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資料2:第三プロット版

第三プロットを基にしたプロローグとクライマックスを公開します。

キャラクターも揃えて方向性は似ていますが、設定をだいぶ修正したことがわかります。


なぜかクライマックスが先に思いついて、かなりノリノリで書いていたんですけどね……グスン。


<プロローグ>


アストラル大陸——それは、運命と均衡の神「アルトレイア=ヴェルナ」が創りし世界。


五つの国と多種族が共存するこの地は、幾度となく戦乱に揺れ、今なお静かなる均衡の上に成り立っている。


その均衡を見守る神々が、今、集いしは天上の円卓。


「……またか。人間どもは、懲りぬな」


重々しい声が響く。神々の一柱が、地上の混乱を嘆くように呟いた。


「だが、均衡は崩れつつある。魔族の動きが活発だ。精霊の沈黙も気がかりだな」


「ならば、調停者を送り込むべきか。人の子の中から、選ばれし者を」


「ふむ……兄妹、か。面白い選択だ。だが、あの二人で本当に均衡を保てるのか?」


円卓に集う神々の視線が交差する。

その中に、ひとり、沈黙を守る神がいた。


彼はただ、微笑んだ。


(さて……この物語の結末を、誰が予想できるだろうか)


神々の会議は静かに終わりを告げ、運命の歯車が回り始める。


そして——

兄妹の物語が、始まる。


<クライマックス>


白。

ただ、白。


空も地も、境界もない。音もない。

時間すら止まったような空間に、勇斗は立っていた。


「ここは……?」


そのとき、空間の奥から重厚な足音が響いた。

現れたのは、黒き鎧に身を包んだ男。瞳は紅く、背には巨大な剣を背負っている。


「我が名はゼルス。戦と混沌を司る神なり」


その声は雷鳴のように響き、勇斗の胸を打った。


「お前に与えられた使命はただ一つ。魔王を討て。

それが人類の未来を切り開く唯一の道。

力なき慈悲は、ただの幻想。お前は剣となれ」


勇斗は言葉を失った。

だが、次の瞬間、空間に柔らかな風が吹いた。


「……それが、あなたの答えなのですね」


白銀の衣をまとった女性が現れる。

その瞳は深い湖のように静かで、どこか玲奈に似ていた。


「私はミリディア。記憶と真実の神。

玲奈に示唆を与えたのは、私です。

争いの果てに残るのは、いつも涙。

あなたには、別の道を選んでほしいのです」


「ふん、甘いな」


「あなたこそ、血の匂いに酔っているだけですわ」


神々は言い争いを始めた。

正義とは何か。未来とは何か。

その声は次第に激しさを増し、空間が揺れ始める。


――そのとき、勇斗はふと、思い出した。


召喚されたあの日。

玲奈とリモコンを取り合って、くだらないことでケンカしていた。


もっと前――幼い頃、玲奈がいじめられて泣いていた。

自分は、泣きながらも前に立ち、殴られながらも、妹を守った。


あのときの痛みが、今も胸に残っている。


「ゼルス様、ミリディア様」


勇斗は静かに口を開いた。


「これまで、俺や玲奈を導いてくださって、ありがとうございました。

でも……もう, 俺は自分で決めます。俺の戦い方で、俺の道を行きます」


二柱の神は、言葉を止めた。

そして、互いに視線を交わし、微笑んだ。


「……もう何も云うまい。おぬしに、この国の未来を託そう」


「異論はありませんわ。あなたの選択を、見届けましょう」


<現実世界>


勇斗が目を覚ましたとき、そこには玲奈がいた。

涙に濡れた瞳で、彼を見つめていた。


