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召喚前夜

小田君から本を借りたりアリスと話し合ったりして数日。

使徒さまから連絡が来て39日が経った。


明日ついに転移の日とのことで前日の今日、お互いの誕生日を祝うことにした。


「そっちは準備できてる?」


「…うん。

 準備オッケーよ。」


「それじゃあ…

 お誕生日おめでとうアリス。」


手元のクラッカーを鳴らす。


「ありがとう。

 お誕生日おめでとうアビス。」


アリスも手元のクラッカーを鳴らした。


「ありがとう、アリス。」


「ふふっ…。」


お礼を言った後、急にアリスが笑い出した。


「どうしたの?」


「いえ、つきあって初めての誕生日だと思うと嬉しくなって。」


「あー、うん。」


照れくさくなって微妙な返事になる。


「そ、それよりさ、料理冷めちゃうから食べようか。」


「ふふふ…、そうね。

 いただきます。」


「いただきます。」


話を逸らすのは成功?したようだ。


「そういえばついに明日召喚の日だけれど準備はできてる?」


「うん。

 小田君から借りてる本も返して今は借りてないし、身辺整理はばっちりかな。

 アリスは?」


「こっちもばっちりよ。

 身辺整理以外に知識とか注意事項とかは?」


「そっちもおおむねOKかな。

 小田君曰く、強奪系、即死系、封印系、不意打ち系の初見殺し四天王は要注意だってさ。

 対策としてはこっちからおんなじ初見殺し四天王を先んじて使う以外には、

 1、鑑定で見抜いて近寄らない

 2、反射系で相手に返す

 3、無効系でいなす

 がおすすめだってさ。」


この辺は本からではなく小田君に直接聞いた。

幸い小田君は俺が異世界物にはまったと思ってくれたようで、特に疑問を持たずに答えてくれた。


「ふーん。

 でもいくつ力が手に入るか、そもそも選べるのかって問題もあるからすべては明日次第ね。」


「そうだね。

 明日が楽しみなような、こっちでずっと暮らしたいような…。

 ちょっと複雑だよ。」


「そうね。

 私もリンスやシャンプーなんかは向こうでもずっと使い続けたいわ。

 一応石鹸の作り方は覚えたけど、 リンスとかは売り物みたいにうまくできないのよね。」


「あはは。

 アリスすごい必死に覚えてたもんね。」


あの時はずごかった。

異世界漫画に石鹸やリンスが出てきたり、石鹸を自作したりしてるものがあってそれに影響を受けたのかアリスが必死になって石鹸を作っていたのだ。


「女の子には死活問題なのよ。

 初めてリンスやシャンプーに出会った感動と言ったらもう言葉にできないわ。

 石鹸も香りがいいものは初めてだったし。

 手作りの石鹸は形にするのはそこそこ簡単だったけど香りやらいろいろ追加するのに結構苦労したし。」


「でもこれで向こうでもこっちとそん色ない石鹸がつかえるね。」


「そうね。

 苦労した甲斐があるといいわね。」


そこまで話してからアリスが何かを思い出したように


「あっ」


と声を出した。


「話は変わるけど明日にもしかしたら倉橋さんから告白されるかもしれないわよ。」


「えっ、なんで?」


いや話変わりすぎ、ってかすごいびっくりする内容が…。


「今日の体育の着替えの時に倉橋さんから明日のアビスの予定を聞かれたの。

 学校以外は特にないはずって答えたから朝か放課後かどっちかね。

 もしかわしたいなら朝なら遅めに行くとか、あと放課後は…考えなくていいわね。」


「そうだけども…。

 あえての昼とかは…ないよね?」


「さすがにないでしょ。

 まぁ心配ならゆっくりお昼食べたら?」


「…いや、召喚のこともあるから早めに食べるよ。」


そう、告白をかわすのは俺の事情で明日が重要なのは召喚があるからだ。

それをおろそかにするわけにはいかない。


「そう。

 まぁそれがいいかもね。」


「うんそうするよ。

 あ、それとこれ、誕生日プレゼント。」


「わ、ありがとう。

 あけても?」


「いいよ」


俺が同意するとアリスは包装をはがしていく。

中から出てきたのはロケットペンダントだ。

通常の物よりロケット内の空洞が大きく、ちょっとした小物なら入りそうなものになっている


「すごくきれい…。」


「明日が召喚だからかさばらなくて身に着けてワンチャン向こうに持ってけそうなものにしたんだ。

 碧色に軽いラメがかかってキラキラしてアリスの瞳みたいだなって、その、思いまして、はい。」


言ってて恥ずかしくなって最後の方でもにょってしまった。

たぶん今は顔も赤いだろう。


「ありがとう。

 大切にするわ。

 それに恥ずかしがらなくていいのよ。

 きれいだって言われて嬉しかったし。」


「そ、そっか。

 ならよかった。


「うん、よろしい。

 じゃあ今度は私からのプレゼントよ。

 あけてみて。」


そうして手で持てるくらいの箱を渡される。


「ありがとう。

 あけるね。」


アリスに断りを入れてからあけると出てきたのは小型のソーラー発電機だった。


「なんで発電機?」


「アビスが前からこっちの暮らしのほうがいいって言ってたから電子機器だけでも向こうで使えるようにって思って…。

 気に入らなかった?」


「いや、そんなことはないよ。

 むしろ電子機器を向こうで使うって発想がなかったからすごく助かる。

 これで場合によっては携帯が向こうで使えるかも知れなくなったんだし。

 電子書籍が見れるかどうかでも結構変わってくると思うよ。

 ありがとう、アリス。」


「喜んでもらえてよかったわ。」


「よし、そうしたら携帯の電子書籍の見直しもしなきゃだ。」


「明日召喚の日だから早く寝なきゃだめだからね。」


「わかってるよ。」


そうして召喚先日の夜を過ごしていった。

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