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PROTECT HERO!!~勇者争奪戦~  作者: 檸檬
episode2 王と王
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帰還

 ティモア帝国城内ミアとフレディの部屋。


「おーい。フレディー。おはようございまーす」

「……うっす…」

「身体が起きてないですよー」

「なんだよもー」


 ミアはフレディを起こしていた。ミアも朝早くティモア帝国のメイドに起こされていた。ただ、フレディも流石に軍人で、寝起きは早く、実はミアよりも大分良かった。


「それで? 何でこんなにも朝が早いんだ? これが人喰族の文化ってわけじゃねぇだろ?」

「今日はジャンセン王国に帰るから早いんだって」

「ほぉーそうか……」

「みんな元気にしてるかなー」

「会えないだろどうせ」

「分かってるけど……想うだけ良いじゃん!」

「へーへー分かったよ。飯食いたいんだけど」

「外で待っててくれてるメイドの人が食堂まで連れてってくれるって」

「よし行こう! さぁ行こう! メイドちゃーん!」




 バイロンの食事専用ルーム。


 食事を終え、今日の予定を改めてバイロンとロブから伝えられた。


「よし! マルコ! 自動車を用意してくれ!」

「かしこまりました」

「「「「「バイロンさまーー……」」」」」


 人間領に向かう車内でもバイロンの質問攻めは続いた。




 ジャンセン王国王都前。


「そろそろ降りて歩かんと自動車がバレてしまうぞ」

「そうだな…?? 検問所に誰もいなくないか?」

「そうじゃな……フレディ少し見に行ってきてくれ」

「面倒くせぇな毎度毎度よ……」


 フレディは渋々検問所の方へ飛んでいった。


「…………あの青年中に入って行っていないか?」

「あの馬鹿…ちょいとわしも行ってくる」


 ロブもフレディを追って自動車を降りようとするとフレディが帰ってきた。


「おぉなんじゃ。なぜ中まで入っていったんじゃ」

「いやよ、誰もいないんだよ」

「「誰も?」」

「そうそう。誰も」


 検問所の奥には生活の跡はあるのだが肝心の生活している人がいない。するとミアがあることに気づく。


「ねぇ、あっち……」

「…なんじゃ!?」


 自動車の真横には大量の兵士がこちらに向かって歩いてきている。そしてこちらに気づいたのか、火球が軍隊の前に現れた。


「あれ……コッチに撃ってくるのではないか?」

「ええ! ホント!?」

「マルコ!」

「かしこまりました」


 彼らは検問所を自動車で抜け、王都へ入っていった。


「ほぉー、中々栄えているではないか」

「もっと緊張感持ってよ! これからどうするのよ!」

「そうじゃな…」

「レストラン……」

「バイロンさん!」

「わかったわかった」

「でもよ、本当にこれからどうすんだよ」

「城に行けばどうにかなるんじゃない?」

「ここじゃ俺は勇者を攫った大罪人だからな。多分あっちの兵士と挟み撃ちになっちまう」

「一度戻るのが得策だと思うのだがどうじゃ?」

「だめだ! 俺はレストランに行くぞ! そのために、そうだ! この戦争を解決してしまおう!」

「本気で言っておるのか!?」

「戦争か!」

「バカ! フレディ!」

「そうだ! ここでジャンセン王国を救って民にレストランをまた営業させるんだ! マルコ! Uターン!」

「かしこまりました」

「かしこまらないでーー!!」


 かくして一行は先ほど火球を打ってきた軍隊と戦うことになった。




 10分後。


 戦いはフレディとマルコによって数百の軍勢をすぐさま吹き飛ばして終わった。


「いやぁぁスッキリした!」


「はや……」


 マルコは元々素手、フレディもミアに気を遣ったのか素手で戦った。


「よくやったぞ! 次だ! 次の戦地に行くぞ!」

「かしこまりました」

「でもどこに敵がいるかわかっておるのか?」


 ドカーーーン


「あっちだ!」


 バイロンは爆発が起きた方を指さしてそう言った。ただ、この爆発を皮切りに多くの爆発音が鳴り出した。


「あっちが本隊なのかもしれんの」

「それにあっちが城の正面のようだしな」

「じゃあコッチの兵士達は何だったの?」

「本隊を囮にした本丸を落とす部隊じゃろ」

「雑談はこのくらいにしてそろそろ行かないか? フレディ君! 次の戦地へ行こう!」

「?? すまん! すぐ行く! あれ? マルコは?」


 フレディは自動車へ戻ってマルコが知らないうちに戻っていたことに驚きながらも城の正面側へ向かった。




 ミア達が着く前、ジャンセン王国王城正面。


「散らばれ! 的を絞らせるな! リリー! あのでっかいのどうにか出来ねぇの!?」

「無理よ! デカすぎて押しとどめるので精一杯!」

「あ゛ーーまじかよ~!! じゃあとりあえず! 城壁は一瞬たりとも触らすなよ!」

「うっさい! わかってる!」


 カートとリリーとその部下が城壁の前で敵の兵士と、巨大なタコのようなロボットと戦っている。

 周りの建物は軒並み倒壊しており、瓦礫に紛れてジャンセン王国軍の兵士の死体も混じっていた。


「硬すぎない!? あれ鉄!?」

「鉄があんなヌルヌル動くか!?」

「でも鉄よあれ!?」

「じゃあ火でも当ててやれよ!」

「そんな火力出ないわよ! 所詮火よ!」

「どうしようもねぇじゃねぇかよ~!!」


 ブゥゥーーン!!!


「俺様のお通りだぁーーー!!!!」


「「何だ!?」」


 今度は人より少し大きい位の高さの鉄の塊が高速で最前線のラインを走り抜け、二人の人がその中から飛び出し、停止した。そして鉄の塊からもう一人の現れ、王国軍側を向いた。


「だ、だれだ!」

「何者だ!」

「なんかポーズとってるぞ」

「俺が誰だって? 人喰族だ!」


「バイロンさんさっき考えてたね」

「食べ物の質問してこなかったしの」


「人喰族!? こっちはでっかいので手一杯なのに!」

「ねぇ、カート…あれ……」

「何!? あいつへの攻撃を止めるほどなんだろうな!?……えっ?」


 リリーが指さした先には2人がよく知る男、フレディがいた。


「フレディよ! フレディが帰ってきた!」

「あいつが何でこんな所に!?……フレディ!」


 カートはフレディの元へ向かい、槍を突き出した。


「カートか! 久しぶ、あっぶね!」

「今更何の用だ!? 俺に殺されに来たのか!?」

「そんなわけねぇって!」


 カートは戦いながらフレディを責め立てた。


「ミアちゃんをどうした!」

「カート! 止めてよ! 帰ってきたんだから良いじゃない! それより兵士もこの怪物も城壁に近づいてるよ!」


 ゴーーーン!!!


「何だまた!?」


 カートは切れ気味に音の先を見るとロブと拳を押さえているミアがいた。そしてタコロボットの触手が少し後ろに後退していた。


「「ミア!?」ちゃん!?」

「いったぁ……あ、どうも」

「ちょっと気まずそうじゃな」

「だって! あんな怒ってた直後なんだもん!」



「あれ…? 俺そんなに目立ってない? 危ない! マルコ! 守って!」

「…かしこまりました」

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