「勇斗……!」


彼は何も言わず、玲奈を強く抱きしめた。


「……あとは俺に任せろ」


玲奈は小さく頷き、勇斗の胸に顔を埋めた。


<魔王城>


魔王の間。

黒曜石の玉座に、ひとりの少年が座っていた。

その瞳は、玲奈と同じ色をしていた。


その傍らには、冷笑を浮かべるバルザム卿。

そして、巨躯のグロム将軍が大剣を構え、勇斗の前に立ちはだかる。


勇斗は剣を抜いた。

だが、その瞳には怒りも憎しみもなかった。


ただ、守るべきもののために――彼は、歩みを進めた。



玉座の間に響き渡る勇斗の声は、まるで雷鳴のように空気を震わせた。


「我が名はユウト。ルミナ王国の勇者だ。

そこに鎮座するは魔王とお見受けした。

私はここに決闘を申しつける。

もし私が負ければ軍門に降る。

双方それで矛を収めては頂けないだろうか」


静寂。

その場にいた魔族たちがざわめく。


だが、次の瞬間、重々しい笑い声が響いた。


「ククク……クハハハハ!」


グロム将軍が肩を揺らして笑い出した。


「見かけだけで判断されてはおるまいな、勇者殿。

魔王様は魔族の頂点、秘めたる力は絶大である。

人族に劣るわけなかろう。だが……」


グロムは一歩、前へと踏み出した。

その足音はまるで地鳴りのように響き、床石が軋む。


「態々、魔王様のお手を煩わせるのは忍びない。

ここは私、グロムが相手をしよう。

貴様の覚悟、確かめさせてもらうぞ、勇者よ」


その言葉と同時に、グロムは背中の大剣を引き抜いた。

刃は黒鉄にして赤く脈動し、まるで生きているかのように唸りを上げる。


勇斗は静かに剣を構えた。

その瞳には、恐れも迷いもなかった。


「……いいだろう。まずは、お前を超える」


そして、二人の間に風が吹いた。

戦いの火蓋が、今、切って落とされる――。



斬撃が交差するたび、空気が裂け、火花が幾重にも炸裂する。

勇斗の剣は疾風のごとく、グロムの大剣は雷鳴のごとく。


その衝突は、城壁に亀裂を走らせ、ついには一角が崩れ落ちた。


「ぬうっ……!」


バルザム卿は顔をしかめ、悲鳴を上げる。

フードで顔を覆い、身を縮めながら後退するその姿は、威厳とは程遠い。


一方、玉座に鎮座する魔王は、微動だにしなかった。

舞い上がる砂塵がその頬を打っても、目を逸らさず、ただ戦いを凝視していた。


肘掛けを握る手に、知らず知らずのうちに力がこもる。

その瞳には、恐れも驚きもない。

ただ――何かを見極めようとする、静かな意志が宿っていた。



勇斗の剣が炎を纏い、空を裂く。

斬撃と共に吹き出す魔炎が、グロムの肩を焼いた。


だが、魔人の肉体は常識を超えていた。

焦げた皮膚が瞬時に再生し、笑みを浮かべたままグロムは踏み込む。


「いいぞ、勇者! その目だ、その牙だ! もっと見せてみろ!」


グロムの蹴りが勇斗の脇腹を捉える。

空気が弾け、勇斗の身体が壁に叩きつけられる。

石が砕け、砂塵が舞う。


――苦しい。

だが、まだ終わらせない。


勇斗は立ち上がる。

ゼルスの加護が、彼の魔力を再び燃え上がらせる。


氷の刃が空を裂き、風の刃が軌道を変え、雷が剣を走る。


それでも、グロムは笑っていた。

その目は、戦いの中で研ぎ澄まされ、獣のような輝きを放っていた。


「貴様……戦いの中で、進化しているのか……!」


勇斗の息が荒くなる。

魔法の連撃は確かに効いている。だが、決定打にはならない。

グロムは、戦いの中で“今の勇者”を超えようとしている。



その様子を、魔王はただ黙って見つめていた。

砂塵が頬を打っても、目を逸らさない。

