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とある未来のエピローグ

Heart Doll本店の二階のベランダの柵に片足をかけて、まるで重力なんて関係無いというように軽く乗り越えて、空中を歩きながら庭の外に出る1つの影があった。

誰もいない世界の廻間に降り立ったスカイブルーの髪を揺らす女性…先程の洋館を思わせる店の店主でもあるルキは仮の地に足を組んで座ると、目の前に在る、無限に存在する世界の中の1つのとある世界で、いつものように視線を止めた。


それは、()()()()()()()()()()()()一番最初の世界である。

そして、この世界はすでに亡んでいる。世界として生まれ、滅びのその時間(瞬間)までしか存在しない世界。


ーーーとても、とても………懐かしい。


そう思うのに、まるでさっきまで起きていたことのように鮮明に思い出せる。だけどもう、この感覚で合っているのかすら解らない。

あの日、と言っていいのか解らない。世界が滅んで皆が息絶えたその時、自分だけが青龍に連れられてこの廻間に来た。


「まあ、本当に連れて来たのは銀狼の存在を奪った後の私なんだけど…」


この廻間の権利者だった大きな狼のような姿をした()、“銀狼”の能力を借りて、転生していた頃が懐かしい。他の世界のことは忘れていることが多いのに…どうしてだろうか、この世界のことが永遠に、いつまでも、忘れられない。


ーーーこれは、“呪い”とでもいうのだろうか?


「いつまでたってもオレ()は、運命の変え方を探している…この世界の、あの運命を変えられないのだと悟っていても、ムダにあがいている」


それは本当に、ムダなこと。

結論なんて決まっているのに、自分の存在がそれを許さないのに…本当に自分(())はどうかしている。


「私の運命は、()()()()()()



ーーー否、変えてはならない運命。



目の前の、無限の世界(星々)か、近くなのか、遠くなのか…そんな曖昧なところを見詰めながら、ルキは一番最初に生きた世界の記憶を思い出していた。

今の自分とはとても比べ物にならないくらいに弱くて泣き虫で、何もできない…落ちこぼれ。誰にも必要となんてされない、“できない”が口癖の、青龍の巫女だった風姫 ルキ。


「忘れたいのに、忘れられない………」


時間なんて概念が存在しない世界の廻間。

もう、何十年、何百年、何千年…実はそんなにいないのかもしれない、そんな世界の廻間(場所)()()()は、銀狼に成り代わり、この廻間の()のような存在になっているのだから・・・・・


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