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シーカーの軌跡  作者: レイン
βテスト
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8/25

8

「あっ! シーカー君、防具できてるよー!」


俺に気づいたナツカが露店から声をかけてくる。


「できててよかった。この後アインの森の行く予定だから初心者装備じゃ不安だったんだよな。初見殺しって言われてるらしいし……」


「まずソロでアインの森に行けるのがおかしいと気づこうよ……シーカー君」


湿った目つきでシーカーを見るナツカをスルーして防具を受け取る。


血狼の皮鎧一式

★★★☆☆☆☆☆☆☆

ブラッディウルフの素材で作られた鎧。

軽いのに普通の鉄よりも頑丈。

Vit+25 Agi+19


「おおぉ!……ぉぉ? これは良いんだよな?」


「なにいってるの! 最高傑作だよっ! 多分だけどこの第三サーバの中でも一番良い性能だと思うわよっ!」


ぐっ! と親指を立てて胸を張るナツカだが……


「そうなのか? 一応聞くがランク4とかの防具を生産できる奴はいないのか?」


「んなもんまだ作れるプレイヤーなんていないわよっ!

生産者は大体みんなフレンド登録し合ってるからそういう情報は直ぐに回ってくるけど聞いたことないわ、ランク3の武器防具が最高ランクよ! こっちの情報網に引っ掛からない人がいない限りはね……」


不安になって聞いてしまった俺にナツカが自慢気追い討ちをかける。


まじか…………俺、やらかしちった……!


いや、ここでそんなのを作れるとばれたら不味い、ここは平静を保つんだ……!


「そ、そそ、そ、そうなのかっ! それは知らんかった。良い防具アリガトナ……」


平静を保てないっ!

冷や汗をかきながら防具を装備する。


「どういたしまして! ってどうかしたの……? 口がひきつってるけど……」


「そそそ、そんなことはッ、ないぞ! うん、じゃぁアインの森に行ってくるから! また素材売りに来るわ!」


「ふーん、そっか……いってらっしゃい! 待ってるよー」


……俺の不自然すぎた言動に疑うような視線を向けてくるナツカにずっと背中を見られているような感覚になりつつアインの森についた。




さて! 気持ち入れ替えねーと! ……初見殺しかどんな敵が居るんだろ。



気配察知には何も捉えられないまま進んでいくと3体の気配が急速に接近してくる。


現れたのは……ゴブリンだった、これが初見殺しじゃないよな。

だか油断はできないので慎重にゴブリンを倒す。


がっ!


2体倒したところでいきなり背中に衝撃を受けて吹き飛ばされる!


振り向くとそこには木に目と鼻と口を描き足したようなモンスターが枝を振り回していた……!


トレントかっ! そういえば俺の槍の柄はトレントのドロップで出来ててそれが初見殺しの森で取れるよーな事を……!


トレントの攻撃を捌くがそのうちさっきのゴブリンと新しく来たらしい3匹のゴブリンが棍棒を振り上げて迫ってきていた。


「[弐之型:閃]」


丁度横に並走して迫ってきていたところを横に切り裂く!

胴体を切られて怯んだ隙に距離をとる!


まずはトレントからだ!


「[サンドストーム]!」


ゴブリンは閃で裂傷に成っている個体もいるから放置しておく。

トレントに向けてサンドストームを放つ!

巻き込まれたゴブリンが宙を舞うのを無視して次の詠唱を始める。

次に放つのはオリジナルの魔法だ!


「[土時雨]!!」


全てのMPをつぎ込みありったけの砂礫を作り、サンドストームで怯んでいるトレントに飛ばす!


俺とトレントの間にいたゴブリンの体を貫通して消し飛ばし、トレントが繰り出す枝も当たった時のノックバックで弾いて本体に当たりトレントのHPを削りきった!


いかん、死にはしなかったけど一気にMP使ったな……

次トレントとゴブリンがセットできたら洒落にならない。

一度外に出よう。


外に出ると何故初見で生きている!? という目で見られた。

みんなずっとここにいた人たちかな?じゃなきゃこんな目で見ないよなー


あ、そうだ! 暇だし冬真にフレンド申請送っとこう!


ぷっ……! あはははは!! あいつ名前がっ……

ラ、ラグナロクて……ぶふっ!


終末をもたらす者、ってか?


もうちょっとちゃんとした名前にしよーぜ!? 冬真よ……


………………いや、もう人のキャラネームどうこう言うの止めようか……くくっ、いや、人それぞれだよなっキャラネームは!


そろそろ周囲の目が痛くなってきたので笑うのを止めよう。



あー、笑った! 笑ってるうちにMPが5割程度回復したので今度は木にも警戒して潜ることにする。

MPは移動してても回復するしな!

HPはじっとしてないといけないけど。







いまのところは囲まれずにすんでいる。

ゴブリンは気配察知で捉えた瞬間距離を詰め、閃で首を撥ね飛ばしてHPを消し飛ばし、トレントは動いた瞬間動く気配を察知してトレントが行動を開始する前に幹を柊で3連突ほどすると叫びと共に消えていく。


もうトレントに不意を打たれることはあまりないはずだ。


が、しかし不意を打たれなくても危機に陥ることもある……

今俺の周りには5体ほどのトレントが集まっている。

なんで!? と思うがまずは生き延びる事を考える! いきなり距離を詰めるなんて事はしない、まずは魔法でトレントたちのHPを削る!

