師弟
さっき間違えてできかけを投稿してしまいました……
改めての投稿です……
中心都市東側、北側、南側、西側。
「おいどこだぁ!!! 勝負しろ!!!!」
ピートは都市中を駆け巡り、リリーを探している。
進行方向にいる者は敵だろうと味方だろうと関係なく体当たりで吹き飛ばす。
「あの野郎……逃げるのは許さねぇぞ……」
「いやあぁぁあぁあぁあぁぁぁ!!!!!!」
突如どこかから大きな悲鳴が木霊する。
「あぁ!? これエアロウか!? あいつやられやがったか……あぁ!! 面倒くせぇ!!」
ピートは進路を変更し、悲鳴がした方向へ走る。
中心都市東側フレディandケライノside。
「「ゼェゼェ……」」
2人は息を切らし、緊張を高めあっていた。
(あのドロドロマジでどうにかなんねぇのかよ……水の魔法なんて使えねぇし)
フレディは魔法の適性はほとんど無く、魔力量自体は賢者にも匹敵するが現状実際に使える魔法は手のひらサイズの火球などちょっとしょぼいものばかり。
(あいつすばしっこすぎ! 何で私が戦いで動かなきゃいけないのよ!)
ケライノも自身の能力のおかげで今までは1歩も動くことなく勝利を収めてきたがフレディの俊敏さに追いつけず、ぎこちない回避を何度かしている。
にらみ合いを続けていると、エアロウを肩で担いだピートが走ってやってくる。
「何よピート……ってそれエアロウ?」
「あぁ、エアロウがやられた。ここは一旦退くぞ」
「俺が逃がすと思うか?」
フレディがピートに襲いかかるとそれを避ける動作すら見せず一瞬でケライノの元に向かう。
短剣を突き出したところにピートがいないことに気づくと少し驚きながらもすぐさま後ろを振り向き、再びピートを捕捉、一直線に向かう。
「そんなスピードじゃ追いつけねぇよ」
「じゃあねぇ脳筋!」
ピートの影にケライノとエアロウがドロドロに紛れながら消えていくとピートもこの場から撤退した。
「速ぇ……イイねぇ!」
フレディはにやけが止まらなくなっていた。
そこにミアとロブがやってくる。
「フレディ! 何があったの!? 大丈夫!? あれ、ホントに大丈夫??」
ミアはフレディのニヤけ面をみて少し本気で引いていた。
「ありゃ大方面白い相手でも見つけたんじゃろ。どうじゃ? フレディ」
「あぁ、楽しくなりそうだ」
「そうでしたねフレディは! で? それ以外は大丈夫なの?」
「他は問題ない。とりあえず戻るぞ。腹減った」
「ハイハイ分かりましたよ」
「本能の赴くままじゃな」
中心都市南側。
「……また逃げられたな」
「……」
マルコは悔しそうな表情を浮かべている。
「仕方ない! 不利な戦いを戦い抜いた! まだ終わりとは思えないがな……」
こちらにはリリーがやってくる。
「あなたがあのときの動く箱を作った人ですよね?」
「?? そなたはジャンセン王国の……なら動く箱とは自動車のことだな? あぁ、それを作ったのは俺だ。そのまたがっている馬のような機械を作ったのはそなたか?」
「はい。今日ここまで来たのはあなたにお願いがあるのです」
「ほぉ、何だ? 言ってみろ」
「私を弟子にしてください」
「弟子か……」
(弟子……弟子!?)
バイロンの脳内に雷のような衝撃が走った。
(弟子だと!? 待てよ! 弟子と言えば師匠がつきもの……なら師匠は!? 俺ではないか!! まさかこの俺に弟子が……!!)
