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スピンアウト!  作者: スックブ
第三章 セクサロイドは幸せの夢をみるか
30/32

自分の好きなジャンルがごちゃ混ぜになってます。


最終章になります。今週完結予定!


もうしばしお付き合いください。

 大助は工場地帯にある機械人間(コールドマン)製造施設を目指していた。

 先ほどの戦いのあと捻った首は自己修復できたが右腕パーツは神経系まで修復できなかった。

 大助は逃げたセクサロイドが機械人間の身体パーツを使っていたことで機械人間の部品が製造している施設があると確信していた。


『こちらの位置はバレているでしょうね』

大助たちは羽虫型の偵察ロボに気づいてはいたが手を出せずにいた。小さく、近づいても来ない相手にするのには時間がかかるからだ。

「別の反応は?」

『今のところ何もありません』

 大助はキーパネルを見つけて大型二輪車を停める。大型二輪車からケーブルを引っ張り、キーパネルの横にある差込口に繋げた。

 ジュニがそこから管理システムに潜り、工場地帯の全体図を手に入れる。

「パスワードとかファイヤーウォールはなかったのか?」

『同じ玖賀財閥(くがざいばつ)製品なのでチェックも厳しくなかったです』

身体パーツの製造施設に着くと再びケーブルを直結させジュニがハッキングをして扉を開ける。

 重い扉がゆっくりと動く。

「ッ‼」

 開いた扉の隙間から透明な液体が飛び出してきた。

 液体のかかったヘルメットの電源が落ちる。大助はヘルメットを扉の隙間に投げ捨てるとキーパネルからケーブルを抜いた。右腕を諦め大型二輪車を発進させる。

『反応――感知できません!』

「今度は魚か!」

 扉から現れたのはマンボウ型のロボットだった。ロボットの周囲は透明な液体のようなものに覆われており、地面から三メートルほど浮いていた。

 ヘルメットを封じられたのは痛手だった。大助は大型二輪車の武装を操作できなくなり、ジュニは地図情報を意識会話で大助に伝えなければならない。


「ビームシールド展開!」

 車体後方に設置されたビームシールドが展開される。がマンボウが発射する液体に触れられビームシールドが消えた。

『ビームシールドのエネルギーが尽きました! あの液体は触れたもののエネルギーを吸収します!』

 使い物にならなくなったビームシールド装置を分離(パージ)する。

「あの液体は電気スライムか! 冷凍装備は⁉」

『……ありませんよ。大助が昨日も付けたがらなかったじゃないですか』

 大助が水泡の(スライム)マンボウに向かって手投げ用の斧を投げる。電気スライムがクッションの役目を果たし、効果はなかった。スライムの内部から地面に斧が吐き出される。

『マンボウ型ロボットが脳の役目をして周囲の電気スライムを操っていると推測されます』

「そうだろうな。ジュニ、地図のデータはまだ消去していないな」

『ええ。冷却装置のある場所ですね』

「魚は冷凍保存しないと鮮度が落ちるからな」

『……』

「なにか言って!」

『では音声誘導を始めます』


 付かず離れず誘導するのは難しい。相手が追いかけるのを止めてしまえば大助たちの作戦は成り立たない。

 マンボウから発射される電気スライムにも十分な注意をしなければならなかった。こち

 何度か射出される車体に電気スライムが当たり、武装を使用できるエネルギーもなくなっていた。

 電気スライムは発射されるたびに細胞分裂を繰り返して増えており、減少する気配がなかった。元未確認生物だけあって常識外れだ。

『このコーナーを曲がれば冷却タンクがあります!』

 大助が振り返り背後を確認する。

「いないぞ⁉」

『前方です‼』

 コーナーを曲がった先、冷却タンクの前にマンボウが現れた。大助たちの作戦が読まれていたのだ。

「突っ込む!」

『わかりましたッ‼』

 大助は背中に背負った大型ハルバードを冷却タンクに向かって投げた。マンボウはこれを迎撃するため大量の電気スライムを放つ。

 電気スライムは増え続けるとはいえ、一瞬で増えることはできない。ハルバードと同時に大助に向かって撃てるほどマンボウの周囲に電気スライムは残っていなかった。

 冷却タンクに向かって残った投擲用の斧を投げる。大助は速度を落とさずマンボウを撥ね飛ばした。

 マンボウは亀裂の入った冷却タンクに突っ込み、タンクから白い靄が溢れだす。

 宙や地面に落ちた電気スライムが白い靄に触れると凍っていった。

 大助は割れたタンクに飛び乗ると中でぴちぴちと暴れるマンボウに折り畳みのハルバードを叩き込み、破壊した。

誤字・脱字が多々あるかもしれませんがご容赦お願いいたします。

発見しだい修正しています。

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