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PROTECT HERO!!~勇者争奪戦~  作者: 檸檬
episode3
51/60

龍神様の秘密

 半壊したドラゴ村。


「ねぇ……誰か! 誰かいますか!?」


 ヤマトは瓦礫が散乱する村を走る。しかし生きた人は見つからない。


「……そうだ! 村長の家だ!」


 村長の家に向かって走る。到着すると、家は全壊とはいかなくとも外と呼んでも差し支えないほど内装があらわになっている。中に人の気配はない。


「嘘でしょ……ダメだダメだ村長! どこにいるの!? 返事してくだ……あっ」


 まるで眠っているかのように静かに仰向けで横たわる村長を発見する。ヤマトはすぐに彼女の元へ近づき、強い声で問いかける。


「村長!!」

「……」

「ねぇ村長!!」

「……」


「村長……」

「……ハァァァ!!」

「うおぉあぁ!!!」


 突如村長は空気を吸い込み、目を覚ました。


「そ、村長?」

「私は誰かわからなくなったかい? 痛……!」


 村長は自分の腰をさすりながら起き上がる。


「え? 村長!?」


 そこに瓦礫を抱えた他の村人もやってきた。


「何ですか? そんなにみんな私を見て驚きますか?」

「いや……もう死んだと思って……な?」

「私はこの程度では死にません! 何年生きてると思ってるんですか」

「何年も生きてるからですよ……ちょっとみんなを呼んできます!」


 そう言ってその村人はどこかへ行った。


「えーっと、村長? 大丈夫ですか?」

「私は大丈夫です。でも、こうやってあなたが倒れた私の元へ駆けつけてくれて嬉しいです」

「そんな……さっきはすいませんでした。少し乱暴な言い方をしてしまいました」

「いいのよ。そんなこと言ったって、私はあなたの味方ですから」

「村長……」


 ヤマトの目に涙が溜まる。


「泣かないでください。とにかく今はこの窮地を切り抜けましょう。ヤマト君はこうなった原因を知っていたりしますか?」

「これは龍神様がやったんです!」

「……」


 村長の表情が急にこわばった。


「……どうしたんです?」

「それはどういうことですか? 龍神様が私たちの村を壊したというのですか?」

「え? あ、はい……この目で見まし、たよ?」

「そんな訳がないでしょう」

「え?」

「そんな訳がないと言ったのです。いいですか? 龍神様は私たちを護る神様なのです。その龍神様が私たちの村を襲うなんて、冗談でも言ってはいけません」

「いやでも本当に!」


 ドウウゥゥゥン!!!!


「……え」


 目の前にはドラゴン。ヤマトに敵意を向けている。しかし村長はその横で跪き、何やら呟き始めた。


「あぁ龍神様、お目にかかれて光栄でございます。燃ゆる身体に我ら熱き魂を……?? 暑い……へ?」


 ドラゴンの方を見ると口を大きく開き、その口元には巨大な火球が膨らみ始めている。


「そんなはずは……燃ゆる身体に我ら熱き魂を捧げ真なる心を築きます強靱な身体に

「だから本当なんです! もう逃げましょう!」


 村長を連れて行こうとするが頑なに動こうとしない。その間にも火球はどんどん成長する。


「止めてください! 邪魔です! 燃ゆる身体に我ら熱き魂を捧げ真なる心を築きます強靱な身体に鋼の肉体を捧げ真なる心を鍛えますさあ我々を護り給え!」


 火球との距離1m。それは遂に発射される。


 パリィーーン!!!!


 そこにいるのはドラゴン、無傷の村長、そして村長の前に立つボロボロのヤマト。全身の毛は縮れ上がり、所々黒い煙が立っている。

 しかしドラゴンには関係無い。次は口を小さく開き、そのまま2人に近づいていく。


 村長は放心状態、ヤマトももう諦めた表情をしている。ヤマトは静かに膝をつき、視線を下に落としていく。

 すると目の前に誰かが現れ、2人とドラゴンの間に立つ。


「ごめんごめん! ちょっと遠回りしちゃった!」


 そこにいるのは頭から血を流したミア。そしてよく見ると翼膜にフレディがぶら下がってじたばたしている。


「……ミア、さん?」

「ヤマト君動ける? 出来ればここから離れて欲しいんだけど」


 そう言いながらミアは近づいてくるドラゴンの鼻辺りに手を向ける。その手は震え、何度もその手を握ろうとする。ドラゴンに触れると同時に震えは止まり、地面を踏みしめ筋肉を膨らませる。


「ふんっぬ!!!!」


 ドラゴンも口を更に開こうとするがミアが押さえているせいで下顎のみが地面につくほど開き、そのままミアを押し込んでいく。


「村長!! ヤマト君!!」


 そこに2人の安否を心配した数人の村人が駆けつける。


「ちょっとそこの人! 2人を連れてってあげて!」

「お前はあのときの人間族!? 何でここに!? ってええ!!!!」


 ミアがドラゴンを押しとどめている状況を見て驚愕する。


「今はいいから! 早く来て!」


「……下等種族が俺たちに……」

「今は助けないと!」

「そ、そうだな」


 村人達はなんだかんだでヤマトと村長を連れて逃げていく。


「よし……行ったかなぁ……ふぅ!!!!」


 ミアは自身の身体をずらしながらドラゴンの頭を地面に打ちつけた。


「フレディ! そっちの方は?」

「全然ダメだ! 翼膜まで刃が通らねぇ!」

「そうかぁ……」

「嬢ちゃん跳べ!」

「跳ぶ!?」

「そう! 全力ジャンプ!」


 そう言われてミアはとにかく全力でジャンプをした。するとドラゴンの体長を優に超える高さまで跳ねた。

 そこにフレディが跳んで近づいてくる。


「何よ!? 何で!?」

「いいから足をコッチ向けろ!」

「え!? あ……マジ??」

「マジだ!」


 フレディの意図を理解するとミアは頭を逆さにしたフレディの足に自身の足をくっつける。


「じゃあいくわよ」

「よし来いや!」


 ミアは足を思い切り伸ばし、フレディもそれに合わせミアの足を蹴り飛ばす。フレディは持っている短剣をただ前に向け、ドラゴンの翼膜に向けて突っ込んでいった。

 すると翼膜は見事に破れ、フレディは翼膜の真下に華麗に着地した。


「よし! 後は地上戦だ」


 ドラゴンが吠える中でフレディはそう呟く。そしてミアは咆哮で飛んで行っていた。

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