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スピンアウト!  作者: スックブ
第二章 少女アニマート(前編)
15/32

自分の好きなジャンルがごちゃ混ぜになってます。


週一予定の不定期更新ですがどうぞよろしくお願いします。

予定なのでたまに早かったり、遅かったりします。


バトルは次の投稿になりそうです。今回も説明ばかりです。

 悠一の一日はまず居候を起こすことから始まる。

 悠一が連れ帰ったのだから当然……なのかもしれないが、今でも慣れてはいなかった。

 なにせ惚れた女の子が以前まで自分が使っていた布団の上で寝ているのだ。


 悠一は危うい場所に触れないよう神経を使い、仰向けになって寝ている居候の肩を揺する。

「起きて。朝だよコアちゃん」

「うぅ~ん。 朝ぁ?」

 コアの寝間着は悠一の使い古したTシャツだ。コアには少し大きく、サイズが合っていない。

「もう十時だよ」

「十二時まで寝るぅ……スゥ……」

コアが寝返りをうつ。悠一は無理やり起こそうと布団代わりになっているタオルケットを引き剥がした。

「どうしてズボン履いてないの⁉」

 悠一が辺りを見渡すと脱ぎ捨てられたハーフパンツが床の上に落ちていた。

 悠一は慌ててハーフパンツを拾いコアに履かせようと再び仰向けにして足を抱きかかえる。

「ぅん~?」

「じっとして!」

 Tシャツと下着一枚の姿で母親のいる居間に行かせるわけには行かない。

「そこ違う……もっと下ぁ」

「寝ぼけてるの⁉」

 なんとも艶めかしい言葉がコアの可愛らしい唇から洩れるが悠一にとって今はそれどころではない。

 コアが起き出すのを待つことに焦れた母親が様子を見に来る前にズボンを履かせなければならないのだ。

「ほらもう少しで履けるから腰を上げて!」

「もう無理。動けない……」

 仕方なく悠一はコアを引きずるようにして腰を持ち上げる。Tシャツの裾が巻き込まれ胸の下まで捲り上がった。

「――ハッ!」

 悠一は背後で鬼の気配を感じる。それと同時にコアが覚醒した。

「あれ……ユーイチ何してるの? それにお母様も」

 悠一の背中に嫌な汗が噴き出る。

 痛みを通り越した衝撃が悠一を襲った。


「……あれ? ボクは一体何を?」

 悠一が目を覚ますと食卓に座っていた。目の前にはご飯が盛られた茶碗と箸だけが置かれている。ふりかけも納豆もない。

「凄かったねー。 アニメみたいな吹っ飛び方だったよ?」

 悠一はコアが何を言っているのかわからなかったが、この魔法少女は不思議なところがあるので気にしなかった。

 そう、彼女は魔法が使えるのだ。

 この家に来た当初も母親を説得するためコアは魔法を使った。母親に自分を親戚の子供だと思い込ませたのだ。

 コアが悠一の家に来て数週間になる。街で合う学校の友人たちには夏休みを利用して遊びに来た親戚だと伝えてある。悠一も彼女の本来の目的は聞いていないが、そこは惚れた弱みだ。深く追及していない。

 ただ彼女が保護者の迎えを待っていることは言葉の端々から予想していた。

 数日前にテレビを見ながらコアが、

「私の保護者さんも間抜けねー」

と言っていたのを覚えている。

 そのコアの父親らしき人物は生中継で足首を切断された。心配ではないのかと悠一が聞くと、

「心配? あー、そうね。あの人、カレーマニアだからこの国独自のカレーを食べたいって言っていたのよ。私の迎えに来る前に食べ過ぎてお腹を壊さなきゃいいんだけど」

とはぐらかされてしまった。

 悠一はそんな彼女見て、

(そんなところも可愛いんじゃないかな!)

とおかしな感じ方をしていた。


「今日はどうするの?」

 昼ご飯を食べ終え、悠一がコアに尋ねる。彼女は居候を始めてから悠一に街の案内をさせたり、駄菓子やラムネを買わせたりとやりたい放題だ。悠一もそんな扱いにはすっかり慣れてしまった。

「うーん。私の保護者もまだ時間がかかりそうなんだけど、この街ってとくに観光地でもないのよね」

「そうだね。ふつーの街だと思うよ」

「もう見てまわる場所がないよう」

「なら夏休みの宿題を手伝ってよ。漢字の書き取りが曲者なんだ」

「ワタシ、ニホンゴ、ワッカリマセ~ン」

 二人でじゃれ合っていると掃除の邪魔だと悠一の母親に家から叩き出された。ついでに父親の着替えを持たされサルベージ組合本部までのお使いを頼まれる。


 家の外に出ると太陽の容赦ない光が頭上に降り注いだ。地面も熱で温められたこの時間帯は悠一にフライパンを連想させた。

 悠一は野球帽にアロハシャツと半ズボン、足にはスポーツサンダル。首にはタオルを巻いている。

 対してコアは麦わら帽子を被りポップ柄のTシャツとホットパンツだ。靴は悠一とは違いスポーツ用のスニーカーだった。悠一と出会った次の日、彼女は目の前で異空間から次から次へと衣服を召喚してみせた。

