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仮面α  作者: 霧咲 ユウ
12/22

次の犠牲者。

□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「……ん…………?」








少し眠っていたみたいだ。








狂也は…








隣で眠っていた。








私は自分に掛かっていた毛布を彼に掛けた。








…今、何時位だろう?








時計代わりにケータイを見た。








朝方の5時…。








メールが来ていた。








受信時間は10分位前。








「……?……っ‼」








思わず声が出そうになったのを抑えた。








私は狂也を起こさないように家を出た。








そしてそのまま全力で走った。
















…5分以上走っただろうか。


私は息を切らしてインターホンを鳴らした。








「…………どちら様ですか?」


しつこく鳴らしたら応答があった。




「涛生です‼開けて下さい‼」








…1分位で三條さんが出て来た。


「……こんな時間にどうされたんですか?」


「……渚は…家にいますか?」


「はい、お休み中ですが……。」




私はケータイを取り出し、さっき届いた画像を見せた。




「さっき、これがメールで……。」




「……これは……?……あっ‼…すぐに渚様を呼んで参ります。」


顔色が変わった三條さんは、急いで家に入った。




「渚様‼…渚様何処ですか?」


三條さんの声が聞こえた。


私も家の中に入った。


「三條さん‼…渚は…?」


「…部屋にいませんでした…。」








…私に届いた画像…


それは、今までの被害者みたいに装飾された少女…………。


いや、渚…………?








…身体は木にくくり付けられていて…








顔には仮面が付けられていたから、渚かどうか確信が持てなかった。








画像を見た三條さんの反応からして、写真は渚の可能性が増した。








そして渚が居なくなった事から、不安は恐怖に変わった。








「すぐに警察に連絡します!」


「私は…渚を探して来ます!」


「涛生さん、1人で行ってはいけません‼」


三條さんに止められた。


「でも…………」


…居ても立っても居られない。


「まずは警察に状況を話して…それから一緒に探しましょう。」




…三條さんが言ってる事は正論だ。


私1人で探しに行っても見当も付かないし、犯人が近くにいるかもしれないし…。




…三條さんが警察に通報して、警察が到着するまで、私は渚ん家の玄関で待っていた。




警察が来るまで何か出来ないかと、私はケータイを出した。


あの画像に何か写っていないかと…。




「…………?」




着信履歴。


竜也だった。


かけ直そうと思ったら着信が来た。




「もしもし。」


「涛生か⁈……っっ……良かった〜……」


…竜也の様子が変だった。


「どうしたの?」


「お前………ん…………殺されたんじゃないかと思って…………」




…昨日、奏太に届いたメールが竜也にも……率直に思った。




「…あのね、竜也…………」








…私はさっき自分に届いた画像の事を竜也に話した。


今、渚の家に居る事も…。








「わかった、すぐ行く。」


竜也はそう言って電話を切った。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「涛生‼」


5分もしないうちに竜也が来た。








…息が上がってて、汗だくだった。








警察もそれからすぐに来た。








私は画像を受け取ってからの状況を話し、渚を探しに行きたいと言った。








竜也も一緒に行くと言った。








警察が来てから数分で、この画像が何処で撮影された物か特定出来た。








すぐにそこに向かった。








「…来てくれてありがとう。」


車で移動中、私は竜也に言った。


「色々言いたい事はあるけど…まずは渚が見つかってからだ。」


「…そうだね。」








…竜也が来た理由…


察しが付いてるんだ。








…もし、1人で渚を探しに行って…








…見つかったとしても…








…いや、まだそうと決まった訳じゃ…








…でも…








…あの画像では、生死の判別すら付かない。








…今までの被害者の事を考えると…








…それでも私は…








…少しでも…








…可能性を祈った。
















…車が止まった。


この山林の中に渚が…。








…私も警察の後を追った。
















…空は少しずつ明るくなってきたが、山林はまだ真っ暗だった。
















…しばらく捜索していると、警察官のケータイが鳴った。


わかった、すぐ行く…と言って、方向を変えた。


私達もついて行った。








…渚が見つかった。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「渚‼」


現場に着いた私は叫んだ。




…渚は、木から降ろされていた。




仮面を取って顔を確認する。




「…………っ‼」








身体の力が抜けた。








「涛生…………」




竜也が支えてくれた。








…目の前が真っ暗に…








「…………な…………み…………き………………………………」








…………えっ?








