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PROTECT HERO!!~勇者争奪戦~  作者: 檸檬
episode3
58/60

2nd Round, Fight!!

良ければ最近連載を始めた「Ending Never Ending Story」の方もチラ見して頂けると幸いでございやす!

 ソロン帝国王城内。


「亡骸くらいは拾っておけ」


 大王の言葉でヤマトはハッと我に返り焦りを顔に滲ませていた。


「ヤマト、早く行くぞ」

「……へ?」

「どっちの穴から行くか?」


 そう言ってロブは2つの穴を杖で指す。


「どっちって……」

「ならわしがフレディの方へ行こうかの」

「え……僕がミアさんの方?」

「そうじゃ」


 ロブが魔法で2人の下に宙に浮く床を用意した。


「さぁ、乗るんじゃ」

「……」


 ヤマトは乗ろうとしない。


「はぁ……」


 ロブは深くため息をつくと杖を一度コンと突く。するとヤマトの目の前の床が変形してそのまま彼に巻き付いた。


「え? 何ですかこれは!?」

「強硬手段じゃ。まずは2人の元に行かないと何も始まらないんじゃよ」


 2人はそれぞれの穴から外へと出て行った。




 ロブandフレディside


「まぁ、生きておると思っておったわい」

「何でそんなフード深く被ってんだ?」

「擬態じゃ」


 フレディは街の裏通りに落下しており、辺りには既に獣人族の人だかりができていた。彼自身もロブが着いた頃には意識があり、その人だかりには気づいていたが無視して応急処置をしていた。


「フレディ、動けるか?」

「あぁ、余裕だ」

「ならさっさミアちゃんの方へ行くぞ。あっちもどうせ生きてるはずじゃ」

「……あぁ」




 ヤマトandミアside


 床にくるまったままミアが墜落したはずの場所までやって来た。


「……血が……ついてる……」


 ミアが落下したであろう掃きだめにはミアの姿はなく、ただまばらに血痕がつけられてるだけだった。


「どこにいるの!? 生きてるんですか!? 返事してください!」


 返事は聞こえない。ふらふらのヤマトが地面に座り込んだとき




 ドォォォォン!!!!




 音の先は元いた王城。視線を向けると、城の上半分が吹き飛んでいた。


「あ゛ぁ……!」


 しかし、驚いたのも束の間、今度は崩壊した城に2つの物体が飛び込んでいくのが見えた。

 その正体を悟ったヤマトは再び城の方へ戻る。






「改めて礼を言おう!!!! いや!! 最早言葉では伝えられぬほどだ!!!! 今は戦おう!!」

「うっさい! フレディはどこよ!」


 王城ではミアと大王が真正面から殴り合っていた。そして拳が相手に当たる度に衝撃波が辺りの物を破壊していた。


 そこへフレディとロブも近づく。


「貴様も生きていたのか!!!! 俺は今日以上に嬉しい日は無いぞ!!」


「フレディ、加勢するぞ」

「あぁ……行こう」


「えぇ!! フレディ!?」


 というミアの驚きの声は衝撃波に全てかき消され、一応目的は無くなった戦いが延長戦が始まった。




「じじい! 防御だ!」

「あいよ」


 大王へ走るフレディの周りに砂が漂いはじめ、大王のパンチを受けるように集合した。


「面白い!!」


 大王はその砂に馬鹿正直に拳を突き出した。拳はそこで止まることなくフレディの左頬にめり込む。

 そしてそれと同時にフレディの拳も大王の左頬を捉える。2人はそのまま一歩も譲らず顔面を殴り合った。




「ストーーーーップ!!!!」




 強い圧力で2人は止まる。


「……んだよ」

「終わり」


「貴様に俺へ指図する権利がどこにある」

「終わり」


「「……」」




「ちょ、ちょとロブさん。これどうなってるんですか……?」

「ヤマトか。まぁ、説教?」

「あの2人に?」

「そうにしか見えんし、それにわしもよく分かっておらん」

「えぇ……」




 夕日が直接差し込む王の間に円いテーブルと5脚の椅子。


「こんな席まで用意して何の用だ」

「俺が聞きてぇよ」


「……何よ。私見たってどうしようもないわよ」


 大王とフレディはミアを睨む。


「嬢ちゃん何も知らねぇのか?」

「わしじゃよ。この場を用意したのは」

「じじいかよ。で? 何の用なんだ?」

「いつも通りじゃ」

「あー。分かった。後この椅子とテーブルはいつ用意した」

「皆の知らないうち、じゃの」


(気づいたらあるって……ギャグ漫画の世界観みたい)


「さっさと本題を話せ。俺は無駄話が嫌いなんだ」


 大王がチョットイラついてきている。


「すまんの。わしらがしたいのはお願いなんじゃ」

「話だけは聞いてやる」

「わしらはこれから敵と戦う。これからと言っても明日や明後日の話ではないがの。ただその敵は強大じゃ。だからその戦いを手伝ってくれんかの?」

「分かった。やる」

「そうかそうか。それは助かるの」


(……話まとまった!?)


「ちょちょちょちょっと待って!? 終わったの? もっと悩むとか無かったの!?」

「敵がいるなら倒すだけ。それが強大なら尚更だ」

「あぁぁ……フレディより戦闘狂だ」


「ちょーーーっと待って! 戦うって何ですか!?」


「「「あぁーー」」」


「そういえばヤマト君には言ってないんだっけ」

「すまんのヤマト」

「良かったな」

「いやいや良くないですよ! どういうことですか!?」


「だから……」

「敵がおるから」

「倒すんだって」

「どんな!?」


「だから……」

「強くて」

「大きい奴」

「いやだーーー!!!!」


 ヤマトの悲痛な叫びが木霊する。


「待て貴様ら!!」


 大王がいきなり会話に割り込む。


「な、なによ」

「そのガキも戦うのか?」

「えぇ、そうよ?」


 ちなみにヤマトはミアの横で首をぶんぶん振っている。


「ということは強いってことだな?」

「そうよ。ヤマト君はフレディも認め……あ」

「そうか!! ならば俺と戦え!! まだお前とは戦ってなかったよなぁ!!」

「ヒヤァァァ!!!! 助けてーーーー!!!!」


 大王に追いかけ回されて夜を過ごすヤマトであった。

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