epilogue2
ティモア帝国王城内バイロン研究ルーム。
「ほぉ……詳しく聞かせろよ」
「相手は神じゃ、不足はあるか?」
「『神殺し』ねぇ……そりゃ面白そうだ」
フレディは立て続けに質問する。
「そいつはどこにいる」
「この大陸にいるのは確か」
「じゃあどうすんだ! どうやって戦えば良いんだよ!」
「さぁ……じゃが、やつはミアを狙ってくる。これも確かじゃ」
「ならミアと一緒にいればいずれあっちからやってくるってことでいいんだな?」
「そういうことじゃ」
「……分かった。それだけ知れたってだけ成果はあったと思っといてやる」
「すまんの」
納得はしていないが理解を示し、部屋を出て行った。
「なら俺からも質問だ」
次はバイロンから質問が飛ぶ。
「神の目的は? というかまず目的があるのか?」
「ある。『人の総入れ替え』、皆殺しじゃ」
「はぁ……面倒なことに首を突っ込んでしまったな」
バイロンは困り果てた顔でため息をつく。
「安心せい。わしの見立てならお主は大陸でも屈指のチカラを持っておる。人類の問題なんじゃからお主は適任じゃよ」
「それはどうも……しかしどうして皆殺しなんてするんだ?」
「……」
ロブは口をへの字にしてバイロンに向ける。
「……そこが虫食いかよ……まぁやると決めたからにはやるが、結局何をすれば良い?」
「別に戦いで戦力になってくれれば良い。後、兵力を集められるだけ集めておいてくれ」
「前者は協力しよう。だが後者は難しいな」
「なぜじゃ?」
「この願いは俺が『バイロン・バックマン』として、個人的に聞くつもりでいる。だから臣下や民を巻き込むわけにはいかない」
「……この大陸の危機だとしても?」
ロブは少し間を置いて聞き返す。
「あぁ。わがままか?」
「わがままじゃな。じゃがそれで構わん。お主の協力が何より惜しい。それくらいは他でどうにかしよう」
「そうしてくれ。聞きたいことは以上だ。そちらからは? 何か質問は?」
ロブはまた少し間を置く。
「……これからも一緒に来てくれないか?」
「イヤだね。新たな食感が俺を待っているからな!」
「そうか……完成してもわしは味見はせんからな。味見は弟子に頼んでくれ」
「しょうがないな……いつ出て行く? またどこかへ行くのだろう?」
「準備ができ次第すぐ、1週間もしないうちじゃろ」
「そうか。行き先は?」
「獣人領」
「人喰族の次は獣人族か! 自動車を一つやろう! それで行けば少しは早く着くだろう」
「ありがたく貰おう。恩にきる」
「構わん。土産話があればそれでいい!」
「……そうか。これからよろしく頼むぞ」
ロブは微妙な笑みを浮かべ部屋を出て行った。
1週間後。
ロブ、フレディ、ミアはバイロンから貰った自動車の前でバイロンとリリーと別れの挨拶をしている。
「いやだぁ! もうちょっとここにいよ? 行くにしたって獣人領は無くない? ハルドでいいじゃない!」
「そうよケチ! ここにいさせてあげてよ!」
ミアとリリーが猛抗議をする。元々5日前に準備は終わっていたが2人がごねたせいで出発が2日延びている。
「そうは言っても2日も待ったじゃろ」
「うぅ……行くんだったらせめて無理矢理連れてってよ! 何で私が運転するのよ! 完全に私次第じゃない!」
「そんなこと言っても一番運転上手いの嬢ちゃんなんだもん」
「そうだけど……」
地球でも運転免許を持っており、この3人の中でもダントツで上手かった。
「さぁ、さっさと乗ってくれ。ほい」
ロブが杖を振るとミアは浮き上がり、運転席のドアが開いてその中に丁寧にしまい込まれた。ロブとフレディは後部座席に座る。
「皆はもう俺の民だ! 必ず帰って来いよ!」
「絶対帰ってくるんだよ~!!!! 帰ってこなかったら絶対許さないから~!!!!」
