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まるくまるく  作者: あるまたく
小瓶 脱兎 これからも
30/59

SS 23-2 エレナ

 ぐぅ~


 空腹とは非情だと思う。閉じこもってる最中なのに、訴えてくるんだもの。今日の昼食は何かな、昨日は照り焼きだったから野菜炒めかな。……カミラさんまだかなぁ。

 エレナは今、自室のベッドの上でひざを抱えている。左腕のみで。右腕を《《失ってしまい》》、心も病んだ《《ことになっている》》。ギルドマスターからは無理に仕事をしなくても良い、ゆっくり休養し心を癒せ、と言われている。ヴァルデさんも《《怖いくらい》》優しいし、リーネまで水菓子を買ってきてくれる。


「……今更」


 トントン


「エレナ、入るわよ。」

「……。」

「野菜炒めだけど……こっちに来て食べない?」

「カミラさん……今更なんですけど、その、えーっと。」

「分かってるわよ。」

「え?」

「エレナが仕事をサボったは良いけれど、暇で仕様が無いから仕事に戻りたい、とか。」

「うっ……。」

「高価なお菓子を貰った手前、実は何ともなかったんです、なんて口が裂けても言えなくて理由を探してるとか。」

「うぐぐ……。」

「私が持ってきた昼食のことを考えて、お腹が鳴っていたことも知ってるわよ。」

「……。」(ぐぅぅ~)


 完敗である。カミラさんには全部バレてたなんて。上目づかいでカミラさんを見ると、昼食を並べてくれていた。あっ……パンにジャムもある。


「ヴァルデさんに、あとでお礼を言っておくのよ?」

「え? あ、そのジャムって。」

「手作りらしいわよ。あとコレ。」

「薬草? この香りは……香辛料?」

「気分を落ち着ける香料らしいわ。コレクションから出すなんて愛されてるわね?」

「うっ……さらに言い出しづらく。」


 うつむいた私に歩み寄り、カミラさんが優しく抱擁してくれた。顏を見られたくなくて背けちゃうけれど。


「誰もあなたを責めたりはしないわ。ゆっくり食べなさい。」

「ふぁぃ。」

「朝食もしっかり食べたみたいだから、大丈夫よね?」

「……。」(顔を少し擦り付ける)


 カミラさんが撫でてくれる。


 大好き、カミラさん。




 話そう、今の気持ちを。私の体に起こっていることを。


 そして……みんなに『ごめんなさい』を言おう。


 でも、その前に……冷めちゃったけど、温め直してもらえるかな?

読んで頂きありがとうございます。

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