うまくいけばこれで倒せるトレントもいるだろう……


「[輪廻の砂(リインカーネスサンド)]!」


森の地面が砂になり、トレントが沈んでいく……MPの半分を費やして作ったオリジナル魔法、砂になった地面がトレントを包み込み地面に引きずり込む!


が枝を滅茶苦茶にしながら砂を吹き飛ばし、2体のトレントが這い上がってくる……


だが……これで終わりだ!


「らぁっ!」


気合いと共に気を纏い、刺突を放つ!


アーツでなくても体と武器にに気を纏い、更に体重が乗った刺突は呆気なくトレントのHPを削りきる……



そして、レベルアップの音とドロップを確認する。


魔樹の木材×15

魔樹の魔核×2


苦労の割りにドロップが少ないかもしれないがその代わりこいつは経験値がフォレストウルフのよりも遥かに多い。


ステ振りもしておこう。


Name シーカー

年齢 20

種族 ヒューマン Lv43

職業 鍛冶師


()内は職業、称号補正値 HPMPには反映しない

HP 216/216

MP 57/216

Str 72(+13)

Vit 72(+3)

Int 72(+3)

Agi 72(+3)

Dex 72(+10)


BP0


固有スキル

状態異常耐性(微)


スキル

unique:御影流槍術Lv18↑up

rare:健眼Lv10

鍛治Lv18 生産者の心得Lv17 土魔法Lv15↑up 気配察知Lv17↑up 気功法Lv9↑up 空き3


アーツ

壱之型:柊 無駄の無い突き クリティカルでダメージ2倍

弐之型:閃 横への一閃 敵に裂傷を付与(微)

参之型:霞 防御貫通攻撃 同時に他のアーツを発動可能

肆之型:桜 気と槍の無数の突き 敵に麻痺を付与(微)

伍之型:砕 石突きでの打撃 敵に骨折、気絶を付与(微)

終槍:赤椿 柊と桜の複合技 敵に出血を付与(微) クリティカルでダメージを1.8倍


【称号】先駆者 オールラウンダー


装備

血狼の十文字槍 Str+42

血狼の皮鎧一式 Vit+25 Agi+19



よし、ステ振り終わったしHPも回復したから街に戻るか!


腰を上げ、立ち上がろうとすると俺の視界に不自然な物が映った……


「いや、あんなん休憩する前までなかっただろ……」


目の前10mほどにこの森に生えている木やトレントより2回りほど大きな大樹が上から押し潰さんばかりの威圧感を出して佇んでいた……


エルダートレント


異様な雰囲気を撒き散らしていたエルダートレントが俺の胴廻りほどもある根を持ち上げ、打ち付けるっ!


うおっ!


辛うじて避けた筈だったのにかすっていたらしく1割ほどHPが減る。


急いでアイテムボックスから槍を取りだし構える……

枝を切り払い、石突きで叩き折り、根を往なし、ロックボールで弾き飛ばす!


今っ!


ロックボールで弾き返された根が幹に当たり隙ができる!


大技は不可能! 防御は固い! 狙うは一撃離脱っ!


「[参之型:霞]![壱之型:柊]! らあっ!!」


一足で距離を詰め、飛び上がり、防御貫通の効果を持った柊でエルダートレントの目に槍を突き入れる!


ギャァァアァアァ!!


苦しむような悲鳴を上げふエルダートレントから急いで距離をとる……HPは今ので3割削れている。


ドスッ!


突如腹に痛みが走る……自分のHPバーの半分が一気に削り取られた……

敵のHPバーに注意をそらしてしまい攻撃を避けられなかった。

自分の腹を見るとエルダートレントの根が抜けていくところだった。


くそっ!


更に迫ってくる暴れのたうつエルダートレントの攻撃を避けるために今までにないほどの量の気を全身に巡らせる。


気を巡らせろ! 何時もよりも早く! 何時もよりも多くっ!

足りないならば魔力と混ぜてしまえば良い!

そして、それが全てに行き渡った瞬間……いつもの黄色いオーラではなく、蒼いオーラが体を包む……

『魔力操作《マナコントロール》を修得しました。

特殊条件を満たしたため、気功法が派生特殊進化スキル蒼纏を習得しました。』

アナウンスが聞こえ……













































世界が、動くのを止めた……



















































……いや、微かに動いている。

が、エルダートレントの数多の根や枝は『止まっているように』感じさせるような速度になっている。


俺のみがこの世界で普通に動ける全能感。


ハイスピードカメラで見ているような遅さで迫ってくる根を、石突きで根を砕いていく!


世界が止まっているんじゃない俺の身体能力が上がっている…?

原因は気功法かの特殊進化スキル? とやらか……?


まぁ良い一気に片を付けよう。


俺を捉えていないエルダートレントの真下まで一足で詰め寄る。


腰を落とす。

腕を引く。

蒼いオーラを練る。


「[終槍:赤椿]」


槍が無慈悲にエルダートレントの身体を抉り、同時に発生した蒼いオーラでできた槍がエルダートレントに刺さり内側から破壊する。


エルダートレントは断末魔の叫びを上げる暇もなくゆっくりと四散する。



と同時に蒼いオーラも霧散し、世界が再び動き始めた。

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