世界を壊す四人ー革命の始まりー
「え~、面白そうな奴だね。私は、気に入った。」
そう、マリは笑って、僕に肩を組んで言った。
「もう、すぐそう言って、マリは、突っ走るんだから。」
もう一人の子は、そう言って少し困ったように笑う。
「自己紹介するね。私は、木梨茉莉。マリっていってね。で、あの子は、西澤麗子っていうんだ。私の幼馴染。小学生から、同じ学校。レイって呼んであげて。」
そうやって、半ば強引に話を進めると、レイは深くため息をつく。
「レイ、どうしたの?ため息なんかついていたら、幸せが逃げちゃうんだよ。」
マリが純粋に言って、レイの顔を覗き込む。
「あんたが原因なんだよ。」
と言って、頭を抱えてしまった。
「あははははは。」
僕も、苦笑いするしかなかった。
そして、心の何処かでこう思っていた。
声をかける人間違えたかも、と。
まあ、本当にすごい人って、こんなふうに人と違うくらいがいいんだろうなとも思う。
でも、そんなの抜きにして、この関係は随分過ごしていて、心地がいい。
今、この一瞬、一瞬を縫うようにして生きている。
「でも、あたしはまだあんたを信じちゃいないからね。それは、勘違いしないでね。」
レイに睨まれてしまう。
「あ、はい。」
僕は、マリがこんなにも僕に好印象を抱いてくれているから、あっさり僕の提案が通るのかと思っていた。
でも、現実はそう上手くいかないものだ。
地道に努力を積み重ねるしかない。
「まあ、そんなに落ち込むなって、少年。」
そう言って、マリは励ましてくれた。
「じゃあ。話が終わったので、僕は帰ります。」
僕は、二人にぺこりと礼をして、その場を後にした。
後ろから、ちぇーつれないのと、叫ぶマリと、こら、あっちにだって用事あるんだから幼稚園児みたいにさわぐんじゃないのと宥めるレイ。
僕は、少し先の未来を考えると、楽しみで仕方なくなった。
沈みかけている太陽が僕らの行先を照らしてくれた。
次の日の、放課後の事だった。クラスのみんなはそそくさと教室を後にするが、僕はみんながいなくなるまで待ってから教室から出た。
今日の夕飯はなんだろうか、と呑気に考えていると、首に冷たい何かが当てられた。
でも、一瞬にして首に当てられたものがわかる。
ナイフだ。僕の心臓はうるさいくらいに鳴り、手が震えて、呼吸が浅くなっていく。
一体、誰なのか首を動かして見ようとすると、
「動かないでくれる?一発で仕留められなくなるから。」
そう、彼女は言った。
その時、窓から差し込んでくる暖かい太陽の光が僕に答えを与えてくれた。
「楠さん。」
楠夢さん。
僕のクラスメイトだ。
お嬢様のような口調から、名家の出ではないかと噂されている。
しかし、あまり友達はいないらしい。
「なんで。」
「あんたの命をもらいに来た。」
彼女は冷たい視線を僕にかけた。
「もうちょっと言うと、この世界に嫌気がさしたから。私は、あんたを殺して、世の中を恐怖で震え上がらせる。次は、自分が死ぬんじゃないかとね。」
楠さんは、そういうと僕の首に接しているものに少し力を入れた。
「あんたは、たまたま私の目の前にいたから、死ぬ。じゃあね。」
「ま、まってくれ。」
俺は何とか、彼女を止めるために、彼女の手首を握った。
「話をしよう。」
恐怖で汗をかいている僕を見る彼女。
「話?説教くさいのはやめてよね。私は聞く気ないから。」
それでも、力を入れる彼女。
「話をしよう。話をすれば分かる。」
さらに力が籠る腕を、僕は何とかして止める。
「分からないわよ。」
冷徹に言葉を吐く彼女。
「そう言って、犬養毅は死んだじゃないの。」
眉間に皺を寄せて、僕の発言にあり得ないとでも思っていそうな彼女。
「話をすればわかる。」
「あなた、ばか?」
もはや、哀れみすら感じてそうな彼女。
その時。
「待て、楠夢。」
俺の後ろから、聞いたことある声が聞こえてきた。
「あんたたちは、問題児で有名な木梨さんに、西澤さんじゃない!」
楠さんは、震えて、一歩二歩と後退りした。
「いや~、遠くから見てて、すごいね。楠さん。あんな風に気配消せるなんて。私でも、気づかないな。」
そうマリが褒めているのにも関わらず、楠さんの顔はどんどん絶望の色に染まっていった。
「でもね、ここでこの子殺すのはもったいないよ?とってもクレイジーな面白い子なんだから。」
マリは意気揚々としていた。
「だからさ、私たちのグループに入らない?」
マリは、楠さんに近づいていき、しゃがみこんで目を合わせた。
「はい?」
まるで意味が分からないとでも言うような彼女を見て、レイが説明を始めた。
「あの後、マリと話し合って、しばらくユートの行動を見てたんだよ。」
「で、来てみればこの通り。」
「それで、私は、ユートも楠さんも私とレイの仲間にならない?ってなったの。」
楠さんにレイとマリが交互に説明する。さすが幼馴染。
「で、どう?」
マリがキラキラと効果音が付きそうな目を見て、楠さんは
「い、いいわよ」
と少し顔を背けてそう言って折れた。
「やったー!」
隣で、喜んでいるマリを見て、楠さんは
「その代わり、私のことはユメと呼んでね。」
そう照れながら言った。
「可愛い~!」
その様子は逆にマリを興奮させてしまい、マリはユメに抱き着いていた。
「ちょっと、離してよ!」
「え、やーだね。」
「もう、マリやめなさい。」
「ユメも、落ち着いて。」
思えば、出会いはこんな感じだったな。
僕と、ユメと、レイと、マリによる革命はここからなんだ。




