羽人族
ハルド王城内第6師団隊舎前。
「いってぇな……結構飛ばされたか……ってここ隊舎前じゃねぇか」
フレディが飛ばされて起きた衝撃に反応し第6師団の隊員が隊舎内から出てくる。
「なんだようるせぇな~だから俺たちは行かねぇ……って団長!?」
「イヤなところ見られちまったな……ちょっとどいてろ! 面白いのが来る……」
「ふぅ!!」
再びピートはフレディに突進する。
今度はフレディも攻撃に対応し、多少は後ろに持って行かれるも体勢は崩さずに立っていた。
「今度は耐えやがったか……でも追いつけなきゃ意味ねぇぞ」
「すぐに追いつくさ」
「チッ! やれるモンならやってみろ!!」
ハルド王城内中庭。
「自動車で行けるのはここまでか……よし! ここからは歩いて行くぞ!」
「「「はい!」」」
「それは良いんじゃが周りのはどうするか?」
「周り……あぁ、本当だ」
王城の屋根、木の陰、更には壁に張り付くようにバーンズ大公の私兵がバイロン達を取り囲む。
「我らは『バズ』」
「バーンズ様の忠実なしもべである」
「以後お見知りおきを」
「一人で喋ってくれ!」
「名乗るならティモア帝国で名乗って欲しかったの」
「「「……」」」
「喋らな……いや! 見ておじいさん。あそこの屋根にいる人、心なしかモジモジしてるわよ」
「ありゃ『自己紹介してる暇が無かったんです』って顔じゃな」
「何なんだコイツら!? で!? やるんだろ!?」
「「「……」」」
バズを名乗る集団はバイロンの質問に答えることなく襲いかかってくる。
「何なんだホントに! ええい! 行くぞ!!」
「さぁ、わしも働くかの」
バズは空中を散歩するように跳びながら空からの攻撃してくる。
バイロンの兵士達も両手銃で応戦するが銃弾は当たらない。
「やはり当たらないか……マルコ!」
「かしこまりました」
マルコが空中戦に参加するとバズは次々と地上に引きずり下ろされる。
「さっすがマルコだな! 皆も頼む……おぁ!!」
突如マルコも地上へ引きずり下ろされた。
「何!? 誰かマルコさんに何かしたの!?」
「……なるほどな……エアロウか!」
「またお会いしましたね。あなたせいで私は夜も眠れず……っていうか体中痛いのよ! マジで眠れない! あー眠れない! だからぶっ殺す!」
「わがままなレディだ……だが今日の相手は俺じゃない!」
バイロンはミアの肩に手を置く。
「はい?」
「ミアだ!」
「何が?」
「エアロウの相手だ。移動中に決めただろう? もうちょっと段取り通りにやってくれないとテンポが悪いんだ」
「あ! なんで来ちゃったのよエロ! あ、エアロウ!」
「やっぱりあなたが変態呼ばわりの元凶ね……あなたもぶっ殺す!」
誰にも見えないがエアロウはミアに襲いかかる。
「えぇ!! 何かごめんなさい!」
「ミア! 棒を使え!」
「そうだ!……どうやって使うんだっけ!!」
「先端のボタンを押せ! どんだけ物忘れが酷いんだ!」
「そうそうそれです!」
ミアは棒のボタンを押した。すると棒の逆側からまず扇状に骨組みが生え、そこに膜が張った。
「これ……ジャパニーズウチワ!」
「じゃぱ? 何言ってるのか分からないがぶん回せ!」
「らじゃー!」
ミアが力任せにうちわを振り回すと大きな風が生まれ、エアロウはもちろん、バズや引き続き戦っていたマルコも風で飛ばされていった。
「いやぁぁ!!」
「悲鳴が聞こえた!? エアロウの声ですよね!?」
「あぁそうだ! いいぞ! ちゃんとダメージが入っているぞ。だがもうちょっと加減してやってくれ……マルコが紙っぺらみたいに飛んでいってた……」
「あ、ごめんなさい。マルコさーん……大丈夫ですか~……」
「……」
マルコはグッドサインを2人に送った。木に引っかかりながらも。
「エアロウ。大丈夫かい?」
バズの領域より遙かに高いベランダから老人が戦場を見下ろす。
「あれは!?」
「あれがバーンズ大公よ」
この中で唯一顔を知るリリーが答える。
「自己紹介が遅れたね。私がこの国『ハルド』の王であるクリストファーバーンズだよ。気軽にクリスと呼んでくれ。でもまさかそっちから、しかもこんな短期間で攻めてくるとは思わなかったよ。後、バイロンバックマン。君もここまで来たのにも驚いたよ」
「今日は先輩の日だからな」
「?? よく分からないが君が来てくれて好都合だよ。私の復讐も捗る」
「『|羽人族』の話か?」
「!! 知っているのか!?」
「貴様のネーミングセンスがあまりに羽人童話にそっくりなんだよ」
「人喰領では童話として普及しているのか……ちなみにそっちではどう伝わっている」
「悪さをする羽人族を人喰族の主人公が食べ尽くすって話だ。ま、真実は違うようだが」
この間にも戦闘は続き、ミアが振り回すうちわによる風が台風と化して吹き荒れている。
「そうか……それは何とも悲しいお話だよ。でも、知っているなら殺される準備が出来てると捉えていいのかな?」
「貴様がレディ達が殺す殺す言っている原因だな? 少し口を改めて欲しいが、今日はまだ死ぬつもりはないぞ」
「まぁいい。それは私が決める。あぁそうだ。君の兵隊さんが何人か消えているようだけど?」
「何!? 貴様! 何をした!!」
周囲を見ると確かにマイク、コディ、クリスチャンがいない。
しかしリリーは状況に気づき、地表全体に氷の膜を張った。
「何をしているんだ我が弟子よ!」
「これはケライノの仕業だと思います。今氷の下に埋めました。でも多分持ちません」
リリーの予想通り、氷の一部分が割れ始め、そこから黒いドロドロがにじみ出す。
「バレちゃったか~。誰が弱い? そいつから相手してあげる」
「バレちゃったなんて偉くないわね~。ダッサ」
ケライノにリリーが突っかかる。
「何よ! ケライノはすっごく偉いの!」
「おいおい。そいつはわしの相手じゃぞ」
ロブが割り込む。
「おじいさんは腰痛めてるんだから休んでいてください」
「お主がいきなり氷なんて張るからじゃ!」
ロブは氷が張られたときに尻餅をついており、腰をギックリしていた。
「まぁまぁ大丈夫。私多分あいつと相性良いから」
「ホントあんたムカつく!」
黒いドロドロと水流が混じり合う。
マイク、コディ、クリスチャン……?




