再会。
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…静かな帰り道。
…晴れた夜空の下に、人の気配は全く無かった。
…静かに、満月だけが私を照らした。
…街灯が壊れてて、殆ど電気がつかない。
たまにパチパチと音が鳴る。
その薄暗い道をいつもと変わらないペースで進む。
それなりに都会化してきたこの田舎街で、広い道路の真ん中を堂々と走るなんて気分がいい。
…顔に当たる夜風は気持ち良かった。
「ん…?」
…突然、真っ白になって目が眩んだ。
…何かがぶつかるような鈍い音と、強烈なブレーキ音が響いた。
…意識がもうろうとしてたけど、身体が宙に浮いていた。
…そうか…
…車とぶつかったんだ…。
…痛みがわからなかった。
…視界が…
…真っ白…
…真っ暗…
「…早く…救急車を……」
……誰?
…あったかい…
…大きな手…
…何処かで聞いた声…
……誰…………?
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「…………?」
…満月…。
…少しだけ気を失ったのだろうか…?
…壊れた自転車。
…凹んだ車。
…傍で電話する男。
…その車を運転してた人かな?
…私は車に跳ねられたのだろうか?
…そして…
「……きょう…や…………」
…運転手の男に背を向けて、私を支えてくれていた。
「……もうすぐ…救急車が来るから……。」
小さな声でそう言って、彼はその場から消えた。
…行かないでよ。
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……病院に搬送された私は、車に跳ねられたというのに、足を軽く捻挫しただけだった。
まぁ事が事なので、頭から色々検査は受けた。
特に異常は無かったので、深夜には帰宅した。
後で警察から聞いた話だと跳ねられたのは、ほぼ自転車で、私は自転車から転倒したから助かった…と。
車の男はウトウトしていたそうで、衝撃音の後で状況を把握したそうだ。
私も…車のライトに目が眩んでからの記憶が曖昧なんだけど…
……私は跳ねられた後、地面に叩きつけられていない気がするんだ。
身体には擦り傷や打撲も見当たらない。
…もしかして…
…あの時…
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