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バレンタインとかマジで興味ねぇわ

作者: 黒魔道士

バレンタインとかマジで興味ねぇわ。

なに?なんなの、あれ?

2月14日に行われるあの珍事。

女が好きな男にチョコを渡す伝統行事、はぁー。

興味ねぇわ、まじ興味ねぇ。


死ねばいいのにな。

バレンタイン考えたやつ。

浮かれてるやつ全員、チョコもらったやつも、作ったやつも、

もれなく全員死ねばいいのにな。


今日は2月14日。

バレンタインデー。

放課後の高校の教室は17時を過ぎ赤く黄昏ていた。

教室の机の群れは掃除のために全てが後ろに下げられ、それでもなんとか教室に残るため、二つの机を向かい合わせて俺と彼女はいた。


「第一さ、バレンタインとかやってることしょーもないんだよな。

たかがチョコ渡したくらいで、愛の何が伝わるってんだか、愛ってそんな小さいもんじゃないとおもうんだよな、バレンタインで成り立った愛だなんてまやかし、チョコのように速攻溶けちまうんだよ!中坊のときの歳上のエッチなおねーさんに対して感じてたあの淡くてしょっぱい初恋くらい速攻でさぁ!そんなのに意味あるか?いやないね!ぜったいない!つまりバレンタインはクソってことなんだよ!」


俺は目の前に座る女子高生。

向井日向むかい ひなたに向けてそんな負け犬自論をつらつらと展開していた。


俺のこんなしょうもない愚痴を一人で聞いてくれた日向は俺の一つ歳下、高校一年生の後輩だった。

こうして教室に集まっている理由は部活のため。

俺らは超常現象解析同好会というたった二人しかいない寂れた同好会のメンバーで、その活動のためこうして集まっていたのだ。

元々は5人ほどいたメンバーも3年が引退してからはこうして完全に二人、明日の存続も危ぶまれる部になってしまった。


「あははー先輩らしい、独特な自論っすね。

先輩はバレンタインに女の子からチョコとかもらったことあるんですか?」


日向が俺に聞く。


「おいおい。

今までの話を聞いて、あると思うのかね日向くん?お前!絶対俺の話聞いてなかっただろ!

聞き流してただろ!!」


「それは今の日向には非常に答えずらい質問っすね。

選択肢を間違えれば先輩の怒りの鉄拳が日向に向きかねない、そんなデンジャラスな状況っすから」


「いいか!?日向!!」


俺は机を叩いて立ち上がる。


「バレンタインはクソだ!!

2月14日は最もクソな日だ!!」


日向は頬をかいた。


「しょうもないんだよ!バレンタイトカサァ!!

興味ないんだよ!!バレンタイントカサア!!

貰っても対して嬉しくないんだよ!!

チョコトカサア!!

バレンタインとかクソなんだよ!クソ!!

よくみたらチョコもクソみてぇな色してるしサア!!クソ渡し合う日なんだよバレンタインはサァ!!」


「先輩はそんなにチョコが嫌いなんすか?」


「ええ?好きだよ!?チョコ、チョースキ!!」


「じゃあ甘いの嫌いなんすか?」


「好きだよ!?

甘いのも好き、メチャメチャスキ!ダイスキ!!」


「バレンタインは?」


「キライッ!!」


日向はデコに手を当て、たははと笑った。


「先輩。

それ世間ではモテない男の僻みって言うんすよ」


「ああ!そーだよ!?

僻みですけどなにかぁあ!?

人生で一度も家族以外からチョコ貰ったことがないモテない童貞の妬み僻みだからなんだよ!!」


「ふんふん、妬み僻みってことは…

つまり、チョコが貰えれば。

先輩のその怨魂は晴れるわけっすね」


「ははは、俺にチョコが来るわけないけどなぁ!!」


「ホントにそうっすかねー?」


日向はゴソゴソと自分のリュックを漁り始めた。

そして俺に向けてそれを渡した。


「ハイッ。

どうぞ、チョコです」


それは四角い包装に、ハートのラッピングがされた。可愛らしいチョコレート。

正真正銘のチョコだった。


「ひ、日向?」


「やっぱ、いりませんか?

日向のチョコは?

先輩はバレンタインガチアンチ勢っすもんね」


「いや、いる!!

全然いる!!

最高にいる!!」


俺は日向から、チョコを受け取った。

どうしよう、手が震える。


「あ、ありがとう日向。

一生大事にする、部屋に飾っとく。

絵画みたいに壁に飾っとく」


「いや食べてください。

せっかく作ったんすから、チョコクッキー」


「チョコクッキー!?まさかの手作りかよ!!」


「別に先輩の為だけに作ったってわけじゃないっすよ。

クラスの友達の間で渡し合ったりもするんす、えっーと。

だからそのついでっすから!

先輩のなんかついでっすから!

義理なんでそこんとこ勘違いしないでくださいっすよ!」


「いいよ!もうこの際!義理でもなんでも!

貰えりゃなんでもいいよ!」


俺は日向から受け取ったチョコを大事に鞄にしまった。そんな俺の様子を見ていた日向はどこか嬉しそうに俺を見ていた。


「先輩、もう一度聞いてもいいっすか?

バレンタインは、2月14日はどうっすか?」


「はぁ!?

最高に決まってんだろ?

バレンタインにああだこうだ愚痴ついてる奴はもれなく恋愛弱者だから気にしないことだな。

ああいうのとは関わっちゃいけない、モテない因子が生み出したバレンタインゾンビどもだ。

気をつけろよ、触ると感染するぞ。チョコが貰えなくなる」


「ははは、恐ろしく早い手のひら返し。

そういうとこも先輩らしいっすねー」


日向は笑いながら席に座った。


「日向のチョコは価値が高いものっす。

人生で今まで日向以外からチョコを貰ったことがなかった先輩は知らなかったでしょうが、世間ではホワイトデーといって、貰ったチョコは返さないといけないんす」


「しっとるわそれくらい」


「日向は、映画がみたいっす」


俺は頭を描いた。


「それが狙い?」


「先輩にチョコ渡すだけで日向はタダで映画をみられるんすよ?

こんなに良いコスパは他にないっす」


「はは、抜け目のねーやつ」


まぁなんか裏はあんだろうなぁとは思っていたが。けど、こうなったら連れていかないわけにもいかなくなってしまった。


「ホワイトデーの日ね。

予約しとくよ、3月14日か。

日向はなにが見たい?」


「そりゃもちろん!恋愛映画っす!」


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