今まで作り上げてきた物に賞賛を送った人は数え切れないほどいるがその原理を理解してくれる人は一人もいなかった。今までそのことに退屈さを感じていたバイロンはそれを理解してくれようとしてくれる人が現れたことに驚いている。
「まぁ、良いだろう」
「ありが、とうございます。あの……大丈夫ですか?」
「何も! 心配ないぞ!」
平然を装おうとしているが荒すぎる鼻息が止まらない。
「さぁ! そうと決まれば早く行こう! 城には研究室があるんだ! そこで話をしよう!」
「え、えぇ。後ろ乗ります?」
「ああ! 乗る!」
早々に平然を保つことを諦めたバイロンを乗せてリリーはバイクを走らせる。
「あ! マルコ! 勝手についてきておいてくれ!」
「……かしこまりました」
マルコは少し困った顔で2人を追いかけた。
突如始まった中心都市での戦いは住民1人の死亡、3人の重傷者を出しながらも何とか防衛に成功し、敵兵の捕縛とはならなかったが撤退を勝ち取った。
その一人の死者の弔いはバイロンが主導となって盛大に行われたとさ。
その後、ティモア帝国王城城内。
「えぇ!? リリー!?」
「ミア。久しぶり」
「どうしたの!? 何でこんなところまで!」
「それはね。私バイロンさんに弟子入りすることになったの」
「え゛ぇ!?」
バイロンの方を見ると誇らしそうな顔をしていた。
「どうした? 何か変なことでもあった?」
「いやぁあのー……マルコさん! ほどほどさせてね?」
「かしこまりました」
「何だマルコ。ほどほどとは」
「……」
マルコは明後日の方向を見る。
「まぁいいか。リリー! いや、我が弟子よ! ついてきたまえ!」
「はい! じゃあ行ってくる」
「えぇ、が、頑張ってねー……」
「ミアちゃんも同罪じゃからな」
「……はい……」
食事の時、嬉しそうなバイロン、グロッキーのマルコ、そして魂が抜けたリリーがやってきてミアはリリーにご飯を食べさせるのに相当苦労したのであった。
2日後、城内会議室。
出席しているメンバーはバイロン、マルコ、ミア、ロブ、フレディ、寝不足のリリー、そして数人の臣下。
「リリー大丈夫?」
「え、えぇ。大丈夫よ……ちょっと衝撃的なことが多すぎて」
この2日間でリリーは様々な自然の法則を教えられ、その複雑さと単純さに驚愕し、脳が休めない状態になっている。
「本日の議題は! 言うまでもないがハルドに関してだ! もう人間族にもバレてしまったからな! 全員呼んである!」
「ここで恩の一つでも売っておかんとな」
「食えないじじいめ……次の戦いに備えたいところだが! それは必要ない!」
「そりゃどういうことだ?」
フレディが皆を代表するように疑問をぶつける。
「今度はこっちから攻める!」
「ほぅ。それはどうしてじゃ?」
「今回攻めてきた敵の数は30。フレディからの情報によればこれは敵将が元々持つ私兵の数、つまりまだジャンセン王国の王国兵を引き込めていないということになる。ならば攻められるのを待っていては敵の戦力が大きくなる可能性を増やすだけだ。それに敵は的を絞らせないようにするのが得意らしい。それではこちらの戦いもまともに出来ん」
「こちらの戦いって昨日言っていた銃器を使った戦いってことですか?」
「そうだ! やはり我が弟子は優秀だ! 民がいるところで銃器は使えないからな。ならば敵の懐で戦えば良い。多少ミスしたところで相手にとってダメージになり得るだろう」
「なるほど……それが良さそうじゃの。して、攻め込むのはいつになるんじゃ?」
「出撃は2日後! やるならこちらも奇襲だ!」
「意趣返しね……それは面白そうだ!」
「明日は皆英気を養ってくれ! 会議は以上だ! 解散!」
会議はほぼバイロンの独壇場で終了した。
元ジャンセン王国、ハルド城内。
「おや? ピート。その肩に担いでるのはエアロウか? どういうことか?」
「見たまんまですよ。しくじりやがった」
「……申し訳ありません……」
「ふむ……まぁいい。エアロウは休ませておくといい。で? どうだったかい? 彼らは」
「面白いやつが一人」
「ウザいのが一人」
「そして君の様子を見るに強い者が一人。でいいかい?」
「……はい」
「そうか……憎っくきグルームよ。今度こそ引導を渡してやろう……」
どこからか手に入れた憎悪を胸にバーンズ大公はグルームに復讐を誓う。
ピートはちゃんと女の子ですよ!
褐色肌ショートカットの!




