君のおかげ
アルト本部から王城への道中
「ここら辺は見たことあんな~」
「じゃあもう近いってこと?」
「そうだな」
フレディとミアは電車くらいの速度で道を駆け抜けていた。
「おや? なんか人だかりがあるな」
「あれって団員のみんなじゃない?」
「おい! お前らまたわしらに追いつくんか!?」
「おぉ! バリー! 先行ってるぜー」
「フレディ! あんたクッソ! くっそフレディ! あーくそ!」
国王の私室。
カートとニコの戦闘中。ニコも第2師団を率いていた以上、真正面からの戦いには向いておらず、カートが大分優勢だった。
「『マリオネ
「させないよ~。それがみんなを従えた魔法かい?」
「流石に、ですか。ではでは君がダメージを負うまでは少し待ちますか」
そう言うとフレイジャーはホーナスに話しかけた。
「ホーナス君、止血は終わりましたか? 私はね、君がどうしようもない馬鹿で本当に助かっているんですよ」
「あ゛ぁ?」
「ニコ君に護衛の排除をお願いするまで正直全滅なんて考えていませんでした。君がいましたからね。ジャンセン王国最高戦力であるフレデリックジョーとホーナスヘンドリクス。この2人が私の中のネックでした。フレディ君は封印竜で分断出来たのですが君は護衛が任務ですから、分断は不可能だと思ってましたよ。でも君が勝手にどこかへ行ったのを知ってね、君は排除できなくても他の護衛は退場させることを思いついた。分かりますか? 君のおかげで計画がここまで上手く進んでいるのです。だから本当は君にお礼を言いたかったんですよ」
「………」
この話を聞いてホーナスはひどく憔悴した。
「えぇ、本当にありがとうございます。そろそろ『マリオネット』をかけても良いでしょうか?」
「おい、おっさん、その魔法はやらせないって言ったよな?」
「そうでしたね。でももう飽きてきたんですよね。ニコ君、お願いします」
「……」
ニコはカートへ一直線に突っ込んだ。それに対しカートは槍を前に突き出す。ニコはその槍を避けることも無くニコの腹に突き刺さった。
「ニコ! 何で避けないんだ! おいおっさん! てめぇ! おあぁぁ!!」
カートの腹にもニコの刀が刺さった。
わけでは無く部屋の窓が壊れた音に驚いたのであり、刀は腰に差しておいた剣で止めていた。
「中々物騒じゃねぇか。カート」
「フレディ! いきなり跳んでいかないでよ! え? ホーナス!! 大丈夫!?」
「フレディかよ! 他のみんなはどうした?」
「あいつらはここまで跳んでこれないからな。下で雑魚と戦ってる。で? そこにいるのはニコで間違いないはずだが、どういうことだ?」
「今は話してる暇が無いんだ! そこのおっさんをぶっ飛ばしてくれ!」
「指図は嫌いなんだけどねぇ。まぁそれが良さようだな」
「えぇぇぇ、そうなりますよね。ニコ君、カート君を抑えておいてください。では、私が相手をぶふぉぉぁぁ!!!!」
「なんだ。お前も強くないのか?」




