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第25話

食事が終わって、一緒に片付けをした。

『まーくん手際いいね』

『伊達に1人暮らししてないよ』

『お互いに?』

『ねっ』

風呂のお湯張りのブザーが鳴った。

『先にお風呂どうぞ』

『麗奈ちゃん先に入っていいよ』

『ここでは、まーくんがお客さんだし。なんなら一緒に入る?』

『えっ!』

『顔、赤くなってるよ』

笑って言う麗奈。

『もう、じゃあ先に入るね』

雅夫は慌てた様子で浴室に行った。

『ごゆっくり〜』

しばらくすると、

『バスタオル、洗濯機の上に置いとくね』

『あ、ありがと』

麗奈の言葉にまだドキドキしている。

『お先に、いいお湯でした』

頭を拭きながら部屋に入ると、

『まーくん、これ見覚えあるでしょ』

『この浴衣は…』

舞が祭りの時に着てたものだ。

『ぴったりでしょ。着付けもお母さんに習ったんだ』

『凄く似合ってるよ』

『ほんとに?』

『うん』

『お祭りがあったらよかったのに、季節はずれだね』

『来年の夏はそれ着て行こうね』

『そんな約束していいの?』

『大丈夫!』

『絶対忘れないからね』

『うん。麗奈ちゃんもお風呂入ってきたら?』

『覗いちゃだめよ』

『覗きません!』

麗奈は湯船に浸かりながら考えた。


…これ以上まーくんに悲しい想いをさせたらダメだよね。今、まーくんと離れたら今までみたいに強く生きられないよ。お母さん、どうしたらいいの?…


目から涙がこぼれた。麗奈の心は固まっていた。しかし、それを雅夫が受け入れてくれるかどうか、恋愛経験が無い故、駆け引きも対処もできないことに苛立ちさえ感じていた。

平常心を取り戻し、麗奈が風呂から上がってきた。

『そろそろ寝ようか』

『うん』

『布団は?』

麗奈はベッドを指差した。

『そっか。1人暮らしだもんね。オレは床で寝るよ。毛布があったら貸してくれない?』

『一緒に寝よ』

想定外の麗奈の言葉に戸惑う雅夫。

『それはマズいよ』

『何がマズいの?』

『いや、ほら、その…』

『私、まーくんだったら平気だよ…だから一緒に寝て欲しいの』

麗奈は雅夫に嫌われるのを覚悟で、意を決して言った。

『うん…』

雅夫はそれ以上、何も言えなかった。灯りを消して、2人はベッドに入った。

『一緒に寝るのって、お母さん以来だよ』

『……』

『まーくん、寝た?』

『ううん、起きてるよ』

『近付いていい?』

麗奈が寄り添ってきた。雅夫は腕枕をして、麗奈の髪を撫でている。

『まーくん、暖かいよ』

随分昔に舞を抱いた感覚が甦ってきた。

『ゆっくりおやすみ』

理性のレベルを最大にした雅夫は、麗奈の額にキスをした。

『うん、おやすみ』

麗奈は雅夫にしがみついて寝息をたてている。

その夜、雅夫の夢に舞が出て来た。


…まーくん、麗奈を幸せにしてあげてね。まだまだ子供な所もあるけど、ほんと素直でいい子だから。私がまーくんと過ごした幸せな時間を麗奈にもわけてあげてね…


麗奈の夢にも舞が出て来た。

…麗奈、会えてよかったね。まーくんは絶対あなたを幸せにしてくれるから、ちゃんとついていきなさい。一生手放しちゃダメよ。お母さんみたいに後悔するから…


朝が来た。

『おはよう』

『おはよう、まーくん』

『あのさ』

2人同時に話した。

『麗奈ちゃんからどうぞ』

『いや、まーくんから』

『夢に舞ちゃんが出て来たんだ』

『私の夢にもお母さんが出て来たよ』

お互いに夢の中身を話した。

『お母さん、私達のこと、あの世でも心配してるんだね』

『舞ちゃんらしいよね』

『おでこのキス、すごく嬉しかったよ。あんなこと言ったけど、エッチされたらどうしようって内心ドキドキしてたんだから』

『言われたこっちがドキドキだよ。麗奈ちゃんは大切な人なんだから、まずは心から信頼し合えるようにならないとね。エッチなんかその後でいいと思うんだけどな』



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