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仮面α  作者: 霧咲 ユウ
6/22

波乱。

□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「やべぇ〜、遅刻かも‼」


竜也は必死に自転車をこいだ。


「急げっ!急げっ!」


後ろに乗ってる私は竜也を煽る。




「コラァー‼‼そこの生徒、2人乗りをするんじゃないーっ‼‼」


「…っひっ⁈‼」


その怒鳴り声に私は振り向いた。


「はっはーん♪ビビったか?(笑)」


「何だ奏太か。」


有意義に自転車で現れたソイツにガッカリ(笑)




「生活指導のモノマネ、結構似てただろー?」


ヘラヘラと、どや顔をする奏太。


「ぜんっぜん似てない!」


声が大きかっただけ。








「竜也〜早く!」


自転車を降りた私は急かした。


「はいよ(汗)」


竜也は自転車に鍵をかけた。


「あと1分だぞー。」


先に自転車を止めた奏太がニヤけてほざく。








キーンコーンカーンコーン…








…何とか3人揃ってグラウンドに滑り込んだ。


「腹がいてぇ……」


さっき全力疾走した竜也がヘタれた。


「朝から食べ過ぎなんだよ!」


私は笑いながらツッコむ。


「竜也ちゃん、吐いちゃダメよーダメダメ(笑)」


奏太が小ボケをかます。


いつも大体こんなノリ。




「ふふっ♪」


少し前の列に並ぶ渚がクラスメイトに紛れてクスクス笑ってた。


「まっ、3バカだからね(笑)」


…あ、自分で言っちゃった。


「えっ⁈オレも入ってんのかよー‼︎」


さっきまで竜也をイジッていた奏太が巻き込まれて急に焦る。


「当然だろ〜、お前が一番アホなんだから♪」


竜也が奏太の肩に手を置いて言った。


「いやいやいや、一番バカはお前だよアホ‼」


奏太が竜也の手を振り払ってニヤリ。


「はい、目くそ鼻くそ〜‼」


間に入ってレフリーの真似事。


「はーい、お前ら…そこまでな。」


背後に担任…。


「「「ぅげっ…‼‼」」」


3人同時に固まった。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「ふぁ〜あ……」


大きな欠伸が出た。








…校長の話、長っ!








…あれから結構時間が経つ。








…校長よ、いつまで喋る?








…私はふいに時計を見上げた。








「…ん?」


…屋上に何かいる?




「涛生…どした?」


竜也が尋ねる。




「あれ……何かなぁ…?」


私は屋上を指差した。




「何だろ?…よく見えん。」


竜也がしかめた顔で言った。




「…あれは……人じゃないか?」


今度は視力が良い奏太が言った。




「そんなまさか…‼」


私は驚いて声が大きくなる。


「涛生ちゃん‼…後ろ……‼‼」


渚が何か言っている。


「何?渚…どうしたの?…ってセンセ……‼」


…後ろに立ってました(2回目)。


「ねぇセンセ、あれ…何だろうね?」


咄嗟に屋上を指差した。








…何か急に周りが騒がしくなった。








「ひっ…人だっ‼…人が落ちて来るぞ‼‼‼」


誰かが大声で言った。


こうなってしまったら辺りはパニック状態だ。








…そして…








…日常は壊れた。








…最悪な形で…。








「キャアアアアッ‼‼」

「いやぁぁぁぁっ‼‼」

「うわぁぁぁぁっ‼‼」








…ドン…と鈍い落下音…








…直後に複数の悲鳴や奇声が響いて…








…異常な光景…








屋上から落ちて来たのは少女だった。








…彼女の周りに血が広がる。








…側に仮面が落ちていた。








「…ペルソナ事件だ…………。」


私は呆然としながら、そうつぶやいていた。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


…ケータイで救急車を呼ぶ先生…。




…生徒達を教室に誘導する先生…。




…そんな中、こんな声が聞こえた。




「うっ…うちのクラスの生徒です‼‼」








…そんな…








…ペルソナ事件が学校で起きた。


しかも、この学校の生徒だと言う。








「…涛生…俺らも教室に戻ろう…。」


竜也が私の背中を押した。


「…うん…………。」


…声が震えていた…。








…心臓が口から出そうな位…バクバクしていた。








…身体は正直だ。








…恐いんだ。








「…ん…?」


…流れる生徒の波の中、うずくまってる渚を見つけた。




「渚…‼」


すぐに駆け寄った。


「大丈夫か⁉」


竜也達も駆けつけた。


「おい…真っ青じゃねーか…。」


渚の顔を見た奏太は驚いた。


「保健室だ。奏太、そっち頼む‼」


竜也が言った。


「了解。」


2人は渚を担いだ。


「保健室開けて来る‼」


私は走った。
















…気分が悪くなった生徒は複数いた。








教室に戻った生徒達は、先生の説明の後、自宅に戻るよう指示された。








教室では、家族に連絡している子が沢山いた。








学校近くの道路は渋滞…。








…教室の窓からグラウンドを見ると、パトカーが数台止まっていた。








…警察の人達が少女が落ちた場所に集まる。








…後でニュースを見たけど、搬送先の病院で少女は亡くなったそうだ。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「気分はどう?」


教室を出た私は保健室に寄った。


「……うん……少し落ち着いたよ。」


ベッドに寝ていた渚は、起き上がって笑顔で返した。








…少し落ち着いた…


渚はそう言ったけど、顔色はあまり良くない。








他の子はもう帰ったのだろうか。


保健室には渚しかいなかった。








「水瀬くん達はいいの?」


「アイツラは大丈夫だよ。」


…渚が1人でいる方が心配。








「迎えの人、まだ来ないの?」


「…うん…道が渋滞してるって…。」


「そっか…。」








「…お茶でも、飲む…?」


机に置いてあったティーパックの緑茶を作った。


「ありがとう…。」


「はいどうぞ、熱いよ。」


1つを渚に渡して、私もゆっくり一口飲んだ。


「……ふぅ。」


「……っ……ゴホッ‼‼」


「あ…」


私は咄嗟にハンカチを出した。


「ごめ…………」


咽せた渚は、目に涙を溜めて苦しそう…。








「ごめんね……せっかく…作ってくれたのに……」


…咳が落ち着かないまま渚が言った。




…声が震えていた。




「そんな事より、ヤケドしてない?」


「うん…」








…こんなに辛そうな渚を見たのは初めてだった。








…思い出したくない今朝の出来事…








…思い返すと、渚はあの時…








…ハッキリと見てしまったんじゃないだろうか…








…視界に入ってしまったんじゃないだろうか…








…それで…








…恐くて…








…気持ち悪くて…








…悲しくて…








…混乱してる…。
















…渚の迎えが来るまで、私は一緒にそこにいた。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□

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