「渚‼」








…微かに声が聞こえた。








私はすぐに駆け寄った。








「渚‼……渚、わかる?」








…渚の目がうっすらと開いた。








「…………涛生…ちゃ…………よか…た…………」


渚はそう囁いて…目を閉じた。








…一瞬不安になったけど、息をしていたのでホッとした。
















…放心状態で涙が止まらなかった。
















…すぐに救急車が来た。








…一緒に病院に行った。
















…渚は命を取り留めた。
















…あの画像…


渚が木に縛られていた。




何処かで気絶させられてから木に縛られた可能性があるって警察が言ってた。




木には頑丈に縛られて…




発見がもっと遅れていたら、どうなっていたかわからなかったって。
















□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「涛生…。」


「ん?」


私と竜也は病院の待合室に居た。


「俺…あのメール見て、涛生が電話に出ないから…涛生が殺されたんじゃないかって思った…。」


あのメール……たぶん奏太の所に来たのと同じメールだと思う……。


竜也は続けた。


「だから渚の画像を見た涛生が、どんな気持ちだったか解る。」


「……うん。」


「涛生が大事な奴は、俺も大事だ…。」


「…竜也…。」


「…渚と友達になれないかな?」


少し照れながらそう言った。


「渚…きっと喜ぶよ。」
















…1年の時…


学級委員をクジで決めたら私と渚になった。


学級委員という名の雑用係は、放課後よく残って色々仕事をしてたりした訳で…。


最初は人見知りで無口な渚だったけど、徐々に会話をするようになって…。


一緒に勉強をするようになって…。








…竜也と一緒に登校する時も、たまに下足場で渚に会ったりしてさ…。


ずっと連んでるからかな。


涛生ちゃんの彼氏なの?…って渚が尋ねた。


中学からの友達だよ…って返したら…渚、凄く羨ましそうな顔をしてた。








…体育祭の時も竜也は凄く目立ってたでしょ?


渚、言ってたんだ。


…かっこいいな…僕もあんな風になりたいな…って。








「俺みたいになりたいってか?アイツにはアイツのイイ所あるじゃねーかよ!」


「私もそう言ったんだよ。」








…それがさ…


私が思う渚のイイ所を言ったら、本人結構コンプレックスだったりしてさ…。


…渚は渚のままでいいのに。








「涛生さん…。」


三條さんが待合室に来た。


「三條さん…渚は…」


「意識を取り戻しました。」


「よかった…。」


「本当にありがとうございました…涛生さんが来てくれなければ……」


三條さんが深く頭を下げた。


「三條さん…頭を上げて下さい。」


「私は…執事失格ですね……。」


「そんな事…ないよ……。」








…三條さんは渚の部屋を教えてくれた。


私は渚に会いに行った。








「渚…。」


病室に入ると、ベッドに渚が居た。


「涛生ちゃん…」


横になったままの渚は、頭に包帯が巻かれていた。


「三條さんから聞いたよ、ありがとう。」


痛そうなのに、こんな時も笑顔だから…。


「私1人じゃ何も出来なかった…。」


「…そんな事ない。」


渚は首を横に振った。


その笑顔から涙が流れた。


「そんな事ないよ……。」








…無理に笑顔を作らなくたっていいよ。








「…またみんなに会えて…凄く嬉しい…………。」


…無理になんか笑っていない。


彼の笑顔は本物だった。


「渚…。」


「ゴホン。」


そこにワザとらしい咳。


「あ、忘れてた。」


「ズゴーン!」


「水瀬くん?」


渚が少し驚いていた。


「よ…よお!…………」


で、チラッと私を見た。


「おいっ!」


コイツも妙な所で人見知る。


「水瀬くん…ありがとう。」


渚が先に切り出した。


「…無事で良かった…。」


少し照れながらボソッと言った。


「あのさ…」


竜也は続けた。


「退院したら…今度一緒に遊ぼうぜ。」


コイツにしては頑張った方か…。


顔が真っ赤になっていた。


「うん、よろしくね。」


渚が手を出した。


「おう!」


竜也がその手を握った。








…竜也と渚が仲良くなって嬉しかった。








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