肘掛けを握る手は、白くなるほど力がこもっていた。


――なぜ、動かないのか。

――なぜ、言葉を発しないのか。


その瞳には、何かを見極めようとする強い意志が宿っていた。

勇者と将軍。その戦いの果てに、何が残るのかを――。



炎と雷が交差し、氷と風が空を裂く。

勇斗の剣は魔法の奔流を纏い、グロムの大剣と激しくぶつかり合った。


衝突のたびに火花が舞い、城の床が軋み、壁が崩れ落ちる。


勇斗は息を切らしながらも、剣を振るい続けた。

ゼルスの加護が彼の魔力を支え、四属性の魔法が次々と剣に宿る。


だが、グロムは笑っていた。

その肉体は傷つきながらも再生し、戦いの中でさらに鋭く、速くなっていく。


「いいぞ、勇者! その目だ、その牙だ! もっと来い!」


グロムの蹴りが勇斗の腹を捉え、勇斗は吹き飛ばされる。

壁に激突し、瓦礫の中から立ち上がるその姿に、魔族たちは息を呑んだ。


――拮抗している。

だが、決定打が出ない。


そのときだった。

玉座の後方から、バルザム卿が杖を掲げ、魔力を放った。


「グロム! 今だ、仕留めよ!」


紫の魔弾が勇斗の足元を狙って放たれる。

だが、それはグロムの視界にも入っていた。


「……貴様、何をしている!」


グロムの声が怒気に満ちる。

彼は戦いの中で育まれた誇りを何よりも重んじていた。

この一騎打ちに、余計な手出しは不要――それが彼の信条だった。


怒りに気を取られた一瞬。

勇斗はその隙を見逃さなかった。


剣が閃光を放ち、雷が刃を走る。

勇斗は跳躍し、グロムの懐へと踏み込む。


「――これで、終わりだ!」


雷と炎を纏った剣が、グロムの胸元を貫いた。

衝撃が空気を裂き、グロムの巨体が膝をつく。


沈黙。

砂塵が舞い、瓦礫が崩れる音だけが響く。


グロムは、ゆっくりと顔を上げた。

その瞳には、怒りではなく、静かな笑みが浮かんでいた。


「……見事だ、勇者。貴様の牙、確かに受け取った」


そして、グロムは倒れた。

その背に、誇り高き魔族の影が揺れていた。



グロムがゆっくりと倒れ込む。

その巨体が地を打つ音は、まるで戦場の鐘のように響いた。


勇斗はフッと息を吐き、剣を静かに鞘へと収める。

そして、倒れた魔族の将に向かって一礼した。

その姿に、魔族たちの間にざわめきが走る。


「ぐぬぬぬ……」


バルザム卿が唇を噛み、悔しそうに顔を歪める。

勇斗は玉座へと向き直り、静かに言葉を紡いだ。


「魔王様。私はルミナ王国の勇者、ユウト。

この命を賭して、あなたに決闘を申し込みます。

もし私が敗れれば、軍門に降りましょう。

それで、双方の血を止めることはできませんか」


その言葉に、バルザム卿が鼻息荒く叫んだ。


「魔王様! この勇者に鉄槌を! 今こそ討つべき時!」


だが、魔王は静かに、そしてはっきりと告げた。


「……もうよい」


その言葉に、バルザム卿は目を見開いた。

空気が凍りつく。魔族たちも、勇斗も、玲奈も、息を呑む。


「な、何を仰るのですか! この者は敵ですぞ!」


バルザム卿は猛抗議する。

だが、魔王は再び、静かに言った。


「もうよいのだ」


その声には、揺るぎない意志があった。

バルザム卿は言葉を失い、恨めしそうに唇を噛んだまま、沈黙した。



「勇者ユウト殿、あなたの覚悟は受け取りました。もう戦う必要はありません」


魔王の言葉は、静かに、しかし確かに玉座の間に響いた。


「いけません魔王様!」


バルザム卿が叫ぶ。だが、魔王はその声を遮った。


「否、黙れ」


その一言に、バルザム卿は顔を引きつらせ、唇を噛みながら背を向けた。


