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「一也! BRLやろーぜっ!」
高校を卒業してからも月一ほどで会っている親友の冬真は会って開口一番そんなことを宣った。
「冬真……お前、会っていきなりゲームの話て……
いや、もういいわ……お前はいつもそんな感じだな……
それで? BRLはβテスト募集してて募集人数が五千人だったのにたいして応募人数が十万人を越えて、募集定員を一万人まで引き上げたいま超人気のVRうゲームだよな?(そして俺の落選したゲームだ……!!)」
中学生の時から変わらないゲーム好きに呆れつつ、まぁおれも好きだし同類か……と諦め、親友が口にしたゲームの詳細を思い出す。
Backword Region Liberation、通称BRLはVRシステムを使った仮想現実でのゲーム、所謂、仮想現実大規模多人数同時参加型ロールプレイングゲーム(VRMMORPG)でいまもっとも人気なジャンルだ。
俺もゲームが好きなので応募したが落選、相当悲しかったのはまだ記憶に新しい……くそぅ。
…………………………
20XX年に国の援助を受け、色々な大手会社が共同開発をし、遂に完成したVRシステムはダブルベッドサイズから小型化が進まず、軍事、医療関係にしか使えなかった。
しかし、そのVRシステムが完成してから4半世紀、ここ5年で突如頭角を表してきた天才ゲームクリエイター「如月 栄司」が開発チームのリーダーを勤める大手ゲーム会社『サイバーリンク』がついに小型化に成功する。
今までダブルベッドサイズのカプセル型でしか利用できなかったVRシステムが頭につけるだけで起動することが可能な大きさにまで小さくなった。
金色でペイントされたそれは見た目から 「金箍」と名付けられその衝撃はに世界中に響き渡った。
しかしサイバーリンクは小型化したVRシステムを作ってから5年、他の会社も 金箍には及ばないもののヘルメット型の大型バッテリーを積んだVRシステムを開発し、軍事、医療だけでなく、娯楽であるゲーム業界にも進出、次々とゲームを出すなか『サイバーリンク』は軍事、医療関係の発注をたまに受ける以外何もしなかった。だがついに『サイバーリンク』が5年掛けて創ったという『Backward Region Liberation』というゲームを発表。
そのフィールドの広さは日本の2倍ほど70万平米あると公開されており、さらにそれはβテストでの広さで、正式版の広さはさらにその3倍ほどで200万平米ほどになる予定らしい。
ゲームの題名、『未開地解放』からも想像できるがこのゲームは始まりの街から開発を始め、エリアのボスを倒し、全てのエリアを解放することが目標だ。
そして、それとは別にグランドクエストがあるらしいがその詳細は分からず、βテストでも実装されないらしい。
その広さはβテストのフィールドで従来のVRMMORPGの面積の2倍から3倍もあるという驚愕の広さとなった。
………………………………………………
そしてデータをとるためにβテスターの募集を始めた。
募集締め切りは1月25日から2月25日の1か月間でテストは7月20日から8月20日の1ヶ月間実施する。
時間の加速は5倍まで出来るらしいがテストでは加速しずにゲームをプレイするらしい。
人によっては加速率を上げると障害が発生する可能性もあるらしい。正式版は簡易適性検査でそういうのも分かるらしい。
そしてそのテストに参加しようと冬真は言っているらしい。
だが、
「おれもゲーム好きだから応募はしたけど悲しすぎることに落選したぞ……超人気過ぎて再募集もないし、キャンセルもないだろうからな……」
「ククッ、クククッ、クァーハハハ! 安心しろ! 親とかじっちゃんばっちゃんのケータイとかパソコンのアカウント借りて妹と応募しまくったらなんと3人分当選してな、どうせ一也は落ちただろうと思ってテストチケット持ってきたんだ!」
「理不尽だッ!! 当たりすぎだろ! そしてもちろんもらうッ!」
無駄に3段活用を使い、清々しい笑顔でチケットを突き出して来る冬真に叫んでしまった俺はけして悪くないはずだ……
周囲の視線をすごい浴びたけどな……悪くないと思うけどすごい恥ずかしいな。
しかし、そんな恥ずかしさも一瞬で吹き飛ぶくらいの喜びがわいてきた。
「ありがとな、冬真!」
「おう! 気にすんな、今度なんかおごるだけでいいぞ! それと知ってるかもしれんがテスト前の身体検査をするから19日の昼3時に東京の○○△ホテルな!」
ほう、たしかそのホテルは客室がシングル、ダブル合わせて一万室に、大広間などもたくさんあり一万五千人ほどの人がゆったり過ごせる超超巨大ホテルだったよな~。
そこを貸し切りにしてさらに飲み物のみ放題に? 凄いな、どんだけ金使ってんだか……
ていうか1ヶ月もホテル貸し切ってもいいのか?
