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仮面α  作者: 霧咲 ユウ
14/22

羽根。

□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


…廃墟を出ると、西日が射していた。


私は最寄りの駅に向かった。


ネットカフェにチョット行って、帰りに自転車を買おうと思っていた。








「……あれ?」


駅に着いて……。


向かいのホームにいる人を二度見した。








…孝明さんだ。








何だかいつもと様子が違ったので、声を掛ける事が出来なかった。








…それが凄く気になって…


…私は向かいのホームに走った。








孝明さんと同じ電車の違う車両に乗り込み、同じ駅で降りた。








…何処に行くんだろう…?








…私はこっそり追いかけた。








…花屋?








…色とりどりの綺麗な花。








…それを抱きしめて少し歩いた所で、彼の足は止まった。








…そこには花束やぬいぐるみが置いてあった。








…しばらく立ち尽くしていた彼は、突然口を開いた。


「涛生……いるんだろ?」








…バレていた。


「…あの…………」


勝手に後をつけた事、謝ろうと思った。




「涛生…そんな顔するなよ…。」


孝明さんは怒っていなかった。








…寧ろ…








…悲しそう…








「孝明さん……?」


「……天祢 梨子……妹なんだ。」




…孝明さんはタバコに火をつけた。




一吸いして、タバコと花を置いた。




…彼は静かに手を合わせた。








…天祢 梨子…


私はその名前を知っていた。


例の連続殺人事件の最初の被害者。








…そして此処で遺体で見つかった。








…孝明さんの妹だったんだ。








…孝明さんの話では、幼い頃、両親が離婚して別々に引き取られた。


名字が違うのはその為だ。








「本当の事言うと、お前に妹を重ねてた……。」


「……えっ?」


「…こんな事言ったら、涛生は嫌かもしれないけど……ほっとけなくて可愛くって……そんな所が何処となく似てた……。」




…孝明さんはタバコをくわえた。




「…何か気持ち悪い事言ってゴメンな!」


急に明るくなった。








…その笑顔は涙を堪えたように見えた。








「気持ち悪くなんかない。」








…あなたはとても優しい人だよ。








…私にも…梨子さんにもきっと。








「また遊びに行ってもいいですか?」


孝明さんは私の頭を撫でて言った。


「大歓迎!」








…孝明さん…


大切な妹さんを失って…


どんなに辛いだろう…。


どんなに悲しいだろう…。








…孝明さんを見てると、梨子さんもきっと素敵な人だったんだと思えた。








…そんな人を無惨に殺した犯人を許せない。








…こんな辛い思いをする人をこれ以上増やしてはいけない。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「ん…?」


私は視界に入ったソレを拾った。


「涛生…どうした?」


「これ…何かな…?」




…それは突然降って来た。


孝明さんが供えた花の上に落ちた。




「羽根…みたいだ。」


私はそれを拾った。


「…血が付いてる……。」


孝明さんにも見せた。


「…ホントだ……。」








…幽霊とかオカルトとか、よくわからないんだけど、この羽根には何か強い想いみたいなのを感じた。








「……梨子が此処で見つかった時にあった羽根と同じ物かな……?」







…孝明さんは、そう言ってしばらくそれを見つめていた。








「……梨子…………守ってやれなくて…………ごめんな…………。」








……あの時……


孝明さんより私の方が、今にも泣きそうだった。








「…この羽根、調べてもらおうよ!」


そう切り出すと、涙が溢れなくなった。


「そうだな。」


孝明さんはタバコの火を消した。








…それから2人で警察署に向かった。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□








…道中、私は考えていた。








…最初の被害者、梨子さんに始まり、彼女達は綺麗に飾り付けられて発見された。








…どんなに人通りが少ない場所でも、絶対に人が通らない訳じゃない。








…私が言いたいのは、あんな手間のかかる装飾をして、今まで誰も目撃者がいない事が不自然だって事。








…でももし、衣装や装飾が犯人のアジトで行われたとしたら…








…現場に遺体を運ぶだけなら数分で立ち去れる。








…警察署に行った後の私の行き先は、当初と変更になった。








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