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仮面α  作者: 霧咲 ユウ
18/22

幻聴。

□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□








…これは?








…机の上に仮面があった。








…狂也のとは違う黒い仮面。








…この仮面なら…闇に投じて…








…奏太が昨日言ってた、『暗かったけど仮面』の辻褄も、この仮面なら…。








…奏太が見たのは狂也じゃなかったんだ。








…私は仮面に触れた。







「…えっ……………………」
















……これは……


……誰かの意識……?
















『邪魔だ、どきな!』








『何で言う事聞かないんだい!』








『このお荷物がっ!』








…若い女が小さな子供に向かって暴言を吐く。








…時には手が出る。








…子供は、どんなにいい子にしても報われず、いつも酷い目に合う…。








…子供の楽しみは、女がいない時にこっそりクローゼットに忍び込む事。








…そこにある綺麗なドレスに憧れる。
















…やがて子供は成長し、大人になった。








…綺麗なドレスは似合わない、大人の男。








…彼には秘密があった。








…秘密の部屋には、可愛い女の子と綺麗なドレス…。








…それは人形…








…彼は、恋人の女性を部屋に招き、彼女の為にドレスをプレゼントする。








…しかし、女性は拒否する。








…彼女の為にプレゼントしたドレスを着せる事は、彼の自己満足。








…彼の夢は叶わない。
















…彼は仕事を転々としながら、ある日、この家にやって来た。








…手にはベビーシッター募集の求人。








…男性は募集していない…と断られ、彼は家を後にする…。








…そこに、ボールが転がって来た。








…ボールを拾うと、小さな子供が此方を見ていた。








『あそぼ!』








子供は彼に笑顔を向けた。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□








…ベビーシッターは不採用になった彼だが、当家の子供に懐かれて、急遽この家の運転手として働く事になった。








…10数年が経過して…


…彼はこの家で幸せに暮らしていた。
















…果たしてそうかな?
















…彼の心の中に、ある欲求が芽生えていた。








…彼は必死にそれを隠し、日常を過ごしていた。
















…だがある日…


…その欲求が爆発する。
















…その日、彼は屋根裏の片付けを任されていた。








…使わない物や要らない物が無造作に置いてある物置。








…ゴミを仕分ける。








…そこにさっき捨てた筈の物が…








…それは、何度捨てても戻って来る。








…不気味な笑みを浮かべた仮面…








…彼はそれを手に取った。








…すると、彼の頭の中に声がした。








『君はずーっと仮面をしてるね。』








『してない?…嘘だ。だって…君はいつも本心を隠しているじゃないか。』








『君の本当の欲求を知ってるよ。』








『そう邪険にしないでよ。』








『俺?…俺は…君に切り離された心だ。』








『昔、君に拒否された俺だ。』








『わかる?』








『俺を受け入れてくれたら、君の心は楽になる。』







『…そう。なら仕方ない。俺は俺で勝手にやらせてもらうよ。』








…彼は頭の中の声に言った。


『お前は俺じゃない』


…と。
















…数日後…


…この屋根裏で、少女が1人…








…死んでいた…。








『…だっ…誰が…こんな…………』




『君が殺したんだ……いや、俺が殺した。』




『…俺が…殺した……?』
















『……ぃ……ゃ……………………たす……け…………………………………………』








…それは彼の頭の中に映された。




…首を絞められて、もがき苦しむ少女の姿。




彼女は必死に抵抗し、男の手袋を引っ掻いた。








…彼の手の甲にもまた…


引っ掻き傷があった。
















『…何処へ行く?』




『警察に…』




『君がいなくなったら渚くんはどうなるのかな?』








『君が人殺しだと知れたら渚くんの人生はどうなるのかな?』








『此処にあるのは君が欲しかった人形じゃないか。』








『綺麗なドレスを着せてあげなよ。』




『……………………。』
















…こうして彼は人殺しになった。








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