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抵抗虚しく病院に着いてしまった・・・着いてしまった。

物凄く抵抗したせいか幼児の体力のせいか眠くなってきた。

女性警察官が眠そうな俺を見て微笑みながら病院に抱っこしながら入っていく。


「凄くグズってたから眠くなっちゃったんですねー。すぐ終わるからねー。」


中身は28歳のおっさんなのでやめてください恥ずかしいです。


待合室で待たされる事もなくいきなり診察が始まった。


「はい、口開けてー。服捲れるかな。」


医者に口内を確認され聴診器を当てられる。


「言葉も理解できているようだし頭のMRIと胸部のレントゲンしようか。」


眠気もあり医者の診察につい反応してしまい自分から口を開け服をたくしあげてしまっていた。

そんな俺を女性警察官がじーっと見ていたが無視である。


「君何か聞いてる?この診察警察からじゃなくて国の方から要請がきてるんだけど。診察内容秘匿義務の念書まで書かされて。」


「私は何も・・・。上司に確認してきます。」


女性警察官が出ていき代わりに看護師さんに連れられてレントゲン、MRIはこの状況なのに寝てしまった。

レントゲン、MRI共にさっきの医師が機械を操作していた。


「お疲れ様怖くなかった?この大きな機械とか煩かったでしょ。」


もう言葉が理解できているとバレている為首を横に振っておく。


「そうか、偉いね。じゃああの白い服着たおねぇさんに着いて行ってね。」


看護師に手を引かれ診察室に戻ってみると黒いスーツ姿の男が立っていた。


「先生カルテとレントゲン、MRIの結果はこちらで確認しますので後は特捜の方でしますので。」


「こんな小さな子の為に国が出てくるなんてよっぽどの事なんだろうね。大変だろうけど頑張るんだよ。」


先生に頭を撫でられた後黒服の男に連れられ車に乗せられる。


「はい、言語は理解できているようですがどこまで理解できているかは・・・。はい、ですからこちらで精密検査後本国に報告された方が・・・。はい。」


男が電話で誰かと会話していた。

上司なのだろう。しかし本国と言うことは日本じゃ無い可能性も・・・。

男の電話が終わるとこちらに向かって話しかけてきた。


「あなたの処遇は上の方で揉めていてね。理解できているかわからないが今からもっと大きな病院で検査後これからの事を説明させてもらう。」


男が一方的に話したのち車に静けさが戻った。

1時間ほど車に揺られていると目的地に着いたようだ。


「着きました。ええ、救急の入口の方に。降りなさい。」


手早く電話を終え俺に降りるように促す。

救急外来の文字が見える入り口を通って精密検査を受けたのち大きな会議室のような所に通される。

一緒に着いてきていた男はドアの前で待機するようだ。

部屋の中には50代くらいのスーツを着た中年の男がいた。


「こんにちは、いやこんばんわかな?私は外務省に勤めている本田というものだがいきなりだが君は記憶はあるのかな?考えて答えておかないとこれからの君の人生が左右されるよ。」


記憶があるかどうかカマをかけてきているのかわからないがここで無口でいる方がリスクが高いと判断した返事をする。


「わからないです。わたしがだれだったかも。」


できるだけ何も知らない幼女に見えるよう舌足らずに聞こえるように答えた。


「物事は理解できているようだが記憶に関しては無しか・・・。君のような事例がここ1、2日くらいの間に3件発生していてね。他の件だと赤子のように泣き叫ぶだけだったので解決できる糸口が掴めると思ったんだがね。」


本田は少し考えたのち問いかけてきた。


「君に選択肢は2つあるアメリカという大きな国で最新の医療を受ける為に渡米するか今いる日本という国で過ごすか。」


え、これ幼女に答えさせる質問?と思いながらも答える。


「ここに・・・。このくににいます。」


只でさえ大変な状況の中英語が全くわからない俺がアメリカなんぞに行ったとして色々詰むだろうし嫌な予感がするので行きたくない。

答えた後本田の表情をみると笑顔になっていた。


「聞きましたか?賭けは私の勝ちです。2件ほどアメリカ行きが決まっていますしこの子が日本にいると判断しましたしいいですよね。」


誰かに語りかけるように話していたがマイクを付けていたか盗聴器でもあるのだろう。


「ああ、ごめんね。君はこれからある財閥の養子になってもらう。本家じゃなく分家といわれるところだけどね。そこで暮らしながら年1回以上は指定した病院で検査をしてもらう。今から君の新しいお家へ送らせるからそこでこれからの説明を受けなさい。」


俺は頷きながら部屋から出ると知らないおじさんが待っていた。


「嬢ちゃんの家の運転手してる頓田っていうねん。よろしくな嬢ちゃん。」


大きな毛むくじゃらの手に撫でられながら新しい住処に向かうのであった。


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