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第26話

『私、まーくんにとって大切なの?』

『大切というか…宝物だね』

『そんなこと言うと、本気にしちゃうぞ』

『参ったなぁ』

『なにそれっ!』

『嘘だよーんっ』

『ご飯食べたら、一緒に来て欲しい所があるんだけど』

『どこ?』

『来ればわかるよーん』

麗奈は雅夫に買って貰った服を着て出かけた。

車を走らせ、眼下に相模湖が見渡せる墓地に来た。麗奈は中に入り、奥の墓石の前で止まった。

『麗奈ちゃん、ここは?』

『お母さんのお墓』

『ここに舞ちゃんが眠ってるんだ…』

2人で手を合わせてると、麗奈が雅夫の方に向いた。

『まーくん、いや、雅夫さん』

『は、はい』

『私と結婚して下さい』

『な、何、いきなり』

『私はお母さんみたいに立派じゃないけど、まーくんと死ぬまで一緒に幸せでいたいの。きっと、お母さんもまーくんなら安心すると思うし』

『オレ達って親子ほど年が離れてるんだよ』

『年は関係ないよ。私じゃ嫌?』

『嫌じゃないよ。ただ…』

『ただ?』

『オレの方が絶対早く死ぬし、麗奈ちゃんにはこれ以上寂しい思いをさせたくないんだ』

『大丈夫。お母さんが死なせないよ。手紙に書いてあったじゃん。私の分まで長生きしてねって。私、まーくんじゃなきゃダメなの。お母さん、いいよね』

麗奈は全身のエネルギーを使って、雅夫にプロポーズをした。

雅夫も、麗奈と結婚することがお互いにとって一番の選択肢であることは間違いないと思っていた。麗奈の言葉に背中を押された雅夫は姿勢を正して、

『麗奈さん』

『は、はい』

『僕と結婚してもらえますか?』

『…はいっ!、喜んで』

『舞ちゃん、麗奈ちゃんを宇宙一幸せにするから、安心してね』

舞の墓前で2人は誓いのキスを交わした。

『お母さん、私、まーくんに一生ついて行くね。これ、まーくんが買ってくれた服だよ。似合うでしょ。まーくん、お母さんより私のほうがかわいいって言ってたんだよ』

『舞ちゃんのほうがかわいいって言ったもん!』

2人は墓地で騒いでいた。

帰りの車の中、

『さっき、宇宙一幸せにするって言ってくれたよね』

『うん』

『ほんとに?』

『舞ちゃんの前で約束したんだから、嘘はつかないよ』

『ありがと…』

麗奈が涙ぐんでいる。

『2人の物語は始まったばかりだよ。誰もが羨むくらいのエピローグを書けるよう幸せになろうね』

麗奈の手を握ると、静かにうなづいた。

『麗奈ちゃん』

『何?』

『学校のことだけど…』

『まーくんは私が高校中退でも構わない?』

『全然構わないよ』

『だったら、辞める』

『そっか、じゃあ手続きしないとね』

『うん。あと、まーくんに会ってもらいたい人がいるんだ』

『誰?』

『智美なんだけど』

『幼なじみの?』

『智美にはちゃんと報告しとかないと』

麗奈は智美に電話した。

『麗奈、今どこにいるの?』

『八王子に帰ってきたよ。今日、暇?』

『暇だけど、どうしたの?』

『学校終わったら、私んちに来て』

『わかったわ』

『じゃあね』

夕方、学校を終えた智美が麗奈の家に来た。

『麗奈ぁ、いきなり家に来てって…』

部屋には麗奈と雅夫がいた。

『あっ、こんにちわ』

『初めまして。大下雅夫です』

『こちらこそ初めまして。山中智美です。いつも麗奈から写真を見せられてました』

『そうなんですか』

『写真のまんまですね。びっくりしました』

『ハゲでもデブでもなかったでしょ』

『ハゲ?デブ?』

『いやっ、あの〜、麗奈っ!何言ってんのよ』

智美は真っ赤になった。

『智美はね、写真のまーくんが何年も経ってるからハゲててデブになってるって言ってたのよ』

『すいません…』

『ははっ。普通に考えればそういうもんですよ。智美さん、気にしないでくださいね』

『ほんと、ごめんなさい』

『あのね、智美』

『どうしたの?』

『私、学校辞めることにしたの』

『嘘っ!?』

『ほんとに。あと、まーくんと結婚することになったから。智美にそれを伝えたくて家に来てもらったの』

いきなりの報告に戸惑う智美。

『大下さん、本当ですか?』

『ええ、話がトントン拍子に進んで…麗奈ちゃんの言う通りです』

『学校辞めてしまうのは悲しいけど、おめでとう』

『智美は私が学校辞めても、ずっと親友でいてくれる?』

『当たり前じゃん。どこに行っても麗奈は親友だよ』

『よかったぁ』

『麗奈、久々にカラオケ行く?理恵と麻美も呼んで』

『行きたいけど…』

麗奈は雅夫の顔を見た。

『行っておいでよ』

『何言ってるんですか?大下さんも一緒ですよ』

『えっ?一緒に?』

『みんなにも紹介しないと。ねっ、麗奈』

『うんっ!私の旦那様を見てもらわなきゃ』

智美は麻美と理恵に連絡をとり、3人はカラオケボックスに向かった。


翌日、退学手続きを済ませ、積めるだけの荷物を車に積んだ。

『よし、出発するよ』

『うん』

『ねぇ、あれは?』

智美を先頭に、麗奈の同級生が見送りに来てた。

『おめでとう』

『お幸せにね〜』

『麗奈ぁ、バンザーイ』

『みんな、ありがとう。ありがとうね』

『いい友達だね』

『うん』

『辞めて後悔してるんじゃない?』

『…ちょっとね。ちゃんと幸せにしてよっ!まーくん』

『オレも幸せにしてね、麗奈ちゃん』

『せーのっ』

『は〜いっ』

2人は大声で言った。





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