勇斗は、魔王に向き直る。


「魔王よ……では、もう争いは止めてくれますか」


魔王は、ゆっくりと頷いた。


その瞬間、勇斗の身体から力が抜けた。

彼はその場にヘタヘタとしゃがみ込み、荒い息を吐いた。

グロムとの激闘で、すでに限界を超えていたのだ。


魔王は立ち上がり、勇者の元へと歩み寄る。

そして、膝を突き、勇斗の顔を覗き込んだ。


「こんな状態で再び決闘を申し出るなんて……あなたは、なんて心の強い人だ」


魔王は微笑み、勇斗も笑って虚勢を張った。


「……いや、ただのバカかもしれない」


その瞬間だった。

――ズドン!


背後から火の玉が飛来する。

魔王の背を狙ったそれに、勇斗は咄嗟に反応した。


「っ……!」


彼は魔王に馬乗りになるように身をよじり、火球の軌道を逸らす。

爆風が巻き起こり、砂塵が舞う。


直後、後方から悲鳴のようなくぐもった声が響いた。


「ぐっ……離せ! 離さんか!」


セドリックとグレイヴが、バルザム卿を羽交い締めにしていた。

その顔には、狂気と焦りが入り混じっていた。


「魔王様!」


ミリカが駆け寄り、魔王の安否を気遣う。


火球は逸れ、魔王に傷はなかった。

だが――勇斗は、魔王を抱えたまま、静かに意識を失っていた。


その顔には、安堵と疲労が入り混じった、穏やかな表情が浮かんでいた。


<暗黒の森の朝>


柔らかな光が窓から差し込み、木造の天井に影を落としていた。

勇斗はゆっくりと目を開け、見慣れぬ天井に一瞬戸惑う。


「ここは……?」


声に応えるように、傍らから玲奈の笑顔が覗き込んだ。


「ようこそ、我が家へ」


その言葉に、勇斗は目を見開いた。

ベッドの脇には、玲奈とミリカが並んで座っていた。


ここは――暗黒の森にある、ヴァルドの家。

かつて玲奈が愛し、そして失った人との思い出が詰まった場所。


玲奈の説明によれば、魔王城ではバルザム卿たち強行派への裁判が進行中で、役職剥奪と資産没収が言い渡されたという。


ヴァルド暗殺の件についても、正式な調査が始まっている。


勇斗はしばらく黙っていたが、ふとミリカに視線を向けた。


「……オマエ、魔族だったのか」


驚きと少しの困惑が混じった声に、ミリカは舌をペロリと出して笑った。


「えへへ、実はそうなの。勇者達の動向を監視する目的で動いてたんだ。欺しててゴメンね」


そのお茶目な仕草に、勇斗は思わず苦笑した。


「……まあ、今さら驚くことでもないか。いろんなことがありすぎて、もうちょっとやそっとじゃ驚かないよ」


玲奈はそっと勇斗の手を握った。


「でも、こうしてまた会えた。それだけで、私は嬉しい」


窓の外では、暗黒の森の木々が静かに揺れていた。

戦いの余韻が残る世界で、兄妹と仲間たちは、少しずつ新しい朝を迎えようとしていた。


<完>


ここに向けて書けばいいと思って連載を始めたので、全て御蔵入りにする前に、どうにか活かせないかと悩みました。


でも勇斗の動きは型にはまらず、連載しながら辻褄が合わないので、黒幕を用意しました。


それがポコポンであり、それも弱くなってヴァル=ゼルスに変わってもらったんですが、それも何だかよく分からないので、ヴァル=ゼルスの負の感情と断罪の聖魔剣ヴァルディア、それに先代魔王バル=ザグルは発音が似てるから同義として黒霧として暴走してもらいました。


こんな行き当たりばったりのプロット設計でこの作品は作られています。

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