの家の前で、ひなたぼっこをしていた。

目をつむって、気持ちよさそうにごろごろとしている。




−−かわいい−…!!




陽菜は懲りないようで、また猫のもとへ、ふらふらと近寄って行った。

しかし、今度は猫は逃げようとしなかった。

目は警戒しているものの、まだ地面に横たわったままで、動く気配すらなかった。







…うわ、ふさふさ…!!




陽菜は笑顔を零しながら、思う存分猫を触りまくった。猫も嫌がるそぶりを見せず、ごろごろと喉を鳴らしてみせるほどだった。




やがて猫はすくっと立ち上がった。

陽菜が行く先を見守ると、猫は、陽菜の目の前にある古い、木造建築の家へと入って行った。







−−古い家だな…。




陽菜がその家を見た、初めての感想だった。



その家は古い木造で、壁の青いペンキの部分は剥がれかけていた。屋根である部分も、雨や何かの影響でボロボロになっていた。


それでも、その家は我が物顔でがっしりと建っている(陽菜にはそう見えた)。

新しい家家が続いているなかで、唯一この家だけが、リフォームも建築も直されていなかった。






−−家主がわざとしないのか、面倒くさいからなのか…




それは陽菜にとってはわかるはずもない。

でも、陽菜がこの家に興味を持ったのは確かである。




みんなが変わっていくなかで一人だけいつまでも変化しない。悪くいえば取り残されている。よく言えば…




「……って!!」



そんなこと考えてる場合じゃなかった!!



陽菜は慌てて、今まで来た道を戻ろうと後ろを振り返った。






その時だった。

ある曲が、陽菜の耳の中に流れ込んできたのだ。




陽菜は足を止めた。

それは多分…意識的に、ではなかった。






−−あ…ユキの歌だ






ユキとは今、巷で話題となっている女性歌手である。若者以外にも支持率が高く、男性・女性共に人気がある歌手だ。しかし、ユキはどの番組にも顔を見せたことがないため、言葉で表すと、まさに声だけで勝負をしているのだった。




今流れているのは、ユキの[恋と君へ]という曲である。この曲はつい最近売り出されたばかりで、CMにも使用されている。そのこともあり、ユキが出している曲で有名な一つでもあった。



陽菜もまた、この曲が大好きで、このCDはもちろん、今まで売っているCDを全て買っているというほどだった。







−−この家の人も、ユキが好きなのかな?










陽菜はそんなことを考えながら、その曲を聴き入った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