まぁいいか……
それにしてもテストの為に貸し切りにしたホテルで前日の午後から検査があるのか……
健康体かどうかとか調べるのかな?
「了解。んじゃゲーセンでも行って、飯食って帰るか……お前も来るか?」
「おっいいね! 俺も行くぞ! 飯はお前もちだよな? 俺今日そんなに金持ってきてないし」
「しゃーねぇ、チケットももらったしな、んじゃいくかっ!」
チケットをもらったお礼も兼ねて飯をおごることにして俺はハイテンションで今日を終える。
あのあと家に帰ってからすぐに寝た俺は朝早くにめが覚めた。
今日から19日までの8日間、おれはまず、BRL公式サイトで公開されている情報を得ることにした。
公式サイトは見るが公式掲示板などを見るつもりはあまりない。
情報の確認、どう思う人がいるのかくらいはみてもそれで選ぶことはしない。
他人の主観が入った意見やネットに流されて作られた情報はいいものもあるがデマやガセ、等とと呼ばれるものも少なからず存在しているのでプレイスタイルは自分で決めようと思う。
それでもし失敗してもβテストなんだから問題ない!
βテスターは正式版ももらえるしな!
折角テストに参加できたんだからいろいろやってみたい。
『最強』の二文字にも憧れるけどな!
基本はそこを目指して、でもいろいろ、が一番いいがまぁそこら辺はなるようにしかならんだろう。
まず一番最初に目につくのは種族の多さだ。
おれはまず上から順に見ていくことにした。それにしても種族の種類が結構あるんだな。
ヒューマン:突出したものがない平均的なステータス。
VRMMO初心者もしくは上級者向け。
固有スキル:状態異常耐性(微)
転生するごとに固有スキルを一つ選択可能。
ビースト:ビーストの中でも二つにに別れていて、
犬族はStrが高く、Agiが少し高い。
固有スキル:半獣化、嗅覚強化。
猫族はAgiが高く、Dexが少し高い。
固有スキル:半獣化、気配遮断。
特殊な種族を除きIntが低い
転生先が豊富。
転生で固有スキルが手に入るかは転生した種族による。
エルフ:Intがとても高く、Agiも少し高いがStr、Vitが低い。
固有スキル:MP回復速度上昇(微)
転生で一つ固有スキルを選択できる。
ドワーフ:DexとStrが高い。Agiが低い。
固有スキル:豪腕、小人の誇り(StrとDexが上昇)
これ以上固有スキルは増えない。
ドラゴニュート:Vitがとても高く、Strが高い。だかAgiがとても低い。
固有スキル:ブレス、竜鱗(StrとVitが上昇)
これ以上固有スキルは増えない。
固有スキルlevel=種族level
ちなみに()のなかの『微』などの効果は
(微)10%→(小)20%→(中)35%→(大)50%→(特)70%→(極)95%
となっているらしい。
効果が特や極になってくると凄い便利そうなスキルもありそうだが、そこにいくには多大な時間と特殊な条件がいる。
なぜわかるかは公式サイトに乗っているからだ。
そして転生するとlevel1になるが基礎ステータスに補正がかかる。
条件を満たすと特殊な種族に転生することができる。
まずはヒューマンからだ。
平均的なステータスでそこからいろいろな方向へ進めるので初心者におすすめ!
と運営のコメントがある。
が
平均的すぎて特徴がなく他種族よりも不利なのは確かなので上級者向けでもある。
と続きで書いてある。
ただ状態異常耐性が結構便利そうだけど。
……掲示板ではヒューマンは他の種族に比べてスタートダッシュで不利なので不遇、地雷と思う人が多いみたいだな……
うーん確かに初めはヒューマンは不利だろうけどあとになれば固有スキルも増えるし五分五分になるんじゃ……?
次はビーストだ。
ビーストは固有スキルが最初から二つあるのが特徴的だ。
そしてヒューマンを下回るステータスはIntのみで、さらに基礎ステータスが高いので人気種族の一つみたいだ。
スピードの早い種族、または力の強い種族が多いので近接系の職業と相性がいい。
と運営はコメントしている。
その次はエルフ!
