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自分の好きなジャンルがごちゃ混ぜになってます。
プロローグから今回まで投稿したものを一度推敲したいと考えています。
主に誤字の修正やガジェットの肉付けなどを行うつもりです。
なので来週の更新ができるかわかりません。気長に待ってください。
討伐の作戦を立てるため、次は怪獣の正体を探らなければない。まずは調査のため大助が先行して海中の様子を調べることになった。
大助が海から、アポロたちが空から探索する。アポロたちがいなかったら海に沈んだ約一万八千平方キロメートルもある島を大助一人で走ることになっていた。
大助の大型二輪車とアポロたちのヘリコプター、港に設置されたサルベージ組合のテントとの通信ラインを香菜が形成し、随時連絡がとれるようになった。
「うちにはたまきさんがいますから。機械人間との連携も経験があるんですよ」
と香菜は言っていた。
準備が整うと大助はヘルメットを被り大型二輪車を港から海へと発進させた。
海底の砂が舞い、海中にエンジン音が響く。これも謎の巨大怪獣を誘い出す作戦の一つだ。
大助が大型二輪車を海底で走らせ目標の沈下島を目指していると上空に待機している零時抜刀隊のヘリコプターから通信が入った。
「もしもーし。こちらアポロ。そっちの様子はどう? オーバー」
「こちら大助。アポロ……アポロニアか?」
『職場での愛称でしょう』
「さっすが玖珂財閥のサポートAI。ジュニさんだっけ? 優秀だね!」
「先輩、操縦を変わってください……」
「えー。あっ、うわっ何をする!」
しばらく格闘する音が続いたので大助は通信を切った。
『噂では優秀な部隊と聞いていたのですけれど……』
「どこにでも落ちこぼれはいるさ。俺みたいにな」
『……』
ジュニはそれ以上なにも言わず、大助は沈下島の手前数十メートル付近に着く。
島の内部には入らず、海に沈下島の外周を走行するためにハンドルを切った。
視覚パネルを操作して通信ボタンを選択、抜刀隊の二人に連絡をとる。
「こちら大助。怪獣の姿は見かけなかった。このまま島の内部も調べるか?」
「こちら香菜。私たちも今上空に着きました。おそらく島内部に入れば縄張りを荒らされたと勘違いをしてあちらから姿を現すでしょう。機械人間の大型二輪車は目立ちますから」
「では突入する」
「了解。保志さんたちの現地点も把握できています。でも通信チャンネルは開けておいくださいね。何があるかわかりませんから」
大助は前輪を海に沈む前は港だったであろう場所から乗り入れ島内部に侵入した。
海に沈んだ島は当時の面影をいくつか残していたが廃墟の淋しい風景は海の生態に覆われ、そこには幻想的な風景が広がっていた。
「こちら香菜。そちらの様子はどうですか」
「今のところ異常なし。上空から何か見えないか」
「やっほー。こちらアポロ」
「あ、先輩また勝手に!」
「えー。いいじゃん、いいじゃん。先輩だっておしゃべりしたいのよ」
「……それで何か変化はあったのか?」
大助は二人の会話を打ち切るように言った。
「もー、そんな怒んないでよ。前から思ってたんだけど、機械人間っていうわりに感情が豊かだよね、あなたたち」
「出発はベビーシッター用の人造人間だからな」
「え……、そうなの? 香菜は知ってた?」
「初耳です……」
『意外と知られてないんですよね。最初の機械人間が造られる頃には戦闘用に計画がまとまりましたから』
「まーそんなことはどうでもいいのよ」
「先輩、もっと言い方というものが……。たまきさんはともかく、保志さんはとても赤ちゃんを世話できるようには見えませんでしたけど」
一般的には大助のような黒スーツにヘルメットを被り、斧を振り回すような男性は良くて怪人、悪くて変態だとこの時代にも言われていた。
そのことに大助も気づいていた。ただ黒づくめの格好は合理的だったので彼個人は無理やりにでも格好いいものだと思おうとしていた。
『花江さんは天然なのかしら?』
大助は話題を元に戻そうと言葉を伝えた。
「……それで何か見えたのか」
「うん。沖の方からおっきい影がすっごい速度でまっすぐ島に向かってるよ――あ、今島に入った」
大助は流し運転――一般的なバイクと比べてもかなり高速度で走っていたが――を止め、しっかりと車体を脚で挟む。
「それを早く言えっ! ジュニ、探知だ!」
大助の反応と同時にジュニは探知を開始していた。
『――発見しました。全長約三十メートル、姿だけを見れば恐竜のリオプレウロドンに酷似していますが、大きさ、水泳能力共に一般動物ではありませんね』
大助は視線パネルを操作し、ヘルメットの望遠機能を起動させる。
「あのでかぶつは外洋から入ってきたばかりだぞ! どんな運動能力を持っているんだ⁉」
『まさしく怪獣ですね』
その巨大な影は既に望遠機能を覗かなくても視認できる距離まで迫っていた。
廃墟の青い空を力強く飛ぶ。その姿は海の絶対君臨者だ。
「こちら香菜! 保志さん今すぐ逃げてください!」
「逃げ切れると思うか?」
『無理ですね。海中ではあのトカゲの方が幾分か有利です』
ジュニの言葉を聞き、大助は戦闘態勢に入る。ジュニが《分子チェーンソーの槍》を展開させた。
《分子チェーンソーの槍》は海中で展開させるだけならともかく、スイッチを入れば周囲が一瞬で沸騰してしまうのでチェーンソー機能は使用はできない。使ってしまえば怪獣は倒せても海底に沈んだ街と海の生態系は破壊され、依頼主であるサルベージ組合は解散だ。
大助はハンドルから左手を離し、装備していた折り畳みの斧を展開した。
「接触するぞっ!」
右手でアクセルを捻ると大型二輪車のエンジンが唸りを海中に震えさせ、巨大なタイヤがまわりだす。黒い砲弾が絶対君臨者に向かって放たれた。
『いつまで経っても男の子なんですから……』
ジュニが意識会話でぼやく。だが止めることはしなかった。そこは長年連れ添ったパートナーとしての確固たる信頼があった。
「あははっ! 行っけー‼」
「こ、こちら香菜! ちょっとどうする気ですか⁉」
通信の向こうから抜刀隊の二人の声が聞こえる。
「そんなの決まってる!」
「な、なにが⁉」
香菜の質問にはシンプルに一言で答えた。
「突っ込むのさ!」
誤字・脱字が多々あるかもしれませんがご容赦お願いいたします。
発見しだい随時修正していく予定です。