誘拐、今度ははてな無し
小さな村のボロ屋。
ミアはベッドで横たわっており、声をかけてきた老人にじじいと呼んでいた。
「ハハハッーハッハ! 初対面でじじいだってよ!」
「うるさいわい! なんじゃおぬしも! わしをいきなりじじい呼びなんて」
「あぁぁ…すいません、ホント、すごいじじいって感じしてたんで。でも誰ですか? 後どこ? ここ」
「わしはまぁ、ロブおじいちゃんとでも呼んでくれ。で、ここがどこかじゃが、ここはわしの家じゃ」
「へぇぇ、結構築年数長そうですね…?? おじいさんの家!? なんでこんなとこにいるのよ??」
「そりゃあ誘拐してきたからな」
「ユウカイ??」
「あぁ、誘拐」
「誰を?」
「嬢ちゃんを」
「誰が?」
「俺が」
「は????」
「そこら辺は追々話すわ」
「いやいやいや、今話してよ! なんで? てか誘拐ってもっと拘束するモンじゃないの? 普通にベッドで寝てるのはOKなの?」
「質問が多いっつうの。1つに絞ってくれ」
「なんで誘拐されたの!!」
「一番めんどくせぇやつじゃねぇかよ…」
「わしから話すよ。フレディじゃどうせまともに説明できんからな」
「むかつくじじいだなーー。まぁ大体合ってるけどよ」
「1番の理由ははっきり言ってミアちゃんが勇者だからじゃ」
「なんで私が勇者だと誘拐されるのよ」
「そりゃあ勇者なんて大陸でも屈指の強さを持っておる、そんな人間を欲しがる奴などいくらでもいるだろ?」
「そうかもしれないけど、じゃあ何でおじいさんは強い人が欲しいの?」
「わしのことはロブじいちゃんとよんでといったんじゃがな…それは戦う相手がいるからじゃ」
「へぇ、それって誰?」
「それはまだ内緒じゃ」
ロブはウィンクしながら言った。
「…あ…そう……」
(じじいのウィンク……)
「それに関しては俺もまだ詳しく聞かされてないんだよ」
「え? フレディもまだよく知らないんだ。そういえばフレディはいつからおじいさんとグルなの?」
「まぁかれこれ10年位になるかなぁ。傭兵やってた頃に偶然な。勇者が欲しいってのと大体同じ理由でな、スカウトってやつだ」
「わしが一緒に来ないかと言ったら俺に勝ったら良いぞとか言ってな」
「フレディらしいねぇ…?? じゃあなんでフレディはここにいるの?」
「…まぁ、なんだ……」
「わしがボッコボコにしたんじゃよ」
「おじいさんフレディに勝ったの!?」
「あぁもうそれは余裕でな」
「うっせぇじじい!!」
「おじいさんチョー強いのね…でもフレディもよく今まで一緒にいたわね」
「じじいがもっとチョー強い奴と戦わしてくれるって言うからよ」
「えぇぇ……」
(こいつってもしかして頭のネジは外れてるけどピュアなの?)
「え、えーっと、強いフレディとチョー強いおじいさんがもっとチョー強い奴と戦うために私を誘拐したってことでいい?」
「合ってるぞ」
「ってことは私って逃げられない?」
「無理だろ」
「無理じゃな」
「ですよね……で? これからどうするの?」
ミアは諦めて今後の行動を聞くことにした。
「とりあえず人喰領に行こう」
「は????」




