第6話. 決断
--と、言うわけなのよ。
女神--リンカ…なんとか様から事故った時とその後の様子を見せてもらえた。
--気軽にリンちゃんって呼んでもいいよー?
何か言ってるがとりあえず無視をしよう。
「って、心読んでます…?」
--今は君の内側を見せてもらってたからついでにね
そうだった。リンカ様は俺にあの時のことを見せてくれている間に現状を調べてくれていたんだった。
「……何かわかりましたか?」
--ちょっとまってねー
プライバシーの侵害かと言おうと思ったが、女神様相手になら仕方がないんだろうな。
--へへ、ごめんね。それで分かったことだけど…
そんな諦めも含めて読み終わったようで、俺の現状を説明くれた。
リンカ様曰く、俺の肉体はスライムになってしまっているようだ。
本来なら転生の際は同種に近いしい存在へと転生させるらしいが、邪神?の干渉で魔物へと転生してしまっているらしい。
--仮に魔物に転生したら、心もそっちによりやすいんだけどねー…
本来の転生だと記憶は回収されて、新しい器である肉体に精神が引っ張られるらしい。
--まぁこの世界は今は平和だからねー
この世界のことも教えてくれた。
この世界【イデアル】は大きく分けて3つの種族--人族【ヒューマ】・亜人族【デミシュ】・魔族【アーテル】が存在するとのこと。
世界構造的にはよくある異世界転生ものにある剣と魔法のファンタジーワールドみたいだが、比較的平和な世の中らしい。
--現存の魔族の長、所謂魔王が比較的友好的だからだねー
悪しき魔族や魔物ももちろんいるが、清き心を持つものが今は多く存在し、中でも魔王とも呼ばれる長が多種族に対しても友好的だから族間での争いは少ないのだそう。
--多分…いや確実に邪神が干渉してるから闇堕ちしてるかヒヤヒヤしたよー
…緊張感の抜ける神様だな。
「でも女神様が助けてくださったから、きっと俺は俺として生きてる……んですよね?」
俺には記憶がある。悪しき魔物にもなってはいない。
それはきっと女神様のカケラとやらが関わっているのは確かだと感じる。
--まぁ転生の際に回収はできてないし、わたしのカケラも入ってるからそうだろうねー
それならもうそれでいいってもんだ。なっちまったもんは仕方ない。
--ユウくんは戻りたい、とは思わないの?
「……戻れるんですか?」
まさかの選択肢を突き出される。
戻りたくないわけではないが……正直今までの生活は文字通りただ生きているだけだった。
生きるために仕事をして、仕事をするために寝食をして。
空いた時間にささやかな趣味をしたりとかくらいだ。
--いや、そのままじゃ無理なんだ。ごめんねー
俺の、地球での黒地悠水の肉体は生を終えているから、戻るとしたら本来の転生の手順を踏んで、1から始めなければいけない。
黒地悠水としての生を終えなければいけない。
「それなら…今のまま楽しみますよ」
そう、決めた。