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仮面α  作者: 霧咲 ユウ
7/22

寄り道。

□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「失礼しました。」


渚が帰った後、私は保健室を戸締りして、鍵を返した。




「あれっ…竜也?」


職員室を出ると、廊下に彼はいた。


「帰ろうぜ。」


竜也はいつものテンションで言った。




…きっと待っててくれたんだ。




「うん、帰ろう。」




…ありがとね。








「涛生…此処……」


竜也の足が止まった。


「女の子が落ちた所だ……。」




駐輪場に行くには、此処を通らなければならなかった。




運動場には黄色いテープが張っていて、それ以上中には入れない。




少し足が止まってしまったけど、駐輪場に向かった。








「涛生ィー、竜也ァー。」


学校を出た時、後ろからベルを鳴らして奏太が現れた。


3人一緒に下校した。
















…犯人はまだ捕まっていない。








…近くに潜んでいるかもしれない。








…学校であんな事が起きたばかりだし…








…極力独りにはなりたくなかった。








…竜也や奏太もそうだったのかな?
















「ほんじゃオレは此処で。」


ファーストフード店の前で奏太は自転車を止めた。


「家に帰んないの?」


私は尋ねた。


「今日の夕方からバイト入っててさ、家に帰るのん面倒なんだよねー。」




…奏太ん家は此処からまだ電車に乗らないといけなかったんだ。




「仕事熱心だなぁ〜。」


…竜也が言った。


「自分で希望したシフトだからな、頑張らねーと♪」


…偉いなぁ。


「帰りは気ぃ付けてね~!」


「ほんじゃーまた明日♪」


「おう!」




…奏太と別れた。
















「じゃあな!」


「うん、じゃあね!」


私の家の近く…いつもの場所で竜也と別れた。








「ただいま~。」


…家に入っても静かな訳で。




…冷蔵庫は空っぽ。




「……お腹すいたな。」


私は再び出かけた。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「ん?…涛生!」


コンビニに自転車を止めたら声がして。


「…孝明さん?」




…一瞬気付かなかった。


髪型が少し違ったから。




「今日はバイト休みですか?」


「ああ、久しぶりの休暇だ。」


袋の中には、大量のつまみと缶ビールが入っていた。


「俺ん家すぐそこなんだけど、寄ってく?」


「ほんじゃ折角だし…おじゃまします♪」








コンビニから5分も歩かない場所に、孝明さんの家があった。


小さなアパートの2階だった。








「さぁどうぞ、全然片付いてないけど(笑)」


「おじゃましま〜す…。」




男の1人暮らしってカンジの部屋…。




部屋の隅には読み古された漫画や雑誌が積み上げられていた。


灰皿には大量のタバコ。


…ヘビースモーカーだったんだ。




「飲むか?」


孝明さんがビールを渡した。


「飲めません!」


…未成年です。


「…冗談(笑)。オレンジジュースでいいか?」


「はい!」




孝明さんが用意してくれてる間、私はカバンを置いてくつろいだ。




…ふと、パソコンの画面が目に入った。




「……孝梨志穂だ……。」




【孝梨 志穂】…ネット上で小説を書いている作家だ。


私はこの人の書く小説が大好きで、時間があればインターネットカフェに立ち寄って閲覧していた。








…とある建物で突如起こった変死事件。


犯人は証拠を残さず、捜査は難航。


そんな時、犯人の目撃者が現れた。


若い女だ。


犯人は大柄な男だと彼女は言った。


事件発覚までに建物から外に出た者は2人。


1人は長身で細身の男。


1人はで小柄で小太りな男。


建物内にいた者の中で、目撃者の犯人像に近い、中背でマッチョな男が1人。


それぞれが証言をする。


きっとこの中の誰かが嘘をついているんだ…………








「ジュースお待たせ!」


「…あっ……‼」


私は慌ててパソコンから離れた。


「スイマセン(汗;)勝手に触って……。」


「いいよ、気にしないで♪」


孝明さんは笑顔で私の隣に座った。


「俺もこの人の小説…好きなんだわ。」




此処に同じ趣味の人がいた。




孝明さんは…少し酔ってるのかなあ。


穏やかな笑顔でマウスを持った。




「面白いですよね、毎回続きが楽しみで♪」








…この人の小説は、ダークファンタジーやミステリー。


私は物語に引き込まれ、時間があればネットカフェに立ち寄っていた。


そのおかげで孝明さんとも仲良くなれたんだけど。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「今日はありがとうございました‼」




…結構長い事おじゃましちゃった。


だって、孝明さんと話し出したら止まらないんだもん。




「またいつでも遊びに来いよ♪」


「はい♪」




同じ趣味の話が出来る事は嬉しかった。


もしかしたら、私よりも孝梨志穂のファンなのかもしれない。




「おじゃましました、失礼します♪」


靴を履いて外に出た。


「遅くなっちゃったな、送って行こうか?」


孝明さんが原付きの鍵を握った。


「あ、大丈夫ですよ!」


私は自転車だし、孝明さんはビール飲んでるし。


…それに…


夜道は結構好きなんだ。


「そうか、気をつけて帰れよ。」








…私は自転車に乗った。


孝明さんは建物の外まで出て見送ってくれた。








…すっかり暗くなっていた。








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