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PROTECT HERO!!~勇者争奪戦~  作者: 檸檬
episode3
47/60

亀裂

 ソロン帝国内とある村。


「ア゛ァァァ……!!」


 フレディは突如、野次を飛ばす村人の股間を蹴っ飛ばし、その行動に驚いた辺りは騒然とする。


「……何しやがんだ!」

「そうよ! これだから下等種族は……」

「そうだそうだ! フレディは下等種族よ!」


 他の村人達はフレディに罵声を浴びせるが当の本人は大して気にしている様子はない。


「ちょっと待て!! 嬢ちゃんまで悪口言ったろ!?」

「……」

「もういいけどよ……」


 明後日の方を向くミアを横目に村人の方を向く。


「あのなお前ら、俺はお前らより断然強い!! 性格は人の事言えねぇがパワーも頭もお前らより上だ! そんでもってこのヤマトは俺の次かその次くらいに強い! どうせお前らにはヤマトを倒すことなんて天地がひっくり返っても無理だ! よってお前らは俺に勝てないヤマトに勝てない『下等獣人族』だ!!」


「「「「「??」」」」」


 ミアやロブも含め全員が首を傾げている。


「お前は何を言っているんだ?」


 村人の一人が恐る恐るフレディに問う。


「え? 今のでわかんないか?」

「そりゃ分かるわけないじゃろうな」


 ロブも流石に同調する。


「マジ!?」

「マジよマジ。私達まで馬鹿にされそうだからやめて」

「……なんかごめん」


 ガルードのど真ん中で人間族を中心とした変な空気が流れる。


「……とにかく! 何だかよく分からんが出て行け!!」


 そう言って村人達は3人を村の外へ追い出した。




「いたぁ……もうちょっと丁寧に降ろしなさいよ!」


 ここはちょうどフレディとヤマトが戦った辺りの野原、村人はここまで3人を担いできて投げ捨てて帰って行った。


「さて……これからどうするかの。ヤマトは諦めるか?」

「「それはダメ!!」」


 担がれた体勢のまま浮いているロブに2人が詰め寄る。


「ヤマトはこれから絶対に強くなる! まだ戦いに慣れてないだけなんだ!」

「そうよ! えっと、そうよ! いた方がいい!」


(日本について聞きたいなんて口が裂けても言えない……)


「なんじゃ……分かった分かった。ならもう少し待つのも良いが……」


 2人はガッツポーズをする。


「それじゃあどうやってヤマト君を連れてくるかだね! 何か案ある人!」

「待つかの」

「村を潰す」

「聞いた私が悪かったです!」


 ミアは1人で考える事にした。




「あのぉー……ミアさん大丈夫ですか?」


 声の主はヤマト。3人の心配をして様子を見に来たのだ。


「あ、ヤマト君! こっちは大丈夫よ」

「そうですか……何かすいません。僕が調子乗っちゃったせいで」

「いいのよ。私たちがここに居座ってるだけなんだから。それよりさ! ヤマト君って日本出身でしょ?」

「え!? 日本を知ってるんですか!?」

「もちろん! 実は私もこっちに来る前は地球に暮らしててさ、ちょうど来た日が箱根で旅行してたときだったのよ!」

「僕以外にも地球から来た人がいたなんて……何か凄い安心します! ミアさんはいつからこの世界にいるんですか?」

「大体1~2ヶ月前くらいからよ。ちなみに私は地球で死んでなくて、召喚されたとか言ってたわ」

「召喚なんてケースもあるんですね……あぁそうだ、何かここについて聞きたいこととかありますか? 何でも答えますよ!」

「そうね……この村はどんな村なの? っていうか村の名前は?」

「名前はドラゴ村って言います。由来はもちろんドラゴンから来ていて、少し前まではあそこに巨大なドラゴンの像があってそれを村の人たちは守り神として祭っていたんです」


 そう言ってヤマトは像があったとされる方向を指さす。


「ホントだ、あそこだけ草が潰れてる。でもなんで今は無いの?」

「それがよく分からないんです。急に消えたんです」

「急に!? それはヘンね」

「それにその像が消えてから村にやってくる魔物の数が増えたんです。だから本国からも兵士が派遣されたんですけど、最近は一層数が増えてきて今いる兵士さんだけでは足りなくなってきてるんですよね」

「それは大変ね。でも私たちがいる内はフレディがなんとかしてくれるわ!」

「あのすっごく強い人! あの人がいれば安心ですね!」

「そうよ! だから大丈夫! それでさぁ……」


 ミアはここからが本題だと言わんばかりの表情で話を続ける。


「日本について聞かせてよ!」

「?? あぁ、そういえばミアさんは日本が好きって感じしてますね」

「そうなのよ! 和の風情とか最高じゃない! 京都とか! ヤマト君は日本のどこ出身?」

「あの、きょ、京都です」

「ホントに京都!? ねぇ色んな話聞かせてよ! お願い!」


 ミアはヤマトの両肩を掴んで詰め寄る。


「……あの! 今は様子を見に来ただけで、あんまり長くいると村長も不安だって言うんで……」

「ごめんごめん! ちょっと勢い強すぎたね。もう掴みかからないから。戻ったら私たちのこと『いい人たちだよ!』って言っておいてね!」

「はい!」


 少し顔を赤くするヤマトが村へ戻っていくのを見送った。




「俺たちがおかしい、なんて言うから嬢ちゃんに任せてみたがソッコーで帰られてんじゃねぇか! もっと色仕掛けとかねぇのかよ!」

「うっさいわね! セクハラよセクハラ! まだまだこれからよ」

「あぁそうかい」




 村長の家にて。


「ただいま村長」

「あらおかえりヤマト君。あの人たちは帰ってくれそう?」

「どうかな~……まだわかんないです」

「そうかい。くれぐれも気をつけるんだよ」

「あの人たちはいい人たちだよ! です!」


 ヤマトはミアに言われたことを一字一句伝えた。しかし村長はその言葉に対し、深くため息をついてからヤマトに話しかけた。


「……やはりあなたは彼らに会うべきではないわね……もうあなたは毒されかけている」

「毒? いや、そんなことはないですよ?」


 村長の言葉を理解しきれないままヤマトは反論するが。


「いいから! 今日はもう部屋へ戻って休みなさい。そして明日の朝またここ来なさい。身体に異常が無いか確認させて」

「えぇ!? まぁいいですけど。本当に何もないですよ?」

「おだまり! 今日はもう帰りなさい!」


 村長はヤマトの背中を押して家へと帰した。




 翌朝、ヤマトの家。


「何なんだよホントに……毒なんて無いのに」


 ヤマトは独り言を吐きながら身支度をする。準備が終わり、扉を開け外へ出ると辺りの様子がいつもと違う。朝っぱらに人っ子一人見当たらないのはこの村にいる限りあり得ないはずだが今朝は閑古鳥の歌がよく響きそうな様相を呈している。


「何があったんだ……とにかく村長の家に行ってみよう!」


 村長の家に近づくと今度は人の声が響いていてきている」


「人の声がしてきてるなら人はいるのか……ってえぇぇぇ!??」


 到着すると、そこには村人たちによる長蛇の列ができていた。


「ちょっとみんな! 何してるんですか!?」


 列に並ぶ村人に声を掛ける。


「あ! ヤマト君! 大丈夫かい?」

「僕は大丈夫ですけど、何でこんなに人が集まってるんですか!?」

「それはもちろん君が毒されたって聞いて村長が村人全員集めて一人一人おかしいところはないか調べてるんだよ。大丈夫、俺たちはずっとヤマト君の味方だよ」

「……」


 ヤマトは声も出せずに驚いていた。

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