表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/50

   私の勝ちね!!!

ーーー私はあなたと、ケンカがしたい・・・・・


そんなことを願う私は、おかしいのかな?変なのかな?

ねえ、お願い…陽介、またいつもみたいに私を怒らせて?ケンカして、仲直りの勝負をして?


私が勝って、あなたが負ける…いつものケンカを、私として?

陽介が負けて、勝った私に“謝罪を込めてキス”をして・・・・・






国の中心部。かつて街だった、崩れた建物の瓦礫が散乱する廃墟が広がっている…噴水がある広場だった場所。

私が陽介と一緒に歩いていた…いつも私が驚かせるように陽介の手をいきなり掴んで、指を絡ませて繋げば陽介が顔を赤くするのがすごく面白くて。何度も何度も繰り返した。


ーーー私は陽介をからかうのが好きだった…


それは全部、陽介が大好きだからしていた。陽介は、そんな私の気持ちに気付いていたのかいないのか…今ではもう、その答えを聞くことすらできないから。

私は、大好きな陽介を()()()()()()。ケンカして勝負をすれば、私が勝って、私の方が陽介より強いのに、陽介より速いのに…何も守れなかった。間に合わなかった。


ーーー冷たくなっていく陽介に、泣いてすがったのは私…


全てが遅かった。私は自分が強いと思っていた。でも、それがダメだった…私は何も守れてなんていない。


ーーーそれはまるで、過去(まえ)にもあったような強い後悔。


こんなにも心を抉るできごとが二度もあってたまるものか…そう思うのに、私はそれをずっと何故だか否定できなかった。


「でも今日は、その理由を()()()()()…陽介が()()()()()()()がきっとトリガーで、()()()()定められた条件。」


ーーー私は、()()。世界の廻間の権利者の能力を借りる者。


いつもそう。私が転生すると、誰かがいなくなる。

今回は転生して()()じゃなかった…この世界で一番大切で、大好きな陽介がいなくなるまでに時間があった。だけど結局は、これが理。


「こんな私がいていい世界なんて、何処にも無いのに…」


何度泣いて、何度も後悔して、声が枯れるまで泣き叫んでも…私はそれを幾度も繰り返す。

どれだけ失敗しただろう?

どれだけ、“今回は成功する”と思っただろう?


ーーー運命の変え方、なんて…いったい何処にあるのだろうか…?


「陽介に、ごめんは言えないの…私は、わがままで欲張りだからネ★」


この世界で、陽介に見せたことのない私の喋り方…否、陽介に見られたくない“私の最低な姿”の間違いでしょう?

それでも私は、いつの間にか頬を流れ落ちる涙を服の袖で拭う。陽介はもう、私の涙なんて拭いてはくれないから。


「バイバイ。運命を変えられなかった世界」


私の姿が、纏う色が、この世界のルキから廻間にいる時の姿に変わる。

この世界にはもう、いられない。この世界はもう、私がいていい世界じゃない。

これも、いつものこと…私はいつもの動作で世界に亀裂を入れて廻間に帰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