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誤字脱字報告ありがとうございます。
小冬音です。
悟りみたいな物を開いてきています。
転生して美幼女でお金持ちの家に拾われて1ヶ月くらい経ちました。
人生勝ち組決定と思っていた時間が確かにありました。
しかし前の28年間生きてきた時よりも辛いです。
勉強の方は気がつけば大学でやるような内容になっており理解できておりませんがこの体頭は良いようで無理矢理理解させられている感じです。
体自体の性能も高いようで気付けば軍隊が特殊部隊でやるような訓練が始まっています。
私の、世間が思っているお嬢様な生活では無いと思うのですが気のせいなのでしょうか。
前世の普通の家庭に生まれたことがどれだけ幸せだったかという事を強制的にわからされて禿げてきそうな小冬音でございます。
「はい、次組み手。」
今私の前に金髪で色白な2歳くらい年上の子がいます。
名前は教えられていません。
この子を連れてきた新しいアーシャ先生が必要な情報では無いと教えてくれませんでした。
この子自体も無口で話しません。
初めて近い年代の友達ができるかと思っていたが無理なようです。
気を抜いていると急所を狙ってくる子を友達と呼ぶ勇気は私にはありません。
「ふっ。」
容赦なく拳が顔に飛んでくる。
5センチくらい金髪ちゃんの方が身長が高いのでちょうど殴りやすいのだろう。
金髪ちゃんの拳を受け流し反撃しようとするも受け流されそうになり腕を掴んで力ずくでこちらに引き寄せます。
引き寄せると金髪ちゃんが私の顎に向かって肘を入れようとしますが掴んでいた腕を上に上げガードし投げ飛ばします。
「そこまで。」
「ゴリラ。」
アーシャ先生が終わりを告げ無口な金髪ちゃんが小声で私の悪口を言います。
片手で歳上を投げた時点で私もオカシイと思いますが年頃の女の子にゴリラって・・・。
私は大人なので掴んでいた腕を少し捻るだけで勘弁しておいてあげます。
「っ。」
痛そうな金髪ちゃんの表情を見て満足した私は腕を放し元いた位置に戻ります。
「小冬音、システマに性格向いてない。けどセンスはある。」
私は殴られるのを待つくらいなら先に殴る精神性なので仕方がないのである。
ロシアの合気道と言われる事もあり待ちの技が主体であり性格に合わないのだ。
今教えられているのが急所ありのヤバい技も多いのでどうも一般で教えられるシステマでは無く警察、軍隊用のシステマみたいなようで攻撃性も半端ないが。
組み手が終わった事により金髪ちゃんが私を睨めつけながら帰ったのちアーシャ先生に組み手の悪かった部分を教えてもらう。
「受け流した時相手の力利用する。力ずくダメ。けど小冬音力ある。男の子向けの教え方する?」
女の子としては全否定された気もするがこの体だとできると思い頷く。
「じゃあ男の子向けね。関節は男より柔らかいから考慮する。」
アーシャ先生に指導してもらっているとクレア先生がやってきた。
「アーシャ・・・。ごめんちゃんと説明してなかったよ。まだ殺人術系の技は教えなくていいんだよ。」
クレア先生が頭に手を当て首を振りながら説明する。
まだって言ったことが気になったが聞かなかった事にする。
「そうなの?隊長が西に負けるなって言ったから全部教えるつもり。」
「はぁ。アーシャ、あのハゲの話は話半分で聞いとけよ。」
「隊長は薄くなっているだけだっていうけど?」
「そこだけ聞くんじゃないよ。適当に流しておけって事だ。」
「わかった適当に流すように隊長に報告する。」
クレア先生は無駄かっというような顔をする。
「ごめんな、小冬音。今まで受け身よりの教え方をしていたから言わなかったがアーシャが教えた事を授業以外で使っちゃダメだよ。」
クレア先生に言われるまでもないと思ったが私は今は幼女だということを思い出し頷いておく。
「本当にガキにしては賢いね。うちの部隊の連中より物わかりいいよ。」
頭をいつものように撫でられ目を細めていると。
「アーシャが教えちゃったし私も本格的に教えるか。団十郎にも制限解除していいって伝えとかないと。」
私真顔になった。
私の真顔を見ながらひとしきり笑い二人の教師は去っていった。
二人、いや三人は私を特殊部隊員にしたいのだろうか。
それよりアメリカ人、ロシア人、日本人という講師の人選、私の家が諜報活動の憩いの場になっているのであろうか。
正直やめて欲しいんだが。
何も考えず気楽にいたいのだが許されないようだ。
初音さんには悪いが家出をしよう明日だけ。
そろそろ自分にご褒美をあげないと精神的に死にそう楽天的な私が。
家からの逃走経路を考えどこに行って遊ぶか楽しみにしながら目覚まし時計をしかけ眠るのであった。