潜入調査
ジャンセン王国某所、アルト支部。
「ホントにこれか? ただの民家にしか見えないな…お邪魔しま…っと、一応バレないように入るか」
裏にちょうど良い窓を見つけるとフレディはその窓をのぞき込み、誰もいないことを確認すると、侵入していった。
「改めましまして、お邪魔しまーす」
一通り屋内を見て回っても人一人いない上に生活感すらない。
「あら、間違えた? 俺不法侵入? ならさっさと出てい……何だありゃ?」
2m程の金属の塊が床に落ちている。
「やっと怪しいモン見つけたぜ。で? 何なんだこれはー。お、持ち上がった。っておや?」
その塊は扉で階段があって地下へと繋がっていた。先へ進むと部屋が一つあってそこに数十人の男達がすし詰めで壁に張り付いた地図を見ながら棒立ちしている。ちなみにフレディは天井に張り付いてる。
「何話してんだこいつらは。っておいおい、ウチの国に印してあんじゃねぇか……あ」
「あぁ」
「あ」
バレた。
「しょうがねぇ。チョット話聞かせてもらうぞ」
フレディは瞬く間に男達を締め上げて彼らを五段重ねで整頓した。
「さ。ここで何の話してたんだ?」
「……」
「喋ってくれたら死なないかもよ~」
「……」
「何だお前、喋れねぇみてぇじゃねぇか…使役魔法にでもかかってんのか?」
使役魔法は本来高位の生物や人間にはかからない。しかしこの男達は何か縛られているかのように無表情で、口を動かない。
「チッ…喋ってくねぇなら自分で調べるしかねぇか。えーーっと、ご丁寧にこいつらの本拠地にまで印が付いてるぜ」
順調に調査を進めていると強烈な記憶を思い出させる物を見つけた。
「旗か? !!…この絵って……」
竜をモチーフにした旗印が描かれていたのだが、その竜が様々な本や絵画で見た封印竜にそっくりだった。
「アルトと封印竜。何か関係がありそうだな。とりあえず調査はこんなもんでイイか。この旗と、地図だけ持ってと……さぁ、チョット遊んで帰るかな」
フレディは縛り上げた男達の元へ近づき、縛り上げていたロープを切った。
男達はすぐさま操られるようにフレディに襲いかかる。
無表情であるはずの男達の表情に恐怖が映っているようにも見えた。
「帰ろ」
フレディは鼻歌を歌いながら帰路についた。
……フレディ…聞こえる?
「うぉあ!? リリーか!? どこにいる!?」
「通信機よ。アンタがウッキウキだったから私のトコ寄らないと思ってジェニーに頼んでつけてもらったのよ」
「何だよ気持ちわりぃなぁ。で? 何のようだ?」
「バリーが封印竜の調査に出かけたんだけどさ。で、今さっき帰ってきたんだけど。あいつ封印竜から逃げながら帰って来ちゃったのよ」
「それが何なんだ?」
「だから! 封印竜が来てるの! バリーが連れ帰っちゃったの! だからすぐ帰ってきてってこと!」
「はぁぁ!!!!」
フレディは全速力で帰路についた。




