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PROTECT HERO!!~勇者争奪戦~  作者: 檸檬
episode2 王と王
31/60

また会う日まで

 3日後、ジャンセン王国戦場跡地。


 当初2ヶ月半を予定されていた復旧作業は住民の協力、そしてバイロンがタコロボットを解体して作った即席瓦礫運搬ロボットと自動車によってほとんど片付けが終わってしまった。住居の建て替えもリリー初めとする第3師団の活躍によって半月ほどで終わる見込みとなった。


「はぇ?」


 素っ頓狂な声の主は第6師団団長代理、ジェニファー・リードである。


「おぉ! ジェニー!」

「団長!? 何で…?? えぇ!?」

「お前こそどこいたんだよ~!」

「いや、私は陛下の護衛があって……え?」


 ちなみに他の第6師団の団員は戦いに参加しており、(第6師団は基本馬鹿なので)過去も気にせず再開を喜んでいた。


「帰ってきてくれたんですか!!」


 ジェニーの目に涙が溜まってきた。


「イヤ、用が済んだらまたどっか行くつもりだぞ」

「え」


 ジェニーの目が乾いてきた。


「どうしてですか!! 帰ってきてくれないと! 荒くれ者の収拾がつかない……」

「まぁまぁ、あいつらも悪い奴らじゃないからよ! 気にすんな!」


「おい! そこ働け!」


「おぉぉ……あいつってあんな奴だったか?」

「カート団長ですか? あなたがミア様を攫ってからあんな感じですよ。最初こそ平然を装っていたんですが、やはりミア様が攫われたのを目の前で見たのは辛かったんだと思います」

「それ俺に言うか?」

「ええそうですよ! ミア様は置いていってもらいますからね! それはそうと! さっきの話、他の方には言ったのですか?」

「さっきのって?」

「またどこかへ行ってしまうという話です」

「多分言ってないぞ。他の奴らが言ってるかどうかは知らん」

「じゃあ他のみんなは団長達がこれからもここにいてくれると思っているのでは?」

「あぁ…そうかもしれないな」

「確認ですけど本当にまた行ってしまうのですか?」

「あぁ」

「それは前に言っていた『野望』のためですか?」

「それも関係してる」

「そうですか…………なら私以外には話さないでください」

「?? なんでだ?」

「本来なら団長は勇者を攫った大罪人です。今回は連れ帰ってきたから兵士の目は多少和らいでいますが貴族連中はそうではありません。それにもし兵士にもさっきの話を聞かせたら団長は言い逃れの出来ない誘拐犯になります。だから、誰にも言わず、できる限り早くここから去ることをおすすめします」

「なるほどな」

「そうですよ。さぁ! 早く行けるように頑張って瓦礫を運びますよ!」

「えぇ!? どっちなんだよ~。しょうがねぇ! やるか!」


 ジェニーは終わりがハッキリ見える時間を噛みしめるように楽しんだ。




 一方その頃、バイロンside


「さぁ、召し上がれ!」

「おぉぉぉ…これがハンバーグか…」


 復興に協力している住民に偶然料理人がいて、バイロンはその人に頼み込んでハンバーグを作ってもらった。ちなみにロブに忠告されて最初にグルームであることを喋った以降自分の種族を秘密にしており、この料理人もバイロンがグルームであることを知らない。


「これを作れるようになったのも兄ちゃんが凄いロボット? を作ったおかげなんだ! 気にせず食べてくれ!」

「あぁ……わかった……」


 バイロン1人の中でのみ緊張が走った。


「バイロンさん大丈夫かな……」

「とんでもなく緊張しておるの」


(香りは素晴らしい。そういえばワインを入れていたか?)


 フォークをハンバーグに刺し、持ち上げる。


(柔らかい…!)


「兄ちゃん豪快だねぇ」


 そのハンバーグを口に運ぶ。


(な…! 不味い……しかしこれがハンバーグの食感……覚えろ! 俺覚えろ!)


「兄ちゃん口に合わなかったか?」

「そ、そんなことはないぞ! とても…美味だ!」


(口に出ていたか!? 民が出した料理を不味いと言えるか!)


「いやよ、兄ちゃん難しそうな顔して食ってるからよ。大丈夫かなぁと思ってな」

「あ。そうかそうか! 別に口に出ていたわけではなかったのか! なら良いんだ! あ。」

「なんか…兄ちゃんごめんな」


「ほらやった」

「助け船出しておけば良かったの」


 バイロンは数十分後、腹を下した。




 夜、路地裏。


「こんな時間に何よ」


 フレディは人喰領から来たメンバーを路地裏に集めた。


「今夜ここを出て行かねぇか?」

「待ってくれ! 俺はまだハンバーグしか食べていないんだぞ! 他にも食べなければならないものが!」

「お主が食べても腹を壊すだけじゃろ。じゃが何で今夜なのじゃ?」

「貴族連中が俺の事をよく思ってないらしくてよ。まだ俺がここにいることはバレてはいないが時間の問題だ。だったら早めに出ていって面倒ごとを避けた方が良くねぇか?」

「フレディにしては良い案ね」


 もちろんこれがジェニーの案だとは言わない。


「それも良いかの」

「いやいやいやいや! もっと食べなければ! な? そう思うだろ? マルコ?」

「……」


 マルコはとっても困った顔をした。


「お前までも……」

「今度私が色々作ってあげますから。もう帰りましょ?」

「……あぁ………」


 マルコにまで断られたのがショックだったのか、バイロンはしおれた声で承諾した。




 翌朝。


「ねぇ! フレディもミアもいない!」

「はぁ!? あいつら……! 何がしたかったんだ! マジで飯食いに来ただけか!?」


「……フレディ様…どうかご無事で……」


 この中で唯一事情を知っているジェニーはそう願った。


(手紙を送ってくれるようにお願いしておけば良かったな……)

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