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仮面α  作者: 霧咲 ユウ
19/22

脱出。

□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「涛生‼︎‼︎」


…竜也が門を激しく揺する。


「誰かいないのか⁈」


…奏太もインターホンを何度も鳴らす。




…ちょうどその時、車が止まった。




「竜也くん、奏太くん‼︎」


後部座席の窓から渚が顔を出した。




「渚っ‼︎家に入れてくれ‼︎」


「…竜也くん…突然どうしたの?」


「涛生が大変なんだよ‼︎」


「…涛生ちゃんに何かあったの⁉︎」


「涛生が……」


竜也が言い終わる前に…


「渚様は先ほど退院されたばかりなので安静にしていないと。どうかお引き取り下さい。」


…三條さんはそう言って車を出した。




「三條さん…彼らを入れてあげて。…友達なんだ。」


「いけませんよ、渚様。怪我が軽かったとはいえ、今日は安静にしていないと。」


…三條さんは顔色ひとつ変えずに、自宅の敷地に車を止めた。




「どうぞ。」


三條さんは後部座席のドアを開けた。


「…どうしたの?…今日の三條さん…様子が変だよ?」


車から降りた渚は心配そうな顔をする。


「申し訳ありません……色々気が立ってて……」




…2人は家の中に。




「……ごめん……僕が心配をかけてしまったんだね……。」


「いえ…渚様のせいでは……」


「今日は家で安静にするから、三條さんも少し休んでよ。」


「そんな訳には……」


「……もう10年でしょ……三條さんが此処に来て。」




…渚は続けた。




「三條さんは1日も休まずに、僕の身の周りの世話をしてくれた。

小さい時はよく遊んでくれたし、勉強も教えてくれた。

僕にとっては家族みたいな人…。

…本当の家族より感謝してるんだ。」


「…渚様…………。」


「…三條さん?…やだなぁ…泣かないでよ…」


「…どうしてこんな事を…………

…………私は…………渚様に

…………取り返しのつかない事を…………。」


「…え…?」








…膝をついた三條さん…。








…驚く渚…。








「渚‼︎…三條さんから離れて‼︎」




「…涛生ちゃん⁈」








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□








…竜也と奏太が渚ん家に着いた頃、私は黒い仮面に触れ、これまでの惨劇を見ていた。








…彼女達が苦しむ姿…








…目を閉じても頭の中から離れなかった。
















……心が……








……壊れてしまいそう……
















「…涛生…。」








…声が聞こえた。








「…涛生‼︎」








…この声は…








…まさか…








「…きょう……や…………?」








…夢?








…夢…じゃない…。








…彼のあったかい手がそこにあった。








…もう会えないと思ってた。








「…涛生…大丈夫か…。」


…彼は縛られた縄を切ってくれた。




「…うん…………。」


…身体が自由になった。








…彼は生きていた。








…じゃあ、あの写真は…………
















…記憶を辿る。
















…あれは狂也じゃない‼︎








…今、私の前にいる狂也は、昨日会った時のまま。








…でもあの写真は…








…狂也のフリをした人物。








…似た背格好。


…似た服装。


…似た仮面。








…でも、服が綺麗だったんだ。








…あの時、画像メールじゃなかった理由…。








…私のケータイに残さない為。








…あの写真を見てすぐに私は襲われた。








…恐らく…


…あの写真はもう回収されている。








「狂也…。」








…振り返ると彼はいなかった。








「…ありがとう…狂也…。」








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□








…竜也と奏太はどうなっただろう?


「もしもし?」


「涛生‼︎大丈夫か⁉︎」


「竜也…。大丈夫、縄も取れた。」


「良かった…けど、さっき渚と運転手が家の中に入った。渚と話そうとしたけど、運転手に遮られた。」


「…わかった。」








…三條さんは渚と家の中に。








…今日、退院した渚を病院まで迎えに行った三條さん…。








…30分は戻って来ないと思ってた。








…どういう事だろう?








…早過ぎないか?








…とにかく…


…渚を探さなきゃ‼︎








「竜也、変われ…。涛生…もうすぐ警察が来るから…絶対諦めるな‼︎」


「うん…ありがとう、奏太。」








…諦めないよ。


…もう誰も傷付いて欲しくないから。








…足音を立てずに階段を降りる。








…いた‼︎


…渚と三條さん。








…渚の声が聞こえる。








…ゆっくり近付いて、少し様子を伺う。








「…渚様…………。」


「…三條さん?…やだなぁ…泣かないでよ…」


「…どうしてこんな事を…………

…………私は…………渚様に

…………取り返しのつかない事を…………。」


「…え…?」








…膝をついた三條さん…。








…驚く渚…。








…私は飛び出した。








「渚‼︎…三條さんから離れて‼︎」




「…涛生ちゃん⁈……どうして此処に?」




…状況が飲み込めない渚。




「…三條さん…?…どういう事なの?」




…三條さんを見つめる渚。




…彼は目をそらした。




…思い詰めたその顔を見ると、私は渚の前で真実を言えなかった。








…だから咄嗟に…


「…こっち‼︎」








…渚の手を引いて走った。








…三條さんは追って来ない。








…ただ、その場にうずくまっていた。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□

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