エルフはロマン!って人がすごく多いみたい。
基礎ステータスは高いのもあれば低いのもあるが、MP回復速度上昇も(微)を育てればとても有用なので人気みたいだ。
知識と精神高いからMPも多くなるのにさらに回復速度上昇ってバランス崩れないのか……?
よくわからないがもし極になったら相当使えるだろうな。
後衛職です。
と運営もそれ以外にコメントがない……
まぁ、そーだけどな、なにかないのか……
さて、運営のコメントに呆れたが次にいこう。
次はドワーフだ!
ドワーフはDexとStrが高いので生産職向けらしい。
が、Strが高いので壁や遊撃手にもなれそうだ。
そして固有スキルでさらに長所が特化するのでこれも結構人気があるみたいだな。
そして最後のドラゴニュート!
竜だってだけでかっこいいよな!
ドラゴニュートはVitとStrが高いがAgiが低いので壁役が多いみたいだ。
わざわざ低いステータスを上げるのも他の長所がつぶれて微妙だしな……
ただドラゴニュートもロマンに加え、固有スキルで長所が特化し、さらにブレスを吐けると言うことで人気種族らしい。
ブレス……格好いいよな……!
さて、何にするか迷うところだな、ここはじっくり時間をかけて考えよう。
スキルとかの相性で決めたりするかもしれないしな。
種族の次はスキルを見る。
これはある程度やりたいことがある。
それは……自分で武器を作ってその武器で戦うということだ。
防具は信頼できる奴に作ってもらえばいいが武器は自分で作った最高の武器を使いたい。
闘いの最中に折れたりしたら洒落にならないからな……
なので鍛冶と戦闘系スキルはとらなければならない。
あとはどうしようか……
例をあげるとこんなスキルがある。
戦闘系スキル
剣術:剣での攻撃に補正+。
師事すると~流剣術、などになる。
体術:体を使った攻撃に補正+。
戦闘系スキルは師事するとスキルlevelが足りていなくても全てのアーツが発動可能になる。しかし、奥義は師事したNPC若しくはPCに勝つか認められることが習得条件。
アーツにはクールタイムはないがスタミナが減っていきスタミナが減ると息が切れ、動きに切れがなくなってくる、そしてそれが0になると動けなくなるみたいだ。しかし、スタミナはHPやMPのようにバーで表示されないのでいつスタミナが切れるかは感覚頼りだ。だがlevelが上がることによってスタミナも上がり、さらに普段の戦闘や生活で上がることもある。
だが戦闘中だけでなく普段の移動でもスタミナはスタミナは使うので要注意だ。
生産系スキル
鍛冶:武器、防具の製造が可能になる。
装飾:服装備やアクセサリーなどを作れる。
石工:石の加工や道の整備ができる。
生産スキルは師事するNPC《ノンプレイヤーキャラクター》によって秘伝の方法などもある。
PCに師事することもできるがその時はそのPCの持っている
秘伝の技を習得可能。
魔法系スキル
各属性魔法:そのなかで火属性魔法を取れば火魔法を、風属性魔法を取れば風魔法を使えるようになる。スキルlevelはなく、呪文を知っていればすべて使える。(MPが足りれば)さらに自分の考えた魔法も創れるが自分で考えた魔法はMP消費量が多い。
MP量増加:スキルのlevelかける0.5%分魔力が増加する。
魔法は師事することができず、自分で試行錯誤するしかない。
その他のスキル
軽業:動きが軽快になり、スタミナの消費量が少しへる。levelが上がるといろいろなことができるようになる。
鷹の目:遠くがよく見えるようになる。
思考強化:脳の情報処理の負担を軽減。
等があり、その他のスキルは便利系が多い。
分類するとこの4つになり、例にあげたスキル以外にも物凄い量のスキルがあり、公開されているスキルだけで200個、ユニークも合わせると250個ほどあるらしい。
どれくらい覚えれるかわからんがβテストじゃ精々20個くらいかな?
他に最初のキャラメイクでしなければいけないのは……容姿の変更は髪の毛と目の色以外変える気はないし(自分で言うのはなんだが俺は格好いい部類にはいるからな)……
名前は決めてある……
年は変更不可能だし……
よし、何もないな……
あと8日の間に種族とスキルを決めておこう。