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第8話

その頃、雅夫の部屋の玄関前で麗奈が座り込んでいた。

『いつもこんなに遅いのかなぁ』

時計は10時を過ぎている。

『朝に来ると迷惑だろうし…どうしよう』

雅夫の隣の住人が帰ってきた。

『すいません、大下さんはいつも帰りが遅いんですか?』

『ここ何日かは見かけないですよ。会社に寝泊まりしてるのかも』

『そうですか…』

麗奈は建物から出て美幸に電話をした。

『美幸姉ちゃん…』

『もしかして、会えなかった?』

『うん』

『今から局を出るから、駅で待ってて』

『はーい』

麗奈が駅に着いて20分ほどして、美幸がやって来た。

『お待たせ〜』

『今日も会えなかったよ〜』

『全く、ヤツは何やってるんだか…』

『仕方ないよ。会社に寝泊まりしてるんじゃないかって、隣の人言ってたし』

『相変わらず忙しい人なんだ』

『お仕事大変なんだなぁ』

『会社のコンピューターを1人で切り盛りしてるからね』

『へぇ〜、すごーいっ』

『明日、大下君の会社に電話してみよっか?』

『えっ!?』

『待ってたっていつ会えるかわかんないし、連絡さえつけばなんとかなるでしょ?』

『うん、ありがとう』

『今日は遅いから、ホカ弁買って帰ろうか?』

『私唐揚げ弁当!』

『はいはい』

2人は近くの弁当屋に行った。

入れ違いで自宅に帰って来た雅夫に健四郎から電話が来た。

『三沢と連絡とれたよ』

『どうだった?』

『情報は古いけど、舞ちゃんの住所がわかったよ』

『マジで!?』

『詳しいことは俺も聞いてないんだけど』

『何だよ、それ』

『三沢にお前の番号教えといたから、連絡くると思うよ』

『わかった、サンキュ』

健四郎からの電話を切った瞬間、着信が入った。

『もしもし』

『三沢です』

『久しぶりだね。元気?』

『元気だよ。先輩、舞ちゃん先輩を探しに東京に来るんだって?』

いつしかタメ口になってる。

『うん、会えるかどうかわかんないけど』

『何で今更…舞ちゃん先輩を?』

『電話じゃ長くなるから、明日行ってから話すよ』

『明日!?急だなぁ』

『急って言われても…』

『先輩、泊まる所は手配してるの?』

『ううん、まだだよ。行ったらなんとかなるでしょ』

『だったら私の働いてるホテルに泊まれば?安くしとくよ』

律子は都内でホテルマンとして働いてる。

『それは有り難い。宜しく頼むよ』

『でさ、明日は何時に来るの?』

『羽田に10時20分に着くよ』

『飛行機だね。そしたら、羽田からモノレールに乗って浜松町で乗り換えて、新宿まできたらこの番号に電話してね』

『わかった。お世話になります』

『お世話してやろう。エヘッ』

『調子乗りやがって』

『じゃあ、明日、お待ちしております』

『じゃあね』

雅夫は期待と不安が折り重なった中で眠りについた。

翌日、定刻通りに羽田に到着した雅夫は、モノレールとJRに乗り継ぎ、新宿駅に降りた。

『さすが東京。人が多いなぁ』

平日の昼間とはいえ、駅は混み合っている。

半ば人酔いした雅夫は、律子に電話した。

『今、新宿駅のどこにいます?』

『え〜っと、目の前に京王線の改札があるよ』

『そこで待ってて。すぐに行くから』

しばらくして、ホテルの制服を着た律子がやって来た。

『よっ、ホテルウーマン』

『先輩、全然変わってないね』

『りっちゃんも昔のまんま』

『すっかりおばちゃんだよ』

『こっちもおじちゃんだよ。とりあえず、荷物を置いて落ち着きたいよ。人が多すぎて具合が悪くなるよ』

『私もこっちに着た頃は通勤が嫌だったわぁ。さすがにもう慣れたけどね』

雅夫と律子はホテルに着いてチェックインを済ませた。

『先輩、まだ掃除中で部屋に入れないんだ。荷物、フロントで預かってくよ。貴重品だけ出しといてね』

『貴重品はこれだけだから』

ポケットの中から財布と携帯を出した。

『隣の喫茶室でコーヒーでも飲んでて、後で行くから』

雅夫は喫茶室に移動した。

[舞ちゃんもこの大都会で生活してたんだなぁ]


煙草をふかし、コーヒーを飲みながら、物思いにふけってると、私服に着替えた律子がやって来た。

『今日は早退してきたよ。場所変えて、話を聞かせて』

2人はホテルを出て、近くの喫茶店に場所をかえた。



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