涙で前がよく見えていない運転手は自動車を走らせ獣人領へ向かう。
獣人領統一国家ソロン帝国。
「ゴミが……調子に乗りおって!!」
そう言って近くの机を片手で投げ飛ばす獅子の獣人族。名をローガン・ブラッドハンド。ソロン帝国の皇帝である男だ。
「下等種族が俺様に勝てると思うな!!!!」
壊された机には地図。場所はガルードとソイードの境目辺り、そしてソイード側にバツ印がついている。バイロンも知らないところで歴史上で初の種族間戦争は始まっていてつい先日その戦いがガルームの勝利で終結したのだ。
人間領サンフランド、中心都市の酒場。
中心都市だというのにボロボロの内装の酒場で、背丈は190cm前後、碧い目で金色長髪、を束ねた男がカウンター席で薄い酒を仰いでいる。
「……やはりあなたもここにいたんですね」
その男に話しかける眼鏡の女性は彼の隣に座る。
「……『やはり』とは、俺が誰か分かっているようだな……」
振り返るとその男は女性を知っているようで驚いた表情をした。
「ホーナスさんですね」
「お前はジェニーか!」
ミアとフレディを追う2人が思わぬ形で再会した。
「お久しぶりです。カートさんがあなたのことを探していますよ」
「そうか……いや、なぜこんなところにいる!? ジャンセン王国はどうした?」
「滅びました。今はハルドという名前でバーンズ大公が国王に即位したそうです」
「まさかこんな速度で……そうか。ならお前がここにいる理由は?」
「フレディ様を探しています」
「……お前なら正気のようだな。ここまでの事件を起こしても恩を忘れないか」
「えぇ。私が今生きているのはフレディ様のおかげですから。あなたはミアさんでしょう?」
「あぁ」
「あなたも頑なですね。もういいんですよ。彼女を私の姉に映しても姉は、ミラは帰ってきません」
「分かっている……馬鹿だと思うか?」
「いえ……しかしあなたはもう出来ることを全部やりました。もう出来ることは何もはありません。ミラも喜んでますよ」
「死んだミラが喜べるはずがない」
ホーナスは食い気味に反論する。
「……そうですか。なら好きなだけ探してください。私は最初からあなたを恨んではいませんよ」
「……」
「……まぁ何でもいいですけど。フレディ様の弟君にはもう会いましたか?」
「いいや。彼には会えないさ。彼はこの国が全力で保護しているからな」
「?? どうしてですか?」
「それは、この町を作り上げた張本人だからだ」
酒場の外にはそこら中から煙が噴出し、ランプや鉄管が張り巡らされている。そして、路上だけでなく壁や屋根を奇妙なロボットが徘徊している。
「ここを……凄いですね……」
「この国はこれから傭兵国家として人間領を支配していくつもりのようだ。まぁ、俺には関係無いことだが」
「ジャンセン王国兵出身とは思えない一言ですね……それなら弟君は後ですね……フレディ様について何か情報はありませんか?」
「まだ無い……逆に聞きたいくらいだ」
「使えませんね……」
「お前フレディのことになると急に短気だな」
「……フレディ様は今人喰領におられると思います。あなたが国を出て行った後、人喰領と一緒に一度ジャンセン王国に来たのです」
「本当か!? 分かった。行こう」
「あなたもミアさんもといミラのことになると気が早くなりますね……まぁいいですよ。戦力は多い方が良いですし」
店主に金を投げ捨て足早に酒場を出て、人喰領へ向かっていった。
これでepisode2は終わりになります。
episode2の題名は後でテキトーに決めまーす!
ここまで読んでくださり本当にありがとうございます!
これからも何卒よろしくお願いいたします。




