2nd Round, Fight!!
良ければ最近連載を始めた「Ending Never Ending Story」の方もチラ見して頂けると幸いでございやす!
ソロン帝国王城内。
「亡骸くらいは拾っておけ」
大王の言葉でヤマトはハッと我に返り焦りを顔に滲ませていた。
「ヤマト、早く行くぞ」
「……へ?」
「どっちの穴から行くか?」
そう言ってロブは2つの穴を杖で指す。
「どっちって……」
「ならわしがフレディの方へ行こうかの」
「え……僕がミアさんの方?」
「そうじゃ」
ロブが魔法で2人の下に宙に浮く床を用意した。
「さぁ、乗るんじゃ」
「……」
ヤマトは乗ろうとしない。
「はぁ……」
ロブは深くため息をつくと杖を一度コンと突く。するとヤマトの目の前の床が変形してそのまま彼に巻き付いた。
「え? 何ですかこれは!?」
「強硬手段じゃ。まずは2人の元に行かないと何も始まらないんじゃよ」
2人はそれぞれの穴から外へと出て行った。
ロブandフレディside
「まぁ、生きておると思っておったわい」
「何でそんなフード深く被ってんだ?」
「擬態じゃ」
フレディは街の裏通りに落下しており、辺りには既に獣人族の人だかりができていた。彼自身もロブが着いた頃には意識があり、その人だかりには気づいていたが無視して応急処置をしていた。
「フレディ、動けるか?」
「あぁ、余裕だ」
「ならさっさミアちゃんの方へ行くぞ。あっちもどうせ生きてるはずじゃ」
「……あぁ」
ヤマトandミアside
床にくるまったままミアが墜落したはずの場所までやって来た。
「……血が……ついてる……」
ミアが落下したであろう掃きだめにはミアの姿はなく、ただまばらに血痕がつけられてるだけだった。
「どこにいるの!? 生きてるんですか!? 返事してください!」
返事は聞こえない。ふらふらのヤマトが地面に座り込んだとき
ドォォォォン!!!!
音の先は元いた王城。視線を向けると、城の上半分が吹き飛んでいた。
「あ゛ぁ……!」
しかし、驚いたのも束の間、今度は崩壊した城に2つの物体が飛び込んでいくのが見えた。
その正体を悟ったヤマトは再び城の方へ戻る。
「改めて礼を言おう!!!! いや!! 最早言葉では伝えられぬほどだ!!!! 今は戦おう!!」
「うっさい! フレディはどこよ!」
王城ではミアと大王が真正面から殴り合っていた。そして拳が相手に当たる度に衝撃波が辺りの物を破壊していた。
そこへフレディとロブも近づく。
「貴様も生きていたのか!!!! 俺は今日以上に嬉しい日は無いぞ!!」
「フレディ、加勢するぞ」
「あぁ……行こう」
「えぇ!! フレディ!?」
というミアの驚きの声は衝撃波に全てかき消され、一応目的は無くなった戦いが延長戦が始まった。
「じじい! 防御だ!」
「あいよ」
大王へ走るフレディの周りに砂が漂いはじめ、大王のパンチを受けるように集合した。
「面白い!!」
大王はその砂に馬鹿正直に拳を突き出した。拳はそこで止まることなくフレディの左頬にめり込む。
そしてそれと同時にフレディの拳も大王の左頬を捉える。2人はそのまま一歩も譲らず顔面を殴り合った。
「ストーーーーップ!!!!」
強い圧力で2人は止まる。
「……んだよ」
「終わり」
「貴様に俺へ指図する権利がどこにある」
「終わり」
「「……」」
「ちょ、ちょとロブさん。これどうなってるんですか……?」
「ヤマトか。まぁ、説教?」
「あの2人に?」
「そうにしか見えんし、それにわしもよく分かっておらん」
「えぇ……」
夕日が直接差し込む王の間に円いテーブルと5脚の椅子。
「こんな席まで用意して何の用だ」
「俺が聞きてぇよ」
「……何よ。私見たってどうしようもないわよ」
大王とフレディはミアを睨む。
「嬢ちゃん何も知らねぇのか?」
「わしじゃよ。この場を用意したのは」
「じじいかよ。で? 何の用なんだ?」
「いつも通りじゃ」
「あー。分かった。後この椅子とテーブルはいつ用意した」
「皆の知らないうち、じゃの」
(気づいたらあるって……ギャグ漫画の世界観みたい)
「さっさと本題を話せ。俺は無駄話が嫌いなんだ」
大王がチョットイラついてきている。
「すまんの。わしらがしたいのはお願いなんじゃ」
「話だけは聞いてやる」
「わしらはこれから敵と戦う。これからと言っても明日や明後日の話ではないがの。ただその敵は強大じゃ。だからその戦いを手伝ってくれんかの?」
「分かった。やる」
「そうかそうか。それは助かるの」
(……話まとまった!?)
「ちょちょちょちょっと待って!? 終わったの? もっと悩むとか無かったの!?」
「敵がいるなら倒すだけ。それが強大なら尚更だ」
「あぁぁ……フレディより戦闘狂だ」
「ちょーーーっと待って! 戦うって何ですか!?」
「「「あぁーー」」」
「そういえばヤマト君には言ってないんだっけ」
「すまんのヤマト」
「良かったな」
「いやいや良くないですよ! どういうことですか!?」
「だから……」
「敵がおるから」
「倒すんだって」
「どんな!?」
「だから……」
「強くて」
「大きい奴」
「いやだーーー!!!!」
ヤマトの悲痛な叫びが木霊する。
「待て貴様ら!!」
大王がいきなり会話に割り込む。
「な、なによ」
「そのガキも戦うのか?」
「えぇ、そうよ?」
ちなみにヤマトはミアの横で首をぶんぶん振っている。
「ということは強いってことだな?」
「そうよ。ヤマト君はフレディも認め……あ」
「そうか!! ならば俺と戦え!! まだお前とは戦ってなかったよなぁ!!」
「ヒヤァァァ!!!! 助けてーーーー!!!!」
大王に追いかけ回されて夜を過ごすヤマトであった。