「そういえば私まだ行ったことないよね、サルベージ組合ってとこ」

「うん。でもぼろっちぃビルがあるだけでなにもないよ?」

「でもあの怪獣を倒した組織でしょ?」

「怪獣……ああ。グラビトンのこと?」

「なにその変な名前……」

「父さんがそう呼んでたんだよ。でも怪獣がいたのはコアが来る前の話だけど、どうして知ってるの?」

「ふっふっふっ。それが違うんだよなあ。私のあとに怪獣がこの街に来たのよ」

 悠一は知らないことだったがサルベージ組合でも怪獣がこの海域に現れた原因について議論されたことがある。あの巨体を脅かす存在がまだ他の海にいるのか、と。だが今更そんな話は建設的ではないと議論はすぐに下火になったのだ。


「どういうこと?」

 悠一が聞くとコアが得意げに顔をあげる。

「ふふん。あの怪獣があまりにもおいた(・・・)がすぎるから私が懲らしめてやったのよ。まぁ逃げられちゃってこの街には迷惑かけたみたいだけど」

「うーん。でも死んだ人はいなかったし大丈夫じゃない?」

「そう! そこがわからないの!」

 コアが悠一の方を向き、人差し指を立てる。

「私がやっつけ損ねた相手よ? 一体どんな方法で倒したのかしら……」

 悠一がなんてことないように言う。

「それなら知ってるけど」

「なにそれ聞いてないよっ⁉」

 悠一が気まずそうに頭の後ろをかく。

「えー……だってそんなこと一言も言ってくれなかったし……」

 コアが悠一のアロハシャツの襟を掴んで引き寄せる。二人の顔が急激に接近した。

「それでどんな作戦がだったの⁉」

「ち、近いよ!」

「どうしたの急に。熱中症? 顔が赤いけど……あ、私が掴んでたからか」

 パッと襟から手が離される。

 ちょっと残念なような気もしながら悠一はコアに怪獣の顛末について説明した。


「――それで抜刀隊の人たちと大兄ぃが協力して倒したんだって」

「へぇ~。この国にはテレビに映っていた人たちの他のもそんな機械があるのね」

「機械っていうか機械人間コールドマンだけど」

「それってなにか違うの?」

「……さぁ? 三つのロボット原則を守らなくていいとか?」

 話し合っている内に二人はサルベージ組合本部の門の前に着いた。

「さっき言ってた機械人間ってあれの事?」

 悠一はコアが指さす先を見る。そこには自分の父親と何やら会話をしている友人の機械人間の姿があった。彼の脇にはそれを象徴する大型二輪車が停められている。

「ホントだ。何しに来たんだろ?」

「私は用を思い出したからユーイチは先に帰っててね」

 コアが悠一の顔の前で指を振った。

「――うん。わかった。帰り道、わかる?」

 無表情になった悠一が尋ねた。

「大丈夫よ。すぐに終わるから」

 コアが答えると悠一は荷物を届けに父親のもとへ走って行った。


 入れ替わるように機械人間は悠一の父親から離れ、コアの前に立つ。

 機械人間が口を開いた。

「お嬢ちゃん。自分の立場が分かっているのか」

「お嬢ちゃん呼ばわりは止めて。バカにされるのは好みじゃないの」

「捕らえろと指令が降りてるんでね。大人しくすれば――」

「私を捕まえるですって? 随分と見くびられたものね」

「ふうん。……じゃあどうするって言うんだ」

 機械人間はヘルメットを被りアクセルをまわす。怪物のような二輪車から咆哮が響く。

 コアはその場でくるりとまわるとその手に自分の身長ほどある箒を握っていた。

「私が世の中の掟ってのを教えてあげる‼」

 大型二輪車から発射された粘着水を避け、コアが空に舞い上がった。

 そのあとを追うように大型二輪車のタイヤが唸る。

 リリカルとメカニカル、両者の戦闘が開始された。

誤字・脱字が多々あるかもしれませんがご容赦お願いいたします。

発見しだい随時修正していく予定です。


最近は気づいても「後でやればいいや」とか思ってしまいます。

そのうちまとめて修正するかもしれません。

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