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一番前にいるアジア系の軍人が前方を確認してこちらに向かって親指や中指、人差し指など折り曲げている。
それを見たクレア先生が前に進み私たちがついていく。
どうやら指を使って指示を出しているようだ。
安全確認をしている為かゆっくり洞窟の中を進んでいく。
赤外線暗視ゴーグルをしているからクレア先生やアリスの顔が見えるから安心できているがゴーグルが無ければ5分も進めないだろう。
それほど人間にとって暗闇は恐怖の象徴であり見えないものまで見えてくるそんな極限状態を作り出すには十分な状況であった。
アリスに握られている手に伝わる力が徐々に強くなってきている。
この場で恐怖していないのは軍人3人とクレア先生だけだ。
やはり1年そこら訓練した人間が敵うことがない事を見せつけられる。
5分だろうか10分だろうか時間が経過する。
一番前の軍人が最後尾にいた日本人風の軍人を呼んだのだろう。
2人で進むようでアジア系の軍人が首を前方に傾ける。
それについて行こうと足を踏み出したが襟首をクレア先生に掴まれ停止する。
少し首が絞まったと抗議の視線を向けるも知らん顔である。
しばらくすると日本人風の軍人が手で前に行くように合図し最後尾に戻る。
アメリカ人系の軍人が前に出てどうやらアジア系の軍人と合流するようだ。
日本人風の軍人は私たちについて来ずにここに待機するようで立ち止まって後ろを警戒していた。
私たちがそのまま進むと10秒もしないうちに広い空間にでた。
先行した軍人達は広場の安全確認をしていたようだ。
「ここで休憩だ。今なら話してもいいぞ。」
クレア先生は背負っていたリュックを地面に下ろしその上に座る。
私も精神的に疲れたとその場に座ると。
「二人とも私と同じように座れ。洞窟内の岩に直接座ると体温が奪われて体力が無くなるぞ。」
クレア先生に指示され座り直し気になったことを聞いてみる。
「この洞窟に来た目的は何ですか?」
「この先でわかる。」
「アメリカ系の軍人さんはゴーグル付けてないのに進めてるのは。」
「彼は夜目がいいんだ。」
夜目がいいといっても限度があるだろうとツッコミたかったがクレア先生は真顔、これ以上聞くなということだろう。
「どれくらい洞窟にいる予定です?」
「今日は2時間程だ。」
今日はという事は明日も来るのか。
ここまで大掛かりな事をやっているのだ強制だろう。
「何故日本人風の軍人さんだけ装備が違うのですか?」
「それは・・・言えない。彼は居ないものとして扱ってくれ。」
予測になるのだが多分彼は自衛隊員なのだろう。
ここがアメリカで戦闘をする為に送り込まれているのだとしたら日本の法に触れるのだろう。
バレたら与党が野党のいいおもちゃにされそうな案件でだからこそ彼は今ここに居ない人間なのだ。
「アリスは何もないのか?」
クレア先生に話を振られるが首を横に振る。
普段と違うアリスを見て抱きしめたくなったがそういう空気でもない。
やったらクレア先生の警棒が飛んできそうで怖いからやらないわけでもない。
「アメを食べておけ。5分後出発する。」
クレア先生は最後尾にいる自衛隊員の方に行く。
私はクレア先生には聞かなかったが一つ気になることがある。
洞窟の奥に進めば進むほど白いモヤのような流れを感じるのだ。
視覚的に見えているわけではない為視界の妨げにはならないが気にはなる。
どう説明したらいいのだろう?
空気の流れのような感じ?
私の目は見えないものを感じ取っているようで怖い。
幽霊とか見え始めたらどうしよう。
私が変な事を考え始めたのがわかったのだろう。
アリスが私の服の袖を引っ張る。
「どうしたの?怖い?」
「いや、怖いわけではないのだけど・・・。アリスはなんか感じない?この洞窟からパワー!みたいな物を。」
パワーの部分を日本の芸人が言うように言うと少し気が紛れたのだろう笑ってくれた。
ありがとう筋肉滑らなくてよかったと感謝する。
「ふふ、何なの?洞窟からは何も感じないよ。」
私だけ感じているのか。
適当に意味不明な力の流れについては誤魔化し別の話をしようとする。
「5分たった。行くぞ。」
クレア先生がいつのまにか戻ってきており私とアリスは立ち上がりリュックを背負う。
「ここからが本番だ気を引き締めろよ。」
私はアリスと顔を見合わせこの先何が待ち受けているのか。
私は高揚し。
アリスは不安が増す。
それぞれ違う思いを胸にクレア先生について行く。




