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第6話

『ここが美幸姉ちゃんのマンション?』

『そう。ここの12階に私の部屋があるの』

荷物を持って、エレベーターに乗った。

『どうぞ』

美幸が扉を開けた。

『お邪魔しまーす』

モノトーンで統一された部屋は、麗奈には格好よく、新鮮に見えた。

『わぁー、海だ』

ベランダからは海が一望できる。

『ここから海を見てると、嫌なことも忘れちゃうよ』

『だよねー。海を見ながら生活するのって憧れるなぁ』

『だったら麗奈も福岡で暮らせば?』

『そうだなぁ』

美幸は使ってない奥の部屋に麗奈を案内した。

『ここは今日から麗奈の部屋ね。自分の部屋みたいに自由に使ってね』

『はーい』

麗奈はカバンから服を出し、しわにならないように広げている。

『コーヒー、お茶、ジュース、何飲む?』

『お茶がいいな』

美幸がお茶と菓子をテーブルに置いた。

『お茶入ったよ』

『はーい』

麗奈がリビングに来た。

『いただきまーす』

2人してお茶をすする。

『ねぇねぇ、そのまーくんってどんな人なの?』

『お母さんの話と私の想像しかないんだけど、凄くいい人だよ』

『そうだよね。現実に会ってないんだもんね』

『写真、見る?』

『彼の?』

『うん、お母さんと一緒だから、かなり昔の写真だけど』

『見せて見せて』

麗奈は美幸に写真を渡した。

美幸は驚いた。

『大下…君?』

『美幸姉ちゃん、知ってんの?』

『知ってるも何も…元カレだよ』

『まーくんと付き合ってたの?』

麗奈の目が丸くなる。

『大下君の会社に派遣で行ってた時に、意気投合して付き合うようになったんだけどね』

『それでそれで?』

麗奈は興味津々だ。

『いつも陰がある感じで、そこが魅力的だったんだけど、いつまで経っても手すら握らないの』

『何で?付き合ってたんでしょ?』

『私のこと、嫌いなの?って聞いてみたの』

『何て言ったの?』

『昔からずっと想ってる人がいて…その人に自分なりのケジメをつけないと…みんなに迷惑をかけてしまう…って』

『そうなんだ』

『始めは、何なのこいつって思ったけど、真面目な恋愛しか出来ない人なんだって思うと憎めなくなってね』

麗奈は舞のことだと直感した。

『まーくんとはその後どうなったの?』

『結局別れたわ。それ以来、全然連絡とってないよ』

『そっかぁ』

『高校の時の写真なのに、全然変わってないね』

『そうなの?』

『うん、眼鏡からコンタクトに変わったくらいかな?』

『よかった…』

麗奈はひとまず安心した。デブでもハゲでもなかったことに。

『麗奈のお母さんが亡くなって、何年になるかねぇ?』

『中1の時だったから、4年になるよ』

『康夫じいちゃんは元気?』

『一昨年死んじゃった』

『えっ!?じゃあ今は1人なの?』

『うん』

『そっかぁ、大変だね』

『だいぶ馴れたよ。初めは心細かったけどね。智美に何度も助けられたよ』

『私、これから仕事なんだけど、麗奈はどうする?家にいる?』

『まーくんの所に行ってみるよ。夜なら会えるかもしれないし』

美幸は地元のラジオ局でDJをやっている。

『10時に終わるから。なるべく早く帰るね』

美幸は麗奈に合い鍵を渡した。

『うん、わかった』

『駅まで送っていくわ』

『ありがとう。仕事は車で行ってんの?』

『そうよ。打ち合わせとかで遅くなると、足が無くなるからね』

部屋を出て、車に乗り込んだ。

『美幸姉ちゃんのラジオ、聞いてみたいな』

『FMで8時からやってるから、聞けたら聞いてみて』

『うん』

駅に着いた。

『じゃあね』

『仕事、頑張ってね〜』

美幸の車を見送って、再び雅夫のアパートに向かった。



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