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仮面α  作者: 霧咲 ユウ
10/22

訪問。

□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「あ、竜也…此処で降ろしてくれる?」


帰り道、私は自転車を降りた。


「此処って…?」


「渚ん家。」


視線の先に大きな家があった。


「へぇ~…って帰りはどうするんだ?」


「そんなに遠くないし、歩いて帰るよ。」


「いや…その足じゃマズイだろ。此処で待っといてやるよ。」


…足の事、気にかけてくれて感謝している。


けど、何時間も待たせる事になるだろうから、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


「遅くなるかもしれないし…それに私は大丈夫♪」


「…ホントに?」


「ホントに。」


…色々思う所はあるんだろうけど、こんな時、竜也は深追いしない。


「じゃあ帰るぞ。」


「うん、ありがとね。」








竜也が凄く心配してるのがわかった。


私が事件に巻き込まれる可能性と、この足じゃいざという時に危ないんじゃないか…という心配だと思う。


大丈夫…怪我は大した事ないんだよ。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


渚ん家の門の前で、私はインターホンを押した。


「こんにちは。」


応答があったので、挨拶した。


「どうぞ。」




すぐに門が開いた。




「涛生さん、いらっしゃいませ。」


スーツの人が出迎えてくれた。


彼は【三條 透さん】…渚の家の執事。


「どうぞこちらへ。」


「あの、渚くんは大丈夫ですか?」


「はい、昨日はありがとうございました。」








…長い廊下。








「こちらでお待ち下さい。」


…通された部屋は凄かった。








「涛生ちゃん!来てくれたんだ‼」


その声で私は顔を上げた。


部屋に入って来た渚は、いつも通りの笑顔だった。




…顔を見て、少し安心した。




「あ、プリント届けに来たんだ。あと今日の授業の分…。」


私はカバンからプリントとノートを出して渚に渡した。


「ありがとう。」


渚はそう言って、受け取ったノートを開いた。




…偉いなぁ。




私なんか、1度書いたノートを見るのはテスト前ぐらいだよ。


さすが渚、しっかりしている。




「…くくっ……」


「ん⁇」


渚が腹を抱えてうずくまる。


私は渚の顔を覗いた。


…小さく笑ってた。


「…ぷぷっ!」


目が合うと渚は吹き出した。


「あーもう我慢出来ないっ!」


「えっ?何〜?」


「…涛生ちゃん…字が下手すぎるんだもんっ!」


「…そう…かな…?」


「…そんな綺麗な顔してるのにさ、男の子みたいな字だったから…ふふっ!」


「もお、何か今日はみんな失礼だなぁ〜!」


…ちょっと恥ずかしかった。


真面目に勉強なんて滅多にしないからさ。


「みんなって、今日学校で何かあったの?」


「それがさぁ〜……」








…私は渚に今日の事とか色々話した。


2人で色んな話をして…。


渚は楽しそうに笑ってた。








…その笑顔を見て、もう大丈夫かなって思った。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「あ、もうこんな時間だ。」


…結構長い事、喋ってた。


「暗くなっちゃったね……三條さ〜ん!」


渚が三條さんを呼んだ。


「あ、私は大丈夫。そんなに遠くないし。」


「そんな訳にはいかないよ!」


渚の気遣いは有難かったけど…。




「あれ?三條さん何処行っちゃったのかなぁ?」


渚はケータイを取り出した。








「…そっか〜、気を付けて帰って来てね。」


渚は電話を切った。


「三條さん、今買い物中だって…。」


「わざわざ連絡ありがとね。」


私は荷物を持った。


「近くまで送って行くよ。」


渚も上着を着た。


「病み上がりでしょ〜、安静にしてなさい♪」


一昨日の言葉をそっくり返した。








「涛生ちゃん、今日は本当にありがとう。」


「うん、また学校でね!」


渚の家を出たのは、ちょうど日没。




「さて……。」


歩いて帰ろう。


大丈夫でしょ。


15分くらいで自宅に着く距離だし。








…何の根拠も無いんだけど、私なんかが事件に巻き込まれるなんて事、無いだろう…って。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


…大通りの歩道を通れば、まだ人もたくさんいるし、安全だ。








…大通りは此処までか。








…此処から裏道を通らないといけない。








…裏道…








…一昨日、4人目の死体が発見された場所…。
















…ところで…。








…さっきから後ろに誰かいるんだけど…








…私は走った。








…後ろは自転車だろうか…


ペダルを踏み込む音と、だんだん近付いて来る気配と…








…無理だ…追い付かれる‼‼








「あっ……‼‼」


…足がもつれて転んだ。








…起き上がろうとしていると、目の前で車輪が止まった。








…やばいっ‼‼








「涛生?」








「……ん?」


この声は……。


「…奏太…。」








「なーにやってんだ?」


「えっと……転んだ。」


「アホだなぁー……怪我してんのか。」


奏太は自転車を降りた。


「これは昨日…転んで……。」


「取り敢えず乗れ。」


…言い終わる前に自転車に乗せられた。


「…ありがとう…。」








奏太は私が乗った自転車を押しながら、家まで送ってくれた。


彼の帰り道は違う方